個人事業主を中心に「FIRE」という考え方・方法が広がりを見せています。FIREとは一体どのような意味・考え方・方法の言葉なのでしょうか。
・FIRAの意味とは
・FIREの考え方
・FIREの方法
FIREの基礎知識である3つのポイントを解説します。
FIREを目指す方は基本的なポイントをおさえておくことが重要です。FIREをすでに実践している方も、意味や考え方、方法などの基本事項を定期的に確認することで、自身のFIRE戦略に活かすことが可能です。
目次
FIREとは何か
FIREとは早期にリタイアして不労所得で生活することです。
日本では会社員や個人事業主などとして65~70歳頃まで働くのが一般的になりつつあります。個人事業主の場合は退職年齢などあってないようなものですから、さらに高齢になるまで仕事をする人もいます。
FIREはある程度の年齢で仕事をリタイアし、預金や投資のリターンで生活します。退職年齢になる前に自分で預金や投資などで蓄えを作り、投資による不労所得を生み出せる状態で早々にリタイアしてしまう方法がFIREになります。
たとえば、50歳を目標にリタイアしたいと考えていたとします。個人事業主として働いており、収入の一部を投資し、一部は預金していました。50歳前に無事に目標額を達成し投資により今後も一定のリターンを得られる目途が立ったため、FIREを達成しました。
あらかじめ生活に必要な資金を準備し、投資により一定のリターンを得られるようにしてアーリーリタイアを実現すること。これがFIREです。
FIREの読みは?
FIREの読みはそのまま「ファイア」です。ただ、火を意味するファイアではありません。FIREは「経済の自立」と「早期リタイア」を意味する英単語の頭文字を繋げた言葉です。
Financial Independence, Retire Early
英単語の頭文字にあたるアルファベットを順番に並べると「FIRE」になります。
FIREの考え方
FIREの考え方は「経済的な自立」と「早期リタイアの実現」「4%・25倍ルール」です。
FIREの「経済的な自立」とは
65~70歳頃まで働き続けることが少なくない日本ですが、FIREの場合は退職年齢になる前にリタイアを実現するため、リタイアしたい年齢を目標に経済的な自立を目指します。
経済的な自立といえば就職して親元から独り立ちすることを想像するかもしれません。FIREの目指す自立は異なります。FIREが目指すのは早期に会社を退職・仕事をリタイアしても暮らして行ける経済的な自立です。
たとえば50歳で個人事業主をやめてリタイアするのなら、50歳の時点で「仕事をしなくても暮らして行けるように」経済的な自立をするわけです。会社や仕事の収入に頼らなくても生活できることを意味する経済的な自立になります。
具体的には、FIREではリタイア年齢までに以下のふたつを目指します。
・年間支出の25倍の資産を形成する
・年4%の資産を運用する
自分がリタイアしたい年齢までに以上のふたつを実現する。あるいは、以上のふたつを実現したタイミングで早々にリタイアするのがFIREの基本的な考え方です。
FIREの「早期リタイア」とは
FIREの早期リタイアはいちがいに年齢が決まっているわけではありません。FIREを実践する人によって自由に決めることが可能です。人によっては50歳、別の人にとっては45歳。いつからFIREを実践するかによってもリタイアの年齢が変わってきます。
FIREによるリタイアの年齢にはふたつの決め方があります。
・あらかじめ「〇歳でリタイアする」と決める
・準備が整った時点でリタイアする
ひとつ目は「50歳でFIREを実現する」と決めて資産の形成を進める方法です。たとえば25歳でFIREを決めて目標を50歳に設定するなら、50歳で早期リタイアを実現できるよう方法や計画を考えなければいけません。先にリタイア年齢を決めて、年齢から計画を立てて実践する方法になります。
もうひとつは準備を進めてアーリーリタイアを実現できる時点でリタイアする方法です。
この方法ではあらかじめ年齢を決めず、計画や方法だけ決めます。計画や方法の内容から大よそ「このくらいの年齢で早期リタイアできるだろう」と考えることはありますが、年齢は具体的に決めません。計画を実行して資産形成、つまり経済的な自立が達成された時点でリタイアするわけです。
25歳でFIREを実践するとして、準備が整うのは45歳かもしれませんし、50歳かもしれません。職種や投資成果、収入状況などによって変わってくることでしょう。25歳でFIREを実践するのであれば、次の見出しで説明する4%・25倍ルールを達成した(今後の生活でも達成できる)年齢でリタイアします。
FIREの「4%・25倍ルール」とは
4%・25倍ルールとはFIREの基本になる考え方です。
FIREで早期リタイアを実現しても、生活の中で資産が尽きてしまえば再び働かなくてはいけません。リタイアを実現し高齢になって生活資金が尽きてしまえば、労働や就労は過酷なものになるでしょう。
一般的に高齢になるほど再就職は難しく、健康や体力面でのリスクを抱えていることが多いため、頑張って稼ごうとしても体がついていきません。何より、早々にリタイアを実現した場合、仕事にブランクがあります。高齢になってから週5日働くサラリーマンや個人事業主のような生活をしなければならないとなっても、難しいケースがほとんどでしょう。
FIREではリタイア後に資産を可能な限り目減りさせないため、そして生活資金が尽きないようにするため、4%ルールと25倍ルールを実践します。
25倍ルールとは「年間支出の25倍を準備する」というルールです。たとえば年間支出が300万円であれば25倍は7,500万円になります。リタイアするにあたって7,500万円の資金を準備する必要があるというわけです。
また、FIREではこの7,500万円を可能な限り減らさずに生活します。なぜなら、準備した25倍の資金を元手に年4%の運用を目指すからです。
FIREでは自身はリタイアし、準備した25倍の資産を運用して生活資金を捻出します。お金に働いてもらうというわけです。働き手である資産を目減りさせては、その分だけ運用益は少なくなりますので、安定して4%で運用して生活資金を捻出するためには、25倍の資産を目減りさせないようにすることが重要になります。
年4%で運用すれば、その運用益で生活できるというのがFIREの考え方です。たとえば、年の支出が300万円でリタイアのために25倍である7,500万円を準備したとします。この場合、年4%で資産を運用すれば300万円ですから、年の支出を運用でまかなえるというわけです。7,500万円の資産も減らさずに済みます。
このように、FIREでは「資産準備の際は年間支出の25倍」で「年4%で運用する」が基本的な考え方になります。
FIREを実現するための方法
FIREの実践は大きく3つのステップに分かれます。
1.まずは年間支出を計算する
2.年間支出から必要な資産や運用の見込み額を算出する
3.リタイアのための目標額に向かって投資や節約をする
FIREを実現するためには、まずは年間支出を計算します。衣食住のための費用や通信費、趣味などに使う費用などを計算します。年間300万円であれば、FIREの達成に必要な25倍ルールによる額と、4%による大よその運用益なども試算しておくといいでしょう。
あとはFIREの実現のために必要な額を投資や節約による準備するという流れになります。
最後に
FIREとは早期に経済的に自立し、仕事の退職・リタイアをすることです。
早期リタイアといわれれば「資産家でなければ無理」と考える方もいるようです。FIREの場合は投資も含めて準備を進めます。会社の役員や資産家だけでなくサラリーマンや個人事業主でも実現している人はいますので、勤め人だから無理、資産がないから無理ということはありません。
FIREを目指すためには、まずは年間支出の計算からはじめてください。そして、FIRE達成のためにも、投資の勉強などを少しずつ進めることをおすすめします。