行政書士が年収を上げるためにすべきこと

行政書士として独立開業するなら、やはり「年収を上げたい」と思うのではないでしょうか。行政書士が年収を上げるためには、どのようなポイントに注意すればいいのでしょうか。行政書士が年収を上げるために「何をすべきか」を説明します。

中には行政書士としての私の経験も含まれていますので、「これから独立開業する」「これから事務所の売上をアップしたい」「とりあえず仕事を軌道に乗せたい」という方はぜひ参考にしていただければと思います。

行政書士の年齢はどのくらいなのか

行政書士が年収を上げるために何をすべきかを説明する前に、まずは行政書士の年収について説明します。

年収を上げようとしても、行政書士の年収基準がどのくらいか分からないと「具体的にどのような年収を設定するか」が分かりません。行政書士の年収について見てみましょう。

行政書士の平均的な年収は?

行政書士の平均的な年収は400万円から450万円ほどだと言われています。

ただ、この年収は個人事業主として仕事をしている行政書士から雇われて仕事をしている行政書士まで含めた平均年収になっているので、個人事業主・独立開業の行政書士だけになると、もっと年収平均が変わってくると考えられます。あくまで全体的な平均年収だと考え、目安程度に考えた方が良いでしょう。

行政書士の年収帯とは

行政書士の年収として一番多いのは500万円未満になっています。

行政書士の8割は年収500万円未満ということです。

行政書士の中で次の多い年収は500万円から1,000万円の年収になっています。この年収帯の行政書士は全体の1割ほどです。年収0万円~1,000万円の行政書士で全体の9割になっているということですね。行政書士が10人いれば9人は年収0万円~1,000万円の行政書士になっています。

ただ、行政書士として独立開業すると、仕事(依頼)さえあれば好きなだけ受けて稼ぐことが可能です。そのため、年収の多い行政書士は平均年収よりかなり稼げていると言えるでしょう。

行政書士のうち全体の1%以下だと言われていますが、かなり稼いでいる行政書士は5,000万円以上、あるいは億円単位での売上になっています。

5,000万円以上稼いでいる行政書士はごく僅かで、行政書士が1,000人いればそのうちの10人以下だと言われていますが、それでも独立開業すれば「天井知らず」での売上アップ・収入アップは不可能ではありません。

実際に「それだけ売上アップしている行政書士がいる」「それだけ稼ぐことは可能である」という情報があるということは、行政書士として仕事をする上で励みになることでしょう。

行政書士の年収アップとは

売上・年収を上げるといっても、やみくもに数字・金額だけ上げ続ければいいわけではありません。

今日より明日、明日より明後日、今月より翌月。常に「上を目指す」ということは、人によっては大きなストレスになってしまうことでしょう。

また、売上・年収が100万円ほどの行政書士がいきなり「今年の売り上げ目標は1億円」などと設定することは、現実的に考えて無謀です。売上・年収をアップさせたいなら、もっと現実的かつ具体的に考えるべきです。

行政書士が年収・売上をアップさせるためには、

・具体的な目標、金額をどこに設定するか

・目標を達成するためにメンタルをどう保つか

2つのポイントが重要になります。

この2つのポイントとどのように向き合うか、具体的にどう対処するかが年収・売上アップのコツだと言えるでしょう。

行政書士が年収アップするためにやるべきこと

行政書士が年収アップするためには7つのことが重要です。

・目標の年収や売上を設定する

・年収や売上の設定は無理なく行う

・仕事分野を絞る

・報酬単価が高い仕事を中心にする

・ターゲット層を絞る

・顧客を増やす

・自分のメンタルとの付き合い方をよく考える

目標となる売上や年収を設定しておく

行政書士として売上や年収を上げたいなら、まずは目標となる売上や年収を設定する必要があります。

「とりあえず売上(年収)を増やしたい」という場合、「ではどれだけ増やすか」が問題です。具体的な数字の目標がないと進捗度も分かりませんし、先月・前年より「アップしているか」くらいでしか判断できません。

行政書士が年収・売上を上げたいと思うなら、まずは具体的な数字として設定しましょう。

たとえば、最終的に年収を1,000万円以上にしたいとします。年収1,000万円の行政書士も実際にいますから、工夫次第で達成不可能な目標というわけではありません。

では、年収1,000万円が目標であれば、現在の売上や年収から、「行政書士の仕事の売上をどのくらいまで上げなければならないのか?」という話になります。そこから具体的な売上目標を設定するという流れです。

年収や売上の目標は無理なく設定する

年収や売上の目標は無理なく設定することが重要です。

たとえば、現在の売上が1,000万円だったとします。どんどん売上をアップしたいからと、いきなり「目標は1億円。半年で達成!」と設定したとします。

これは現在の売上と比較してあまりに無謀ではないでしょうか。不可能とまでは言い切れませんが、現実的という点でも達成の難易度という点でも、目標設定という点では適切とは言えません。売上や年収などは、「達成できるか」「現実的な」などを考えた上で、無理のない範囲で設定する必要があります。

売上・年収の目標が1億円など現実的ではない、難易度の高い目標を設定する場合は「目標をもっと小分けにすること」を意識することが重要です。最終的に売上1億円を目指す場合、「まずは1年目に売上500万円アップを目指す」など、目標をより小分けにしたり、長期目標として段階的に小さな目標を設定したりするなど、工夫してみましょう。

行政書士として仕事の分野を絞る

行政書士の仕事は幅広いため、大きく2つのタイプの行政書士が存在しています。

・広い分野で仕事を受けている行政書士

・特定の分野に仕事を絞っている行政書士

どちらの行政書士が売上アップしやすいかと言うと、具体的には後者の行政書士です。私も後者の行政書士で、仕事を絞った方が売上・収入がアップしました。特化型の行政書士の方が売上・収入の方が稼ぎやすいという体感があります。

ただ、特定の分野に絞ったからといって即座に売上アップに繋がるわけではありません。行政書士の仕事分野にはそれぞれ報酬相場があります。報酬相場の低い分野に特化して仕事をしていると、どうしても売上・収入アップは難しいと言えるでしょう。

行政書士の売上・収入アップを目指すなら、特定分野に仕事を絞るのは有効ですが「どの仕事に絞るか」の選択が重要になるということです。

行政書士の報酬単価が高い仕事を中心に活動する

行政書士の売上・収入を上げたいなら、行政書士の仕事の中でも報酬単価が高い分野を選ぶこと・特化することがポイントです。

行政書士の仕事の中でも報酬単価が高く集中して受けやすいのは「申請業務」です。

申請業務は1件あたりの単価が高いものが多く、さらに報酬金額も安定しています。申請業務の中から特に自分の得意分野で絞るのも良いですし、特定の申請業務に特化しても良いでしょう。

なお、申請業務の中でも難易度の高い業務ほど報酬が高い傾向にあります。申請業務の中でも専門知識を要する薬局開業時の申請などを積極的に狙って行くのも方法のひとつです。

行政書士としての仕事のターゲット層を絞る

行政書士としての仕事を絞ることも重要ですが、ターゲット層を絞ることもポイントになります。

ターゲット層が幅広いと、それぞれの層にしっかりアピールできない可能性があります。たとえば、若いネットをよく使う層にアピールしたいのに、ハガキなどを使った場合はどうでしょう。逆にネットをあまり見ない高齢層にアピールしたいのに、SNSなどでアピールすると、肝心のターゲット層に届かない可能性があります。

アピールする層を絞ることは宣伝広告方法の選び方にも関わります。行政書士として「どのような年齢層・職種・ニーズをターゲットにするか」を検討しておくことが重要です。

ターゲット層に合わせた宣伝広告を行い顧客を増やす

ターゲット層に合わせて宣伝広告を行い、積極的に顧客を増やすことが売上・収入アップのポイントです。

行政書士の仕事として単価が高い仕事を選んでも、仕事を依頼してくる顧客の数が少ないと売上・収入はアップしません。行政書士の仕事は基本的に、

顧客の数×報酬単価

これで決まります。

売上・収入アップのためには「顧客の数を増やす」という課題を避けては通れないのです。

また、それなりの報酬単価の仕事分野を選んだ場合、顧客数によっては単価の高い仕事の売上・収入を上回ることも可能です。単価の高い仕事分野はライバルも多いため、むしろ、そこそこの報酬単価の仕事をターゲットにして、顧客数で売上・収入アップを目指すのも方法のひとつかもしれません。

目標達成のため自分のメンタルとの付き合い方をよく考える

行政書士の年収・売上をアップさせるためには、自分のメンタルとの付き合い方を考えておくことも重要です。売上・収入の目標を掲げてそこを目指して試行錯誤する場合、当然ですが上手く効果を得られないこともあります。

そうすると、人によっては「目標達成になかなか近づかない」と落ち込んでしまうこともあるわけです。落ち込んでしまったときに「どうやって自分のメンタルのご機嫌を取るか」が問題になります。

目標達成のためにも途中で「気持ちが落ち込んでしまったのでやめる」とならないように、自分のメンタルとの付き合い方や息抜きの仕方、落ち込んだときの対処法なども考えておくことが重要です。

行政書士が売上アップのために注意すべきこと

行政書士が売上アップのために注意すべきことは、「他の行政書士と差別化すること」です。

行政書士は日本各地にいます。また、同じ分野の仕事をしている行政書士、つまりライバルもいますから、どのように差別化して顧客を増やす・自分のところに依頼してもらえるかが問題になります。どの行政書士に依頼しても同じなら、顧客にとっては「あえてあなたに依頼する意味はない」ということになります。

行政書士として売上・収入を上げるためにも「あなたに依頼したい」と顧客が思うような差別化をはかることが重要です。

・どこよりも早く情報提供する

・特定の分野に特化させて「この仕事ならこの行政書士に」と言われるようになる

・申請業務に慣れて他行政書士より早くスムーズに仕事をこなせるようにしておく

・顧客のニーズに対して的確なアドバイスを行う(サポート力の強い行政書士になる)  など

差別化にはいろいろなパターンがあります。

どのような差別化を行うべきか、そしてどうやって仕事の受注や売上アップに繋げて行くか、よく考えるべきです。

最後に

行政書士が年収・売上を上げるためにすべきことを解説しました。

行政書士が売上・年収を上げるためには、4つの段階で進めます。

・目標の設定

・主な業務を決める

・ターゲット層や有効な宣伝広告方法を検討

・他の行政書士との差別化

年収・売上を上げたいなら、まずは現在の状況を把握しておくことも重要です。

現状の売上なども確認しておきましょう。