独学で行政書士を目指すならまず何をすべき?

行政書士の資格を取得する場合、2つの方法が考えられます。

・講座などを申し込んでサポートを受けながら資格取得を目指す

・独学で行政書士を取得する

仮に独学を選んだ場合、まずは何をすべきなのでしょうか。

この記事では「独学で行政書士を取るぞ!」と決めた方に、「まず何をすべきか」を紹介します。

スムーズかつ効率的に資格を取るためには段取りが重要です。最終的な目標である「合格」のためにも、この記事で「まず何をすべきか」を知り、資格取得までの道のりを明確にしてください。

行政書士試験を取得するなら、まずは「これ」をやる

独学で行政書士試験を取ると決めたら、まずやるのは「情報収集」です。

資格の取得を決めたときに「しっかり調べた」という方も、今度は「自分が実際の資格を取る」という視点で行政書士試験の情報を再度見直しておいてください。

情報収集すること、情報を見直すことには3つのメリットがあります。

行政書士の情報収取・情報確認の3つのメリット

・合格率や難易度、試験内容、日程などの勘違いを防げる

・本当に独学で挑めるのか再考できる

・勉強のスケジュールを立てる際の役立つ

たとえば受験の際は志望大学の情報を集め、精査し、合格までどのように勉強するかしっかり計画を立てることも多いと言えるでしょう。合格率や難易度などをチェックし、重要な科目を再確認しておく受験生も多いはずです。

行政書士試験は「大学受験ではない」と思うかもしれませんが、合格難易度が高いという点や、確実に合格する試験ではないという点は大学受験に似ていると考えられます。大人になって「もう一度受験する」くらいの気持ちで挑んだ方が良いと言えるでしょう。

だからこそ、受験日程や志望校を調べるときのように、まずは基本的な情報を調べなおしてください。それから、「本当に独学でできそうか?」を再考することや、試験日までの勉強スケジュールを立てるという流れで進めます。

行政書士の資格試験について、合格率や独学の可否などを現役行政書士の観点でまとめた記事があります。「独学できる?」と迷っているなら、ぜひ参考にしてください。

行政書士試験の独学は可能か?科目と勉強時間【現役の行政書士が解説】

行政書士を仕事にしたいなら将来性も考えるおく

資格の取得を検討する方の多くは「仕事にしたい」「副業に使いたい」「転職を有利にしたい」「独立開業を考えている」など、仕事として活かしたいと考えているのではないでしょうか。行政書士は独立開業できる資格なので、特に気になるポイントだと思います。

資格を取得する際はやはり「稼げるか」「将来性はあるか」は重要なポイントです。行政書士を取得した後に「どうしたいか」を含め、将来性や年収などについても情報収集し考えてみると良いでしょう。

行政書士の年収や将来性については別記事にまとめています。現役行政書士の経験などから説明していますので、こちらもぜひ参考にしてください。

行政書士は20~40代の若手に大チャンスである理由

士業の仕事内容と年収は?現役行政書士が年収を開示

行政書士試験の取得で次にやりたい5つのこと

行政書士の資格取得を決めた後に「まずやること」を終わらせたら、次にやるのは7つのことです。

・基本になる参考書をまずは1冊選ぶ

・行政書士試験までの勉強スケジュールを立てる

・勉強方法を考え、アプリや参考書などを選ぶ

・勉強する際に「守る約束」を決める

・実際にひと通りの科目を見てみる

・勉強スケジュールの見直しをする

・勉強をはじめたら将来像を想像してみる

具体的にどのようなことを行うのか、順番に見て行きましょう。

1.スケジュールや勉強の基本になる参考書をまずは1冊選ぶ

独学で行政書士の勉強をはじめるときは、一気にいろいろな参考書を買ってしまいがちです。同じ出版社・作者のシリーズをいきなり全巻購入して勉強スタートという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

独学で行政書士の勉強をするなら、まずは全科目を広く網羅した「最初の一冊」を買って、その参考書をベースに独学の計画や勉強内容の把握を進めることをおすすめします。いわゆる行政書士の勉強内容・科目が一冊に詰め込まれた、初心者向けの参考書というやつです。

このタイプの参考書は「どの科目がどのような内容なのか」を広く浅く理解することに向いています。また、大よそどのような勉強をすればいいのか、各科目がどのような内容なのかを網羅していますので、参考書としてだけでなくスケジュールを立てる際にも役立つのです。

内容が分かりやすいものが多く、初心者でも勉強に入りやすいというメリットもあります。

まずは網羅性の高い最初の一冊を選んで、「大よその勉強内容は?」「試験範囲は?」の把握に努めてください。最初の1冊の参考書を買ったら、流し読みでいいので、まずは1度読んでみるといいでしょう。1度読むことで、「本当に独学で大丈夫そうか?」の再考にも繋がります。

2.行政書士試験までの勉強スケジュールを立てる

最初の1冊を選んだら、次は行政書士試験までの勉強スケジュールを立てます。

勉強のスケジュールを立てるときは、最初の1冊で試験科目・勉強の範囲をおさえておきましょう。

また、最初の1冊に行政書士の資格取得に必要なすべての科目を網羅しているテキストを選ぶことにより「どの科目にどれだけのページ数が割り振られているか」が分かります。ページ数が多く割かれている科目はそれだけ覚えるべき知識も多く、勉強量も多くなります。重要度も高いと言えるでしょう。

ページの割り振りで勉強時のボリュームや重要度を把握できるため、それらも参考に勉強のスケジュールを決めることがポイントです。

勉強のスケジュールを立てた後、実際に勉強に着手します。その際に「ここはもっと時間がかかりそうだ」と感じたら、早め早めにスケジュールの見直し・調整をしておきましょう。

3.資格試験の勉強方法を考え、アプリや参考書などを選ぶ

勉強のスケジュールや使いやすさなどを踏まえ、勉強に使うテキストやアプリなどを選びます。

「テキストは1冊選んだのでは」と思うかもしれませんが、行政書士の勉強をしているとそのうち網羅性の高い最初の1冊では物足りなくなってきます。それに、最初の1冊(全科目が網羅されているタイプのテキスト)は、内容が「浅く広く」になっているので、そのテキストだけで勉強を完了させるのは難しいと言えるでしょう。通信講座などを利用していない独学だとますますです。

そのため、最初の数日~1カ月くらいは最初の1冊の参考書をとにかく回して内容を覚え、それからもっと難易度が高く専門性の高いテキストに切り替えるという流れをおすすめします。

外出時の空き時間などに勉強できるアプリなども活用すると、さらに勉強しやすくなります。最初の1冊をある程度読んでから、より難易度の高い専門書の購入や勉強しやすくなるアプリなども取り入れる流れがおすすめです。

このタイミングでも、勉強のスケジュールは適宜見直すこともポイントになります。

4.行政書士の勉強をする際に「守る約束」を決める

行政書士の勉強をする際は、自分のルール・約束を決めておくことをおすすめします。

「行政書士を絶対取りたい!」と気合を入れることも重要ですが、この気合を継続し続けることは難しいと言えます。勉強を続ければ体も頭も疲れますし、心だって疲弊します。体調や気分によっては「今日は勉強したくない」と思う日もあることでしょう。疲れて昼寝をしたい日もあるはずです。人間なので気持ちや疲労はどうしようもありません。

ただ、難易度の高い資格試験に合格するためには、自分の気持ちや疲労、体調などとも上手く付き合い、効率的に勉強を進まなければいけません。

では、どうするか?

そこで登場するのが自分のルール・約束なのです。

週に1日は勉強の休みを作る。天気の悪い日は体がだるくなるようなので、悪天候の日は勉強を1時間早く切り上げて休息に回す。水曜日は残業のある日だから、水曜日と翌日の木曜日は問題を解くだけで新しい知識は入れない。このように、自分の勉強方法や体調、メンタルを踏まえた上で、自分なりのルールや約束を決めておくことをおすすめします。

こうしたルールや約束は勉強をある程度やってからでないと「こうした方がいい」「こっちの方が楽」などが見えてきません。ある程度勉強を進めてから検討することをおすすめします。

5.行政書士試験の科目を一通りやってみる

行政書士の勉強をする上で自分のルール・約束を決めると同時進行、あるいはその前に行っても差し支えありません。まずは行政書士の勉強内容・科目をすべて一通りやってみてください。

行政書士の試験内容はボリュームがありますので「そんなに早くできるか」と思うかもしれません。

ここで言う「一通り」とは、「内容をすべて理解して最初から最後まで一通りやれ」という意味ではありません。「内容の理解を問わず、とりあえず通しでやってみる」という意味です。読書や流し見に近い意味で捉えてください。

最初から何度か流し見、流し読みを繰り返していると、自分自身が「すらすら読める部分」と「読んでいて詰まる部分」が出てくるはずです。詰まる部分は高確率で「理解が難しいところ」や「自分の苦手分野」です。何度か繰り返してみると、大よその難易度や流れ、科目それぞれの大体の内容が分かってきます。

1ページあたりに時間をかけず、分からないところは読み飛ばすくらいの気楽さでまずは何度か通しで読んでみてください。2日で最初のテキスト1冊を読んでしまう、くらいのスピード・気楽さ・流し読みペースでも差し支えありません。全体像を掴むくらいの感覚で読んでみてください。

6.勉強スケジュールの見直しをする

行政書士の独学を進めていると、最初にしっかり勉強のスケジュールを立てたはずでも「ここにもっと時間をかけたい」と思う箇所が見つかるはずです。

士業や国家資格を何度も受験している方は、国家資格・士業系の勉強は難易度が高いとよく理解してことでしょう。また、勉強のスケジュールを立ててもスケジュール通りにならないということも理解しているはずです。仕事をしながら勉強しているならなおさらです。むしろ、当初のスケジュール通り進めようとすると、「スケジュールを守らなければ」「この日程でできるはずなのに」とストレス・プレッシャーがかかってしまいます。

士業・国家資格の勉強は難易度が高くて当然ですし、仕事や家庭など生活もあるのですから、スケジュール通り進まなくて当然です。

最初に勉強のスケジュールを立てるときは、余裕を持たせておくことがポイントになります。その後に「この科目は時間をもっと削ってOK」「この科目にはもっと時間をかける」など、定期的にスケジュールを再調整しましょう。スケジュールを再調整するためにも、定期的に進捗度をチェックしておくことも重要です。

7.勉強をはじめたら将来像を想像してみる

行政書士の勉強を本格的にはじめたら、「辛い」「難しい」「やめてしまいたい」と思う日もあるかもしれません。

行政書士など難易度の高い資格試験は、勉強を重ねたからといって必ず合格する保証はありません。確実性のないもの、「ここまで勉強すれば大丈夫」という保証のないものに挑むのです。資格試験の勉強をしている方の多くは、精神的に落ち込んでしまうことや、不安になってしまうこともあるはずです。

メンタルが落ち込んだときは、将来像を想像してみてはいかがでしょう。

行政書士に転職して収入が増えている自分の姿。増えた収入で好きなものを食べている姿。行政書士を副業にして、いきいきと仕事をしている自分の姿。そして合格して喜んでいる自分の姿。できるだけ楽しい将来像を想像してみましょう。

試験勉強の最中に不安になることや、落ち込んでしまうことは、誰にでもあることです。勉強中に落ち込んだら「楽しい想像をする」など、自分なりのメンタル・やる気を維持する方法を考えておくと良いでしょう。

最後に|まずは資格を知ることが重要!それから勉強計画と方法

行政書士試験の独学を決めたら、まずやりたいのは「情報収集」と「独学で大丈夫か再考すること」です。

この時点で「やっぱり独学は難しい」と判断したら、通信講座などに頼ることになります。そうすると、どうしても独学とは勉強の進め方が変わってきますので、よく考えてみることをおすすめします。再検討の後に勉強計画を立て、実際に勉強するという流れで進めることがポイントです。

行政書士は難易度の高い資格試験です。体調やメンタルとも付き合う必要があります。

独学での資格取得を目指すなら、早めに「自分流」を確立しておきましょう。