行政書士試験の独学は可能か?科目と勉強時間【現役の行政書士が解説】

行政書士試験に挑戦しようという方は「勉強時間の目安」や「行政書士試験の科目」「独学は可能か」に興味があるのではないでしょうか。

仕事をしながら行政書士試験に挑む方は講座などに使える時間が限られます。行政書士の資格取得の講座にかかる費用は数万円以上が相場になるため、費用や時間を考えて「できれば独学でやりたい」という方もいらっしゃることでしょう。やはり、独学の可否や勉強にかかる時間などは気になるポイントではないでしょうか。

・行政書士試験に必要な科目

・行政書士試験に必要な勉強に要する時間

・独学で行政書士試験に合格することは可能か

・行政書士試験のための勉強方法

これから試験に挑戦する方が気になると思われる3つのポイントについて解説します。また、現役の行政書士である私が試験に合格したときの勉強方法や行政書士の将来性についても紹介します。

これから行政書士試験を受けようと勉強をはじめた方や試験を受けようと迷っている方は参考にしていただければと思います。

独学で行政書士試験に合格することは可能?

独学で行政書士試験に合格することは不可能ではありません。ネットを検索すると、実際に独学で資格を取得した方の情報などが出てくるはずです。

ただ、不可能ではないというだけで、独学による合格はあまり現実的とは言えません。なぜなら、実際に行政書士試験の勉強をしてみると、独学だとどうしても効率が悪いからです。

現在は行政書士として働いている私は、大学は経営学部でした。経営学部では「基礎法学」「憲法」「民法」「商法」などの授業を受けています。これらは行政書士試験にも必要になる知識です。大学の時点で行政書士に必要な知識をすべて勉強できていたわけではありません。ただ、行政書士の勉強に入りやすい地固めはできていたと言えるでしょう。それでも、独学による勉強は効率が悪いと感じました。

仕事をしながら資格を取得する場合、効率が悪いと思うように勉強が進みません。また、無駄に時間を使ってしまったり、効率の悪さで勉強が進まず行政書士自体を諦めてしまったりします。

経験者としては、勉強の効率の点で独学はおすすめしません。

特にこれから行政書士の勉強をはじめる方は、独学だと「何を勉強していいのか」「自分に合った勉強法は何か」「何からはじめたらいいのか」が分からず、それだけで時間を食ってしまいます。有名講座などをチェックし、自分に合った講座やテキストを利用した方が圧倒的に効率は良いでしょう。

行政書士試験の難易度・合格率

行政書士は全60問で300点満点の試験です。問題には「法令科目」と「一般知識」の2つの分野があり、法令科目が46問(満点で244点)、一般知識が14問(満点で56点)となっています。

・法令科目で122点以上の点数を取る

・一般知識で24点以上の点数を取る

・合計で180点(6割)以上の点数を取る

たとえば、法令科目が満点で一般知識が20点だったとします。法令科目と一般知識の点数で180点以上取っているため合格すると思いがちです。ですが、条件のひとつに「一般科目24点」とあるため、試験に落ちてしまいます。

行政書士の試験に合格するためには、法令科目で122点以上を取りつつ一般知識でも24点以上を取り、合計で180点以上でなければいけません。

行政書士試験は士業のひとつで、資格試験の難易度としては高めです。

行政書士の合格率は10%前後になっています。

行政書士合格に必要な勉強時間

行政書士の資格取得に必要な勉強時間は500~1,000時間だと言われています。行政書士の試験に必要な科目を勉強したことがある、あるいは基礎的な知識がある(関連知識の本を読んだことがあり基礎知識があるなど)によって必要な勉強時間が変わってきます。

たとえば大学が法学部で行政書士の試験に必要な科目のうちいくつかを勉強した経験があるとします。また、経営学部や経済学部などで、同様に隣接分野の知識や基本的な法学などを学んでいたとします。このように「ある程度勉強した経験がある」「基本的な知識がある」という方の場合、行政書士試験のための勉強時間は500~800時間です。

まったく行政書士の勉強をしたことがない方や、大学などで基礎的な法学なども勉強していない方は、法令・法律の基本的なところから入らなければならないため、勉強にはさらに時間がかかります。こういったケースの場合は800~1,000時間が勉強時間の目安です。

行政書士試験に必要な科目

行政書士の試験は法令科目と一般知識の科目があります。法令科目は主に法律が出題されます。科目は5つ、「民法」「憲法」「行政法」「商法」「基礎法学」です。

一般科目は「政治・経済・社会」「情報通信・個人情報保護」「文章理解」の3科目になっています。

行政書士試験のための勉強方法

行政書士試験に合格するための勉強法は4種類考えられます。

・独学

・スクールに通う

・通信講座

・通信講座の教材だけ手に入れる

勉強方法①独学

行政書士のテキストは市販でいろいろ出ています。市販品を自分で吟味して購入し、計画も自分で立てて勉強する方法です。

すでにお話ししましたが、行政書士の試験は出題範囲が広く専門知識を要します。特にはじめたばかりの方や法律分野の勉強をしたことのない方は、独学だとかなり効率が悪いと言えるでしょう。独学でも不可能ではない、と謳っている情報は多数ありますが、個人的にはおすすめしません。

勉強方法②スクールに通う

行政書士の資格試験を取得するためのスクールに通う方法があります。スクールに通えば「何を勉強すればいいのか」と迷うことなくスムーズに勉強できるというメリットがあります。

ただ、費用と時間が問題です。スクールに通うためには時間を作らなければならないため、現実的とは言えません。特に仕事をしている場合、時間の捻出は大変でしょう。また、費用面でもまとまった金額が必要なので、金銭や時間のことを考えるとあまり良い方法とは言えないかもしれません。

勉強方法③通信講座

スクールに通う方法の他に通信講座を受講するという方法もあります。通信講座の場合は自分に都合の良い時間に勉強できるので、会社勤めの方でも勉強しやすいかもしれません。また、通信講座の中にはテキストなどをセットで送ってくれる会社もあるため、テキストなどで悩む必要がないというメリットもあります。

ただ、中には動画での勉強に向かない方もいます。動画よりテキストやノートへのまとめなど、字や筆記を通した方が覚えやすいタイプの方です。こういったタイプの方は通信講座がネットでの動画配信の場合はやりにくさを感じるかもしれません。

勉強方法④通信講座の教材だけ手に入れる

通信講座の教材だけ手に入れて勉強する方法があります。独学と通信講座の中間のような方法です。

通信講座の中にはテキストだけでなくDVDなどもセットにしているところもあります。オークションなどにいろいろなタイプが出品されていますので、自分に合っていそうな会社のセットを選ぶと良いでしょう。

まとめ

私が行政書士の資格を取得したときは、「LEC」と「TAC」、「伊藤塾」のテキストや問題集などを一通りやりました。それでも勉強には相当時間がかかりました。

行政書士の資格取得では「どのように効率的に勉強するか」が課題になると思います。なので、効率という点ではやはりテキスト選びからスケジューリングまですべて自分でやる独学はおすすめしません。通信講座や講座のテキストなど、利用できるものは利用して効率的に勉強する方法をおすすめします。

→試験科目と勉強時間の目安。独学は現実的ではないと説明