FIREには4つのパターンがある!事例で徹底解説

FIREとは投資を使った早期リタイアの一種です。投資信託や株式などへの投資でリターンを得られる、そして投資に使う資金を準備しておき、仕事を早期にリタイアします。以降は投資によるリターンで可能な限り投資資金を減らさないようにして生活する方法です。

FIREについては過去の記事で解説していますので、詳しくは別記事を参考にしてください。

FIREってなに?意味・考え方・方法を解説 FIREのメリット・デメリット

FIREには4つのパターンがあります。

同じFIREでもパターンによって意味が異なるため、FIREを目指す方は基礎知識として意味を知っておくことが重要です。

近年、FIREが注目され新聞や雑誌などでも自分流の生き方として取り上げられる機会も増えています。FIRE関係のニュースや特集、情報をチェックするときに4つのパターンを知っておくことで理解度もアップするはずです。

今回の記事ではFIREの4パターンを事例つきで解説します。

FIREの基本的なステップと4%ルールについて確認

FIREの4つのパターンについて説明する前に、まずは簡単にFIRE達成までのステップと基本的な考え方である4%ルールについておさらいします。

FIRE達成までのステップ

FIREを達成するまでは3つのステップがあります。

・投資用の資金を準備する

・資金を運用してFIREが可能な額まで増やす、お金を貯める

・リタイアして運用益と貯蓄分で暮らす

FIREを決めたらまずは投資用の資金を準備します。投資用資金を株式や投資信託などで運用して増やし、同時に貯蓄などにも励みます。目標金額を達成したら仕事を早期リタイアして投資のリターンと貯蓄分で暮らすという流れです。

FIREの4%ルール

FIREには4%ルールという基本的な考え方があります。

仕事をしながら資産運用や貯蓄に励んでも、早期リタイア後に資金を繰り崩してしまうと、やがて生活資金はなくなります。そうならないために、FIREでは生活費25年分の資金を年4%で運用するという基本的な考え方があるのです。

たとえば、年間の生活費が300万円だと、25年分は7,500万円になります。7,500万円というリタイア後の資金を年4%で運用できれば、単純計算で300万円の利益です。利益で年間の生活費がまかなえる計算になります。

FIREでは年4%で25年分の資金を運用し続けることにより生活費を捻出することにより、準備した資金を切り崩すことのない生活を目指します。

以上が基本的なFIREの考え方ですが、中には25年分の資金の準備が難しいケースもあるはずです。その場合はサイドFIRE(無理のない範囲で仕事をするFIRE)などを検討します。ゆったりと仕事をすれば資産運用のリターンで暮らせるところまで準備してしまい、後は無理のない範囲で仕事の収益を得ながら暮らすわけです。

FIREの4つのパターン

FIREには4つのパターンがあります。

・Fat FIRE

・Lean FIRE

・Coast FIRE

・Barista FIRE

同じFIREでも4つのどのパターンに属するかによって生活状況はかなり変わってきます。FIREを目標にする際はどのパターンを目指すか、あるいは理想とするかよく考えることが重要です。

4つのFIREについて事例を交えて説明します。

Fat FIREとは?

Fatとは「太った」「豊かな」などの意味を持つ英単語です。Fat FIREは名前の通り、豊かなFIREを意味します。Fat FIREはFIREの中でもおそらく最も多くの方が理想とするパターンで、資産運用のリターンだけで問題なく、かつ裕福に暮らせるパターンのFIREです。

FIREを達成しても、運用益だけでは裕福な暮らしができないことがあります。たとえば年間200万円の生活費で計算してFIREを達成した場合は、とても派手な暮らしはできないことでしょう。

単身世帯の生活費は住居費を除いて月13万円は必要だと言われています。1年で156万円の生活費に加えて住居費と考えれば、かなりぎりぎりの金額ではないでしょうか。FIRE達成後の生活を「太った」「豊か」と表現することはできないかもしれません。

では、単身世帯で年の生活費1,200万円で計算してFIREを達成したらどうでしょう。この金額なら生活費の他に交遊費や趣味の費用、旅行費用なども捻出できそうです。同じFIREでもかなり違っていますよね。FIREの中では最も裕福で豊かな暮らしができるパターンがFat FIREです。

Fat FIREを達成するためには多額の資金を準備しなければならないため、FIREの4つのパターンの中でも最も達成が難しいFIREであると言えるでしょう。

Lean FIREとは?

Lean FIREのLeanとは「余裕がない」「痩せた」「乏しい」という意味の単語です。Lean FIREは先に説明したFat FIREの逆のパターンで、余裕のないFIREを意味します。

年の生活費を1,200万円と見積もって交遊費も旅行費も潤沢にあり、年の生活費が余ってしまうAさん。AさんはFIRE達成後にお金にも困らず豊かな暮らしができているため、いわゆるFat FIREです。

Bさんは月13万円の生活費に住居費を合わせて年200万円の生活費で計算しましたから、FIRE達成後も贅沢をする余裕はありません。FIRE達成後の生活を守るためにぎりぎりの生活費で頑張る日々です。

BさんのFIREこそがLean FIREに該当します。Fat FIREとは豊かな暮らしができるかどうかの違いです。多くの人は「FIREを目指すならFatが良く、Leanは避けたい」と思うのではないでしょうか。

Coast FIREとは?

Coast FIREのCoastは「海岸」という意味を持つ英単語です。Coast FIREはFIREの中でも海岸で寛ぐがごとくマイペースに生活するパターンです。

Coast FIREの場合は準備した資産の運用益で問題なく生活できます。つまり、生活費はあるので働く必要はありません。しかし、趣味や社会との関りを持ちたいなどの理由により、あえて働くというパターンのFIREです。

Fat FIREは働く必要がなく働かずに生活するパターンでした。対してCoast FIREは「家から出る必要もないけどビーチにちょっと行ってくる」くらいの感覚で、仕事をしなくても大丈夫なのに仕事をするという違いがあります。

年の生活費を600万円と見積もったAさんは無事にFIREを達成しました。運用益で生活費を賄えていますし、単身世帯なので生活費にも余裕があります。しかし、仕事をしている方が生活リズムも整うような気がしているので、週に3日だけ趣味の分野で仕事をしています。このようなパターンがCoast FIREです。

このCoast FIREを理想とする人も多いかもしれません。

Barista FIREとは?

Barista FIREのBaristaは「コーヒーを淹れる人」です。このFIREのパターンがコーヒーを淹れて生活するというわけではなく、「スタバなどコーヒーショップなどで時短労働をするFIRE」という意味でBarista FIREと呼ばれています。

Barista FIREはサイドFIREのことです。完全なFIREを達成するためにはかなりの資金を準備しなければいけません。年300万円の生活費で考えても25年なら7,500万円です。しかし、目標金額を下げたらどうでしょう。完全なFIREだとハードルが高いという人でもFIRE達成後に無理のない範囲で働いて収入を得ながら生活するのならFIREのハードルは下がるのではないでしょうか。

Barista FIREでは、今まで8時間労働していた人が生活費の大部分を運用益で賄い、足りない分を短時間労働など仕事の収入で賄います。たとえば月4万円足りないなら、月4万円稼ぐくらいの仕事をするわけです。

FIRE達成の時点で8時間労働はやめて、無理のない短時間、あるいは日数の少ない働き方をして暮らすのがBarista FIREになります。

まとめ

FIREの4つのパターンについて説明しました。同じFIREでもパターンによってFIRE達成後の生活状況がかなり変わってきます。

FIREを目標に掲げたとき、自分の収入状況や将来像からどのFIREのパターンが理想か考えておくことは重要です。FIREを目標にしている。あるいはFIREを考えているなら、理想のパターンとそこにたどり着くまでの道のりについて考えてみましょう。