SNSなどで「FIRE卒業」が話題になっています。
FIRE卒業とは「FIRE達成後にFIREをやめること」です。FIREとは早期リタイアと経済的な自立のこと。せっかく経済的な自立を果たし早期リタイアしたのに、なぜFIRE卒業、つまりFIREをやめてしまう人がいるのでしょう。
この記事ではSNSで話題になった「FIRE卒業」について取り上げます。FIREを達成したのになぜ卒業してしまうのか、実際のFIRE卒業した人たちの声を徹底調査しました。併せて、FIRE達成後に後悔しないためのポイントもまとめました。
目次
FIREとは
FIREとは「経済的自立」と「早期リタイア」の両立のことです。
仕事を早期リタイアしても、生活費に苦労するなら、けっきょく何らかの仕事で収入を得る方法を考えなくてはいけません。FIREの場合は投資の運用益で生活費を捻出できる仕組みを作っておきます。
投資の利益だけで生活するのは難しいのではないかと思うかもしれません。
FIREでは生活費を計算し、生活費をベースに25倍の資金を準備します。その資金を運用して年間4%の運用益を出せば、資金を取り崩しせずに運用益で生活できる仕組みになっています(25倍ルール、4%ルール)。
FIREについては別記事で詳しく説明しています。
早期リタイアしても運用益で生活できる仕組みを作っておき、経済的にも自立した(困らない)生活を送る。これがFIREです。
FIRE卒業とは
FIRE卒業とは「FIRE達成後に早期リタイア生活をやめてしまうこと」です。
たとえば、ある人が資金を準備し、年4%の運用益を出せる状態にして、37歳で早期リタイアしました。年4%の運用益を生活費に充てることが可能なので、37歳で仕事をリタイアした後は悠々自適に生活する予定でした。しかし、FIREの生活を途中でやめて就職することにしたのです。これがFIREの卒業です。
FIRE達成後にそのままリタイア生活を満喫する人も少なくありませんが、中には何らかの理由でFIRE生活をやめてしまう人もいます。FIRE達成後に「何らかの理由」でリタイア生活をやめてしまうことを、「FIRE卒業」といいます。
FIRE卒業した人たちの理由
FIRE達成後にFIRE卒業した人が「なぜFIRE生活をやめたのか」の理由はさまざまです。FIREを卒業した人たちがどのような理由で卒業にいたったのか、主な理由を見て行きましょう。
FIRE達成後の生活が暇だった
FIRE達成までの間には節約をして資産運用の資金を準備することも少なくありません。そのため「お金のかからない趣味」や「趣味にお金をかけないようにする」ことを心がける人もいます。中には節約のために趣味自体を我慢する人もいます。
趣味を我慢する。趣味をやめてしまう。これだと、FIRE達成後に無趣味状態になってしまい、リタイア後の生活で「やることがない」と困ってしまうことがあるのです。結果、リタイア後の生活に飽きてしまい、再就職や復職などでFIREを卒業することがあります。
暇というよりも、時間を潰す術がなかったと言う方がしっくり来るかもしれません。
FIRE達成後に働きたくなった
FIRE達成後に仕事をしていない状況に耐えられないという人もいるようです。今までFIRE達成のためにがむしゃらにやってきたため、仕事がないと張り合いがない。仕事が好きだ。生活リズム的に仕事をしていた方がしっくりくる。FIRE達成後に仕事をしたいと思うようになり、リタイア生活を卒業する人もいます。
仕事が生活の一部になっていると、FIRE達成後に仕事をしない生活に耐えられなくなるようです。
なお、FIREにも種類があり、中には「自分のペースで働きながらセミリタイアのような生活をする」タイプのFIREもあります。FIREを完全に卒業せず、完全なFIREから別のFIREへ切り替える人もいるようです。
FIREの種類については別の記事にまとめました。こちらの記事もチェックしていただければと思います。
FIRE達成後に4%の運用が難しくなった
FIRE達成後にスムーズな生活が続くとは限りません。中には資産運用で4%の利益を得ることが難しくなるケースもあります。
たとえば、資産運用で株式を多めにし、投資信託も積極的にリターンを得る銘柄に投資していたとします。金融商品は基本的に利益が大きければリスクも大きくなるのです。リスク対策をある程度行っても、リスクをゼロにはできません。
FIRE達成後は4%ルールでスムーズに生活費を捻出できていましたが、ウクライナとロシアの衝突や物価上昇、円安など世界経済・日本経済の影響により、金融商品で思ったような利益を得ることが難しくなってしまいました。また、リスクとリターンの高い金融商品の資産価値も下がってしまい、このままFIRE後の生活を続けるのは難しい状態です。
FIRE達成のためにリスク対策や分散投資を徹底しても、リスクはゼロにはなりません。分散投資の対象にしている金融商品や市況によっては投資で痛手を受けてしまうこともあります。結果、資産が目減りしてしまい、FIREを卒業して収入を得なければならないケースがあります。
FIRE達成後に急な資金調達が必要になった
FIRE達成後に資金調達が必要になることがあります。自分や家族の急な入院や長期の治療、冠婚葬祭、家族の事業の失敗や介護など、危急の事態によりお金が必要になることも少なくありません。
急にお金が必要になると、今まで準備してきた資産運用の資金を切り崩すことになります。仮に資産運用の資金に手をつけたくない場合は必要な額を稼ぐしかありません。
FIRE達成後に入院や療養、介護、借金、冠婚葬祭など、自分や家族の危急の事態によって資金が必要になり、早期リタイア生活の継続が難しくなることがあります。
FIREを後悔しないためのポイント
FIRE達成前は「早期リタイアしたら生活費もある。ゆったり暮らそう」「FIRE達成後は悠々自適で好きに暮らせる。最高だな」と思うのではないでしょうか。しかし、実際にFIREを達成してリタイア生活に入ってみると「何かが違う」「やっぱりリタイアしなければよかった」と思うかもしれません。
FIREを後悔しないためにも、リタイア後の生活を視野に後悔しないよう考えておくべきではないでしょうか。
FIREを後悔しないために考えておきたいポイントは3つです。
・FIRE達成後の生活を思い描いておく
・無理のない趣味を持つ
・サイドFIREも検討する
FIRE達成後も生活は続きます。仕事をリタイアすると、今まで仕事に充てていた時間が浮いてしまいます。時間をどのように使うか考えておくべきでしょう。
FIREを目指すだけでなく、FIRE後にどのような生活をするか考えておく必要があります。無理のない趣味(FIRE生活が破綻しないような趣味)でも持って、充実した生活を送れるようにするべきではないでしょうか。
FIRE後にも仕事がしたい。時間を持て余してしまう。趣味と仕事が直結している。仕事をしていた方が生活リズムが崩れない。このような場合は、サイドFIREを検討してはいかがでしょう。
サイドFIREはリタイア後も無理のない範囲で仕事をする方法です。完全にリタイアするのではなく、フルタイムの仕事を週3日だけ行うなど、必要な資金の分だけ、気分転換のため、など、無理せず仕事をしながら半リタイアするのです。
完全にリタイアしても時間を持て余すなら、人生を充実させるためにあえて仕事をしてはいかがでしょう。FIRE達成前に独立開業できる資格を取得し、自分のペースで仕事をするのもおすすめです。
最後に
FIRE達成後に「卒業」する人もいます。理由はさまざまですが、FIREを目指すなら「卒業する可能性がある」ことを知っておくべきではないでしょうか。また、せっかくFIREを達成するなら「すぐに卒業せずに暮らすためにはどうすべきか」を考えておくことも重要です。
趣味や資格を使った仕事など、自分にあった方法を検討しておく方が良いでしょう。
FIREを達成していながらやめて勤め人に戻る人がいます。
なぜ戻ってしまうのか理由を説明し、FIRE後に後悔しないためのポイントを解説する記事です。
ついに現れた「FIRE卒業」ムーブ。不穏な米国株と物価高のおかげで“勝利の方程式”はあえなく崩壊。SNS上は「再就職大変そう」など嘲笑の嵐