非課税所得とは?所得があっても非課税になる“もの”がある

 

給料をもらえば所得税や住民税などの対象になります。遺産を相続すれば相続税の課税対象になり、財産をもらえば原則的に贈与税の対象になってしまいます。日本は基本的に「プラス(所得など)があると税金がかかる仕組み」の国なのです。

ただ、中にはプラスが発生しても例外として税金がかからない“もの”があります。具体的にどのようなプラスが税金のかからない“もの”(非課税所得)になっているのでしょうか。資産運用・FIREなどで知っておきたい非課税所得について説明します。

非課税所得とは「税金がかからないもの」である

非課税所得とは税金がかからないプラスのことです。

通常、300万円を給与として受け取れば所得税が課税されます。しかし、この300万円が非課税所得に該当すれば所得税だけでなく、他の税金もかかりません。基本的に給与などのプラスは税金により実際の受取金額が減ってしまうわけですが、非課税所得の場合は300万円なら300万円、税金のことを考えず懐に入れることが可能です。非課税所得に該当すれば「税金なし!」な訳ですから、その方がお得なのは言うまでもありません。

非課税所得は税金という点で「美味しい所得」です。非課税所得に該当するプラスは税金のルールで決まっています。

非課税所得の場合は確定申告も不要

個人事業主などの売上は確定申告をしなければいけません。相続税が発生する場合は相続税の申告が必要になります。控除を使うと税金がお得になる可能性がありますが、その代わりと言っては何ですが、控除を使いたい場合は確定申告などの手続きをする必要があります。

非課税所得の場合も「非課税所得にするために確定申告などの手続きが必要なのか?」が問題です。

非課税所得の場合は確定申告など特に手続きは必要ありません。何もしなくても非課税。これが非課税所得です。非課税所得に関しては「確定申告をしなくて大丈夫?」と不安になる必要はありません。

非課税所得にはどんな“もの”があるの?

非課税所得の主なものは次の通りです。

・一定範囲の所得

・損害を補填するプラス

・一部のくじの当選金  など

なお、くじの懸賞だからといって一律に非課税になるわけではなく、どのような懸賞・当選金が非課税所得に該当するかは決まっています。ただ、非課税所得など税金関係はルール変更されることがあるため、現在非課税財産に該当するものでも、今後その“もの”を受け取る機会があれば、その都度確認が必要です。

具体的な非課税所得については次の見出しで説明していきます。

非課税所得に該当する“もの”一覧

非課税所得に該当するのは次のようなものです。

生活に必要なものを売却したときの所得

生活に必要なものを売却したときの売却金は非課税所得に該当します。

たとえば、いらなくなった服をネットオークションや古着屋などに売却したとします。売却金というプラスが発生しているわけですから、普通に考えると「売却金に対して税金がかかるのではないか」と思うのではないでしょうか。

基本的には家具や衣服などを中古ショップやフリマサイトなどで売却したときの売却金は非課税所得になっています。フリマサイトなどで服や生活に使っていた私物などを売却して売却金というプラスを得ても、基本的にはその売却金に税金がかかることはありません。

フリマアプリなどでいらない服や生活雑貨などを売却している人は少なくありません。こうした人に対して「確定申告はしているの?」「これって売り上げに税金がかかるんじゃないの?」と思うこともあるのではないでしょうか。原則は非課税所得なので「基本的に税金はかからないので大丈夫」がアンサーになります。

ただし、事業レベルで売却をしていたら別の話。生活を維持できるレベルで服や家具、生活雑貨などを売却して利益を得ているのであれば、非課税財産ではなく所得扱いです。個人でもフリマアプリなどでガンガン稼いでいれば基本的には課税の対象になります。税金がかかるのか判断に迷ったら税理士に確認しておきましょう。

生活保護や失業給付

生活保護や失業給付などは給付の趣旨から非課税所得になっています。

生活保護は生活に困っているからこそ給付されるお金です。生活に困っている人が生活に充てるためのお金ですから、制度の趣旨を考えて生活保護のお金(プラス)を受け取っても非課税になっています。

失業給付も同じです。失業している間の生活のためのお金ですから、制度の趣旨を考えて非課税扱いになっています。

宝くじやサッカーくじの当選金

よく「宝くじの当選金は非課税」という話を聞いたことはありませんか。宝くじの当選金は非課税所得になっているため、1億円当選すれば税金で減ることなく、1億円の満額を受け取ることが可能です。この他にサッカーくじの当選金(払戻金)も非課税所得になっています。

なお、くじの当選金や懸賞金すべてが非課税というわけではありません。宝くじやサッカーくじは非課税所得ですが、他のくじは扱いが異なります。たとえば競艇などは取り扱いが異なります。懸賞金や当選金などは「ものによっては非課税所得だが、ものによっては税金がかかる」という取り扱いです。

損害賠償金や損害保険

損害賠償金や損害保険は非課税所得になっています。

たとえば、事故にあって怪我をしたとします。加害者から損害賠償金を受け取りました。このような場合は「事故にあってマイナスが出た。その分の補填である」と考えます。マイナスが出てその分を損害賠償金で埋め合わせただけになりますから、結果的に儲けが出ているわけではありません。損害賠償として受け取った分はマイナスの補填で新たな利益ではないという考え方から、税金はかからない仕組みになっています。

損害保険金も同じです。損害保険金も「損害があった」ことが前提で受け取る保険金になります。あくまでマイナスになった分を補填してもらう保険金なので、新しく利益が出たわけではありません。マイナスの穴埋めです。そのため、損害保険金についても非課税所得になっています。

会社から受け取る一部のお金や現物

会社から受け取る交通費や現物などの一部は非課税所得になっています。会社から支給される交通費は純粋な利益ではありません。仮に自分で先に負担していれば穴埋め費用の性質を持っています。そのため、一定額の交通費については会社から支給されても非課税所得の取り扱いがなされているのです。

また、会社から仕事に必要な制服などの支給を受けた場合も非課税所得になります。会社から交通費や制服などの現物を受け取り「プラスが出たので課税ですね」という扱いだと、交通費を受け取った他に税金でマイナスが出てしまいますよね。

仕事に必要な制服を現物で受け取っても税金でマイナスが出てしまうと、不条理さを感じるのではないでしょうか。だからこそ、会社からの一定額の交通費の支給や制服など仕事に使うものの現物支給については非課税になっているわけです。

この他にも次のような金銭の支給は基本的に非課税所得に該当します。

・傷病手当金

・出産育児一時金

・出産手当金     など

香典や見舞金など

葬儀の香典などは非課税所得になっています。

この他に見舞金なども基本的に非課税所得です。

あまりに高額の香典や見舞金などは「これは香典(見舞金)ではなく贈与では?」と問題になる可能性もゼロではありませんが、これらのお金は受け取っても基本的に税金はかからず、確定申告も必要ありません。世間的に見ても「葬儀の香典を受け取ったから確定申告しなきゃ」という話は見ないですよね。

最後に

非課税所得について説明しました。

FIREや早期リタイアは通常の所得でお金を積み立てることが多いため、非課税所得を資金に回すことは「宝くじが当たった」くらいのケースしかないかもしれません。

ただ、FIREや早期退職のためには積極的に投資などを行い、確定申告や税金なども関係してきます。お金や税金の知識は持っていて損はありません。

非課税所得について豆知識程度におさえておいてはいかがでしょう。