銀行と信用金庫の違いとは?信託銀行との違いなども解説

銀行と信用金庫は共に口座を開設できることから、「同じもの」だと考えて利用することが少なくありません。また、信託銀行は「銀行」という名前が付いているため、銀行と同じだと考えてしまうことがあります。

銀行や信用金庫、信託銀行などの金融機関は何が違うのでしょうか。利用者が知っておきたい金融機関の違いについて解説します。

銀行・信用金庫・信託銀行とは?

まずは銀行や信用金庫などがどのような業務を行っているのか解説して行きます。

銀行とは?

銀行は日本に住む人や日本で事業を行っている会社・個人事業主にとって最も身近な金融機関です。

たとえば生活の支払いのために「引き落とし用の口座を開設しよう」と考えた場合、まずは「銀行」と名前のついた金融機関を開設先として検討するのではないでしょうか。生活費や事業費の主なプール先としても銀行を使っている方は極めて多いと言えるでしょう。現代の日本において銀行口座の開設をしていない人や会社、事業者はまずいないのではないかと考えられるほどメジャーな存在(金融機関)が「銀行」です。金融機関の代名詞とすら言えるかもしれません。

銀行は日常的に次のような業務を行っています。

1.預金業務(普通預金や定期預金など)

2.送金や引き落としへの対応

3.融資(会社や目的があって資金を必要とする人にお金を貸し付ける)

4.手形割引や為替取引

5.資産運用に使える一部の金融商品の取り扱い、販売(投資信託など)

銀行は「銀行法」という法律に基づき設立・事業が行われています。銀行の目的は「国民経済の健全な発展のため」です。利用のためには特に会員などになる必要はなく、窓口で開設の手続きをすればほとんどの方が問題なく利用できるのが銀行になります。

なお、事業者や一般の人が口座を開設して利用する銀行は「株式会社」になっています。

信用金庫とは?

信用金庫は「特定の地域の人たちのための金融機関」になっています。信用金庫も銀行と同じように預金業務や融資、資産運用に使える金融商品の扱い、送金などを行っていますが、その目的は「地域の人を助けるため」です。

信用金庫は信用金庫法に基づいて設立・業務が行われています。信用金庫の目的は「貯蓄の増強」や「金融の円滑化」です。たとえば近所に銀行しかない場合と、銀行と信用金庫があったとします。近隣住民にとって便利なのは後者だと言えるでしょう。より地域、ひいては日本の金融を円滑化し、貯蓄に力を入れるため地域に特化した金融機関である信用金庫があるわけです。

信用金庫は会員の出資により運営されている非営利法人になっています。

信託銀行とは?

信託銀行も銀行と名前が付いていることから分かるように、通常の銀行業務が行われています。と説明すると、「銀行と同じではないか?」と思うかもしれません。信託銀行は通常の銀行と同じ銀行業務も行っていますが、同時に信託業務も行っています。また、銀行業務や信託業務に加えて併営業務も行っているところが特徴です。

通常の銀行と同じ銀行業務の他に、信託など別の業務も行っている。これが信託銀行です。

信託業務や併営業務とは、次のような業務を指します。

信託業務 / 財産を信託し(託し)、運用や管理を行う業務など

併営業務 / 遺言の保管や遺言執行業務、企業の株主名簿の管理など

なお、実際のどの業務をメインにしているか、特化しているかなどは信託銀行によって異なります。

銀行と信用金庫の違いは?銀行と信託銀行や証券会社との違い

銀行と信託銀行、信用金庫は何が違うのでしょうか。

それぞれの業務内容などを中心に、違いについて比較しながら説明します。

銀行と信託銀行の違い

銀行と信託銀行は「銀行業務を行っている」という点は同じです。銀行と信託銀行はどちらも預金などの銀行業務や、融資などに対応しています。ただ、銀行と信託銀行は違いも多く、次のようなポイントが異なります。

・信託銀行は信託業務や併営業務に対応している

・メインとなる業務内容が違っている

・銀行と信託銀行では利用者の層が違っている

銀行と信託銀行では対応している業務が違います。信託銀行は信託業務や併営業務などに対応していますが、銀行は融資や銀行業務が中心で信託業務や併営業務などには基本的に対応していません。なお、窓口で相談に乗ってくれたり、専門の会社や有資格者に取次してくれたりすることはあります。ただ、銀行自体がメインの業務としてやっているわけではありません。

また、銀行と信託銀行ではメインになる利用者の層も異なっているのです。銀行は若い人から高齢の人まで多くの人が利用します。ただ、信託銀行は遺言書の預かりや遺言執行のサポート、信託業務などをやっていることから、資産家が多く利用するという特徴があります。

広くいろいろな層の人が利用する銀行。資産家や経営者などに利用者層が偏りがちな信託銀行。このような違いがあります。

銀行と信用金庫の違い

銀行と信用金庫は共に銀行業務を行っています。銀行でも普通預金や定期預金が使えますし、信用金庫でも使えます。信用金庫は融資にも対応しているため、業務の範囲はほぼ同じだと言えます。使う側から見れば「銀行も信用金庫も預金、ローン、融資を扱っているから同じようなもの」だとも言えるでしょう。

銀行と信用金庫は業務範囲こそ似ていますが、次のような点で違っています。

・銀行は株式会社だが、信用金庫は非営利法人である

・信用金庫はより地域のためという性質が強くなっている

銀行は株式会社なので自社の利益を重視します。対して信用金庫は非営利法人です。非営利法人は非営利の組織だからこそ、株式会社のように自社の利益重視でサービスを提供していません。銀行と信用金庫の大きな違いは、利益重視の株式会社なのか、それとも非営利の組織なのかという点です。

信用金庫は非営利の組織ですから、より「地域のため」「地域住民のため」という性質が強くなっているところも特徴です。

信用金庫と信託銀行の違い

信用金庫は銀行とほぼ同じ業務を行っています。ただ、会員制度がある点や地域の発展を目指しているという点が銀行と違っています。

信託銀行も銀行とほぼ同じ業務をしていますが、その他に信託業務も行うため、銀行よりやや業務範囲が広いという特徴があります。

信用金庫と信託銀行は、どちらも銀行と似ていながら違いのある金融機関です。

信用金庫と信託銀行を比較した場合、4つの違いがあります。

・信用金庫は地域の発展を目指しているが、信託銀行には信用金庫のような目的はない

・信用金庫は狭いエリアを対象に活動しているが、信託銀行のエリアは広い

・信用金庫の業務は銀行とほぼ同じだが、信託銀行はさらに信託業務を行っている

・信用金庫の顧客は地域の中小企業や一般家庭などが多いが、信託銀行は業務の関係上、富裕層の顧客も多い

信用金庫は基本的に狭いエリアを対象にしており、そのエリアの発展を目指している金融機関です。また、会員制度もあるという点で信託銀行とは違っています。

加えて、業務内容の違いもあります。すでにお話ししたように、信用金庫は銀行と同じように預金業務や融資などを行っています。信託銀行は信託業務も行っていますので、業務範囲が違っているのです。

なお、信託銀行はその業務内容から資産家を顧客に抱えていることも多いのですが、信用金庫は地域の家庭・中小企業の金融機関という性質が強くなっています。

銀行・信用金庫・信託銀行はどのように使い分けるべきか

銀行・信用金庫・信託銀行はどのように使い分けるべきなのでしょう。

3つの金融機関は業務内容が重なっているところもあるため、使い分けが問題になります。

・職場の近くや自宅の近くなど、使いやすい金融機関を選ぶ

・業務内容で使い分ける

などの使い分けが考えられます。

信用金庫や銀行などは預金に対応していますので、生活費をおろすときに便利な近くの金融機関をメインに使うという方法があります。

たとえば、近くにA信用金庫があり、通勤や買い物などでよく側を通っていました。買い物をする店や職場の近くにもATMがあります。このようなケースではA信用金庫を使い、銀行などの別の金融機関は第二口座にする使い方があります。

また、信託を使いたい場合、対応しているのは信託銀行です。こういったケースでは信託銀行で受けられるサービスはある程度おまとめしてしまうという方法もあります。

業務内容や使いやすさなどで使い分けてはいかがでしょう。

最後に

銀行と信用金庫、信託銀行の違いについて解説しました。

3つは金融機関という点は同じであり、業務についても重なりがあります。ただ、一部の業務や金融機関としての在り方は違っています。

基本的にはどの金融機関を使っても問題ありませんが、選び方に迷っているなら、違いを参考にして利用先を選ぶことも方法のひとつかもしれません。