FIREに税金はかかるのか?FIRE達成前・達成後で課税関係を解説

FIREとは「早期リタイアと経済的な自立」のことです。たとえば50歳で早期リタイアしても経済的に自立できていないと「生活費に困って働かなければならない」と困ってしまいます。FIREは生活費で困らないように経済的な自立(生活費を資産運用のリターンでまかなう仕組み)を確立した上で早期リタイアすることを意味します。

FIREのためには資産を貯めること、投資して増やすことが不可欠です。ただ、FIREの達成のための貯蓄や投資で税金がかかってしまうと、税金分が差し引かれるわけですから、その分だけゴールが遠くなってしまいます。

また、FIRE達成後も資産運用に税金がかかると、その分だけ生活費が減ってしまいます。結果、「税金のことを考えていなかった」「予想外に生活費に回せる分が少なくなってしまった」とFIRE後生活が破綻するリスクがあるわけです。FIREと税金の関係を知っておくことは重要だと言えるでしょう。

この記事では「FIREに税金はかかるのか?」をテーマに、FIREと税金の関係について説明していきます。FIREを目指すときに税金は意外と見逃しがちなポイントです。あらためて「FIREと税金ってどうなの?」と意識するきっかけにしていただければと思います。

FIREの仕組みと必要資金の基礎知識

まずはFIREの仕組みについて簡単におさらいします。

すでにお話ししたように、FIREとは「早期リタイア+経済的な自立」です。早期リタイアの前にリタイア後も資産運用で利益を得られるようにしておき、リタイア後はその利益を生活費に充てる仕組みです。この仕組みを完成させた時点、あるいは決めた年齢になったら早期リタイアします。

FIREの基本的な知識と必要資金についてFIRE達成前、達成後に分けて説明します。

FIRE達成前に必要資金を計算し積み立てる

FIREではまず次の流れで早期リタイア・経済的な自立に必要な資金を計算します。

・月々の生活費を確認する

・1年分の生活費を計算する

・年あたりの生活費を25倍する

月々の生活費が20万円だとします。1年あたりで計算すると生活費は240万円です。

FIREには「25倍ルール」があります。FIREは25倍ルールで計算した資金を年4%で運用する仕組みです。240万円の25倍は6,000万円ですから、前提としてまずはこの金額を準備しなければいけません。

資金準備には預金や投資など「貯める」「増やす」を駆使する必要があります。

FIRE達成後は年4%で資産運用しながら生活する

FIREのために資金準備をしても、準備した分を切り崩してはすぐにお金が底をついてしまいます。お金が底をついてはFIREの「経済的自立」はできていないことになります。

FIREでは25倍ルールで計算した資金を年4%で運用し生活費に充てます。年4%で運用し続ければ運用益だけで生活費をまかなうことが可能です。そのため、準備した資金を切り崩す必要はありません。

FIREと税金の関係について

FIRE達成、あるいは達成後の生活では「税金」が関係してきます。

たとえば、日本では給料を受け取ると所得税の対象になるわけです。

給料から所得税を納めると、その分だけ手取りが少なくなってしまいます。

・FIRE達成前の資金準備

・FIRE達成後の運用益(生活費)

これらを考える上でも税金は重要になります。給料が税金によって減ってしまうように、準備できる資金や生活費が税金によって減ってしまからです。

FIREを目指している人は税金などの負担も視野に入れて資金準備・資産運用の計画を立てるべきです。

FIRE達成のために税金はかかるのか?

FIRE達成のために税金は「かかります」。

FIRE達成後も税金の負担は発生しますので、FIRE前の資金準備・FIRE後の生活では税金の負担にも注意する必要があります。

FIREには具体的にどのような税金がかかるのか、FIRE達成前と達成後に分けて設営します。

FIRE達成前にかかる税金

FIRE達成前にかかるのは所得税や住民税などです。

FIREの資金をためるためには仕事で稼ぎ、その報酬や給料などを貯める・投資することになります。この場合、会社員は給料に対して所得税や住民税がかかりますし、個人事業主として働いている場合は売り上げ・報酬に対して所得税や住民税がかかります。さらに国民健康保険税などがかかる他、不動産を所有している人は固定資産税なども考えなければいけません。

FIREのためには投資や預金を積極的に行う必要もあります。ただ、投資や貯金にも税金がかかります。

貯金そのものは現時点で税金の対象にはなっていません。しかし、貯金をすると貯金額に応じて利息がつく仕組みになっています。この貯金利息には20%ほどの課税があります。利息として100円受け取ればそのうちの20円は税金で減ってしまう計算です。

投資についても税金がかかります。たとえばFIRE達成のために資金を増やそうと考えて株式投資をしました。株式の配当や譲渡益(売却で得る利益)については20%の税金がかかります。株式を売却して10万円の利益が出ればそのうちの2万円は税金で減ってしまう計算です。

FIRE達成前にはこのように給料や売り上げ、報酬などに税金がかかり、投資や預金に対しても税金がかかります。税引き前ではなく税抜き後で金額を考えることが重要です。

FIRE達成後にかかる税金

FIRE達成後も税金はかかります。

FIREのために6,000万円必要だったとします。預金や投資などを駆使して必要な資金を準備できました。この準備した6,000万円自体に税金がかかることはありません。6,000万円準備するまでに給与(個人事業主の場合は売り上げや報酬など)に対して所得税や住民税がかかっていますし、投資の利益や預金利息などは税金で2割ほど差し引かれているからです。

ただ、FIRE達成後は資産の運用益で生活費をまかないます。準備した資金を4%で運用するためには株式の売買なども必要になることでしょう。FIRE達成前と同じく投資については原則的に利益に対して20%の利益が必要になります。NISA口座を活用するといった工夫が必要になります。預金についても同じく利息の20%ほどが税金で差し引かれるため注意してください。

FIRE達成前は給与や個人事業主の所得に対して所得税などの課税がありました。所得の状況によっては主に課税されていたのが所得税というケースもあり得ることでしょう。対してFIRE達成後は4%の運用益を生活費に充てることもあり、投資の税金がメインになると言えるかもしれません。

なお、FIRE達成後にも自宅などの不動産を所有していれば固定資産税がかかります。途中で遺産相続などにより土地や物件を取得しても固定資産税などの負担が発生しますので、注意してください。

FIRE達成・達成後に注意したい税金以外の負担

FIRE達成後には税金以外の出費もあります。

・国民健康保険

・国民年金保険料  など

FIRE達成で早期リタイアしても世間的には現役世代。リタイアしても年金保険料や健康保険料は納めなければいけません。1カ月の生活費を年金保険料や健康保険料抜きで計算していた場合は計画が破綻しかねないので注意が必要です。

この他に注意したいのは老齢年金への課税です。リタイア後に年金受給の年齢になった場合、基本的に年金への課税も発生することを忘れていると、老後生活で困ってしまう可能性があります。年金をFIRE後の計画に含めている場合は注意してください。

最後に

FIREの税金についてお話ししました。

FIREのために準備した資金自体に税金がかかるわけではありませんが、給料や投資、預金などにはそれぞれ税金がかかります。FIRE達成後にも投資で利益を得て生活するという関係上、税金がかかってしまいます。

FIRE達成を目指していると投資の方法や目標金額、FIRE後の生活に目が向きがちです。しかし、FIRE達成、達成後の生活には税金が関わってくることを忘れると計画自体が破綻しかねません。

税金のことを考えてFIREの計画を立てること、計算することが重要ではないでしょうか。