経費ってどこまで?フリーランス・個人事業主が迷いがちな経費を徹底仕分け

年末年始になるとフリーランスや個人事業主は「今年も頑張って働いた」と思うのではないでしょうか。同時に、「そろそろ来てしまうな」とも思ってしまうはずです。

そろそろ来るもの・・・そう、確定申告です。

年末にフリーランスや個人事業主が「1年が終わった」「今年も頑張った」と思い、年始に一休みする。それからすぐにやって来るのが確定申告です。

確定申告の時期は2月16日から3月15日までですが、多くのフリーランスや個人事業主は確定申告書の作成や領収書の整理などに追われて、年初めには準備をはじめるのではないでしょうか。いずれにしろ、年末年始の次に仕事始め、そして確定申告がやってきます。

今回は確定申告のためにフリーランスと個人事業主の経費をおさらいしておきましょう。「これって経費に含まれる?」と疑問を覚えるような事例に関しても取り上げます。

確定申告に「経費」として計上できるのは?

確定申告で経費として計上できるのは「仕事に関係のある支出」です。

たとえば、仕事のためクライアントのところに自家用車で行ったとします。このときのガソリン代(交通費)は仕事のための支出ですから、基本的に経費として計上可能です。

また、行政書士の仕事に使うためにプリンターを購入しました。プリンターの購入も仕事のためですから、基本的に経費にできます。

個人事業主やフリーランスが経費にできるのは次のような支出です。

・人件費

・消耗品の購入費用

・交通費

・交際費

・旅費

・宣伝費        など

基本的に「仕事に関係があれば経費にできる」と考えて良いでしょう。ただし、仕事に関係のある支出でも、全額経費にできない場合もあります。

たとえば、自宅で仕事をしているとします。自宅はアパートで毎月家賃を払っていました。自宅は職場でもあるため、このようなケースでは家賃を経費にできます。

ただ、自宅(仕事とは関係ない私生活の場)でもありますから、家賃の全額を経費にできるわけではありません。家賃など仕事と私生活どちらも関係する経費に関しては、按分するのが基本です。

関連記事として減額交渉についてまとめた記事があります。家賃の経費計上を考えるうえで役に立つはずです。

家賃減額交渉はできる?方法や注意点を解説

これって経費になる?判断に迷う事例

経費は「仕事に関係があるもの」であれば計上できますが、中には判断に迷うケースもあるのではないでしょうか。

経費は法律などのルールで「計上できる」「できない」が明確に決められているわけではなく、あくまで「関係があるもの」というぼんやりとしたルールが存在するだけです。だからこそ経費については迷いやすいと言えるでしょう。

経費計上できるのか、できないのか。迷いやすいケースについて、具体的な事例で説明します。

自宅で仕事をしている場合は引っ越し費用を経費にできるのか

自宅を職場にしている場合は家賃を按分して経費に計上できます。では、自宅を事務所にしている場合の引っ越し費用はどうなのでしょう。

たとえば、仕事の規模が大きくなり、現在仕事で使っている部屋ではスペースが足りなくなってしまいました。より多くスペースを使える物件に引っ越そうと考えました。このようなケースでの引っ越し費用は経費になるかが問題です。

結論としては、自宅で仕事をしている場合の引っ越し費用は経費に計上可能です。

ただし、家賃と同じで、仕事で使っている部分のみになります。礼金も同じ考え方で差し支えありませんが、敷金は対象外なので注意してください。

仕事で自宅を使っている場合は引っ越し費用も経費になるが、全額は難しい(プレイベート部分は除く)が基本になります。

仕事とプライベートで使っている家電などは経費にできるのか

ヘッドフォンやイヤフォン、タブレットなどを購入して仕事とプライベートの両方で使っていたとします。このような場合に家電の購入費用を経費にできるのかが問題です。完全に仕事用とは言い切れず、完全にプライベート用とも言い切れないケースです。

仕事とプライベート両方で使っているヘッドフォンやタブレットなどは経費にできます。ただし、プライベートの部分と仕事の部分を分ける必要があります。

仕事に必要で完全に仕事のためだけに購入して使っている家電であればプライベートが混ざる余地はありませんので、基本的にはすべて経費にできます。

仕事中に使っているメガネやコンタクトレンズは経費にできるのか

仕事中にメガネやコンタクトレンズを使っている方は少なくないことでしょう。仕事中に使っているのであれば「仕事に関係ある」として、メガネやコンタクトレンズの購入費用を経費にできるのかが問題です。

結論を言うと、メガネやコンタクトレンズの購入費用は原則的に経費にできません。たとえば、ファッション関係の仕事をしていて、ファッションの関係があり必要だったという場合はまた別です。通常のメガネやコンタクトレンズは仕事中も使うからといって経費にするのは難しいと考えた方が良いでしょう。

なお、メガネやコンタクトレンズに関しては医療費控除の対象にできる可能性があります。

医療費控除とセルフメディケーション税制とは?節税に使える制度を紹介

購入したアクセサリーは経費に計上できるのか

自分が身に着けるために購入したアクセサリー。アクセサリーを仕事中や打ち合わせ、会議などでも身に着けている場合は購入費用を経費にできるのでしょうか。「クライアントと会うときスーツに合わせているので仕事に関係がある」と言いたい人もいるかもしれません。

自分が身に着けるためのアクセサリーは基本的に経費にできません。ただ、ファッション関係の仕事をしていて、仕事上どうしても必要だったアクセサリーの場合は経費にできる可能性があります。

仕事中の怪我で病院を受診したときの費用は経費にできるのか

仕事中の怪我で病院を受診した際の医療費は経費にできるのでしょうか。

たとえば、事務仕事中にカッターで手を切ってしまいました。かなり深い傷だったため、病院を受診しました。病院で処置してもらい、医療費を支払ったケースです。

仕事中の怪我ですから、医療費は仕事に関係のある支出だと言えます。仕事に関係があるのなら経費にできるのではないかと思うかもしれませんが、この場合は原則的に経費計上できません。なぜなら、医療費は基本的に医療費控除の対象だからです。

仕事中の怪我などで医療費を支出した場合は経費扱いではなく「医療費控除などで対処する」が結論です。

仕事に関係のある支出でも経費ではなく控除の対象になるケースがあります。控除については別の記事にまとめましたので、チェックしてみてください。

節税に使える特例・控除ってなに?

自宅兼職場に置いた観葉植物は経費にできるのか

自宅兼職場に置くために購入した観葉植物は経費にできるのでしょうか。

観葉植物については経費にできる場合とできない場合があります。

完全にプライベートで購入した観葉植物は仕事と関係ないので経費にはできません。仕事と関係のある観葉植物については経費にできる可能性があります。

たとえば自宅を事務所にしていて、定期的に来客があります。事務所にしている部屋が殺風景なので、インテリアを考えて観葉植物を購入して置きました。このように、来客用に仕事部屋に置く観葉植物などは購入費用を経費にできる可能性があるのです。

最後に

フリーランスや個人事業主をしていると「これは経費にできるのか?」と迷うことも少なくありません。

経費の考え方は基本的に「仕事に関係するか」です。少しでも仕事に関係があれば経費にできる可能性もがあるのですが、メガネなどのように一部経費にできないものや他控除の対象になるものもあるため、注意してください。

分からないことがあれば税務署や税理士に確認しましょう。