行政書士資格を取得して独立開業・雇われの行政書士をしている方の中には、
・行政書士を辞めたい
・行政書士を辞めてしまった
という方もいます。
独立開業の行政書士として仕事をしている私は、働き方も合っているし、売り上げも伸ばせているので、今のところ行政書士を辞めたいと思ったことはありません。
しかしながら、同じ頃に行書書士の勉強をしていた方や、独立開業を夢に頑張っていた方の中には「行政書士を辞めたい」と零す方もいらっしゃいます。実際に行政書士を辞めた方もいます。
これから行政書士を目指す方、独立開業を目指している方、行政書士を長く続けたいという方に、私の周囲で散見された「行政書士を辞めたくなる理由」「行政書士を辞めた理由」を生の声としてお伝えします。
辞めたくなる理由や辞めた理由を知っておくことで、「どうすれば自分はやって行けるだろう」「長く続けるにはどうしたらいいだろう」という疑問解決の手がかりになるはずです。
目次
行政書士を辞めたくなる理由/行政書士を辞めた理由
行政書士を辞めたい・辞めたくなるよくある理由をまとめました。
順番に解説して行きます。
理由①お客さんが来ないから
行政書士として独立開業をしたからといって自動的にお客さんが来るわけではありません。知人が多い方は縁故で仕事をもらえるかもしれませんが、そうでもなければ集客や宣伝広告が必要です。行政書士として独立開業しても周囲にはライバルもいますし、そもそも、独立開業したことを地域の人が知らないことも少なくありません。
独立開業後にお客さんが来ない。ライバルにお客さんを奪われる。仕事がない。こんな事情から「行政書士をやめようかな」と思う方は少なくありません。独立開業の行政書士としてやって行くなら、「お客さんが来ない」「仕事がない」「ライバルに仕事を奪われる」などの対策を練っておく必要があります。
理由②集客が面倒だったから
仕事がないことやお客さんが来ないことの対策としては宣伝広告・集客が基本的な解決策です。しかし、宣伝広告・集客に労力はつきものです。SNSでの宣伝広告などいろいろ手を出してみて、労力のわりに効果が得られないとがっかりする行政書士は少なくありません。
集客のための宣伝広告をしてみたものの、やはりお客さんが来ない。宣伝広告の労力に見合う効果が得られないため、面倒である。宣伝広告が業務に占める負担が大きい。単純に宣伝広告が面倒である。このような理由から、行政書士を断念する方は実際にいます。
理由③業務内容が難しいから
行政書士の資格を取得しても、実務をパーフェクトにこなせるわけではありません。実際に仕事をしてみると、書類の作成方法やお客さんとのやり取り、役所での手続きなど、資格試験の勉強には出てこないことばかりで戸惑います。行政書士として仕事をするためには資格の取得でやっとスタート地点に立てるようになり、そこから実務についてこつこつ学ぶ必要があるのです。
実務をやってみると「試験勉強の内容と違って合わなかった」「実務が難しい」と感じて、離れる方も一定数います。
行政書士の資格を取って独立開業を考えている方は、資格を取って仕事をはじめてから「合わない」「難しい」と悩まずに済むように、試験内容と実務は別物、試験の内容はあくまで実務をやるための必要知識という割り切りを身に着けておいた方が良いでしょう。その方が、いざ実務となってから離れずに済みます。
理由④何をしていいのか分からないから
行政書士の資格を取得する際は「試験範囲」「合格という目標」があります。しかし、行政書士として仕事をするようになると、途端に「何をしていいのか分からない」と困ってしまう方がいます。何をしていいのか分からないと困ってしまった結果、行政書士を断念するわけです。
行政書士として仕事をするためには実務や制度、役所の手続き、書類作成などについて資格取得後に学ぶ必要があります。独立開業を目指す場合は、独立開業に向けての準備など考えるべきこと、やるべきことはたくさんあります。
行政書士になって「何をすればいいか分からない」という場合は、まずは学ぶべきことを明確にして効率的に学ぶためにも、まずは行政書士事務所に就職してはいかがでしょう。事務所で雇われてみれば、学ぶべきことや仕事の手順、内容など、仕事に励んでいる間にある程度の知識がつくはずです。
理由⑤インボイス制度がはじまるから
2023年10月からインボイス制度がはじまります。インボイス制度は個人事業主として仕事をする行政書士にも影響の大きい制度になります。
インボイス制度を理由に個人事業主/フリーランスを辞めたいと思っている、辞める予定である行政書士も実際にいます。こうした制度・税金の変化により「今が辞め時だ」と判断し、行政書士を辞めてしまうケースも実際に少なくありません。
理由⑥お客さんとの価格交渉が辛いから
行政書士として独立開業すると報酬・サービスごとの価格なども自分で決めることになります。もちろん、お客さんとの報酬・サービス価格の交渉も自分で対応しなければいけません。
「価格交渉が好き」というフリーランス/個人事業主は極めて少数はではないでしょうか。どちらかというと「価格の話はしにくい」「価格交渉は胃が痛い」という方が多いことでしょう。
こういったお客さん・クライアントとのやり取りが苦手で行政書士をはじめとした個人事業主/フリーランスを辞めてしまう方もいます。
理由⑦役所とのやり取りが面倒だから
行政書士の仕事では役所が関わることも少なくありません。書類作成・提出の際に役所に確認や質問をするなど、役所とやり取りすることは日常的によくあることだと言えるでしょう。
しかし、役所で対応するのも人間。行政書士も人間です。役所の窓口担当とそりが合わないことや、態度や対応の面で嫌な思いをすることもあります。顧客対応だけでなく、役所と関わることが嫌、あるいは嫌な思いをしたことが理由で行政書士の仕事を控えてしまうケースや、辞める際の一因になるケースもあります。
理由⑧顧客のクレームや要望の対応が大変だから
行政書士などの個人事業主が誠意ある対応をしても、顧客から無理な要望や予想外のクレームを受けることは実際にあります。また、近年問題になっているネット上の誹謗中傷なども、行政書士として仕事をする中で無関係ではありません。
こうしたクレームや誹謗中傷などにより心が折れてしまい、行政書士を辞めようと思う方や、行政書士を辞める方がいます。
理由⑨業務のプレッシャーが凄いから
行政書士の仕事は依頼者の人生に関わる仕事です。
たとえば、飲食店開業のための手続きを依頼されたとします。手続きミスで計画に遅れが出てしまったり、店を開業できなくなったりすると、依頼者の人生にマイナスの影響が出てしまうと言えるでしょう。
行政書士の手続きひとつ、仕事ひとつで依頼者の人生や今後に影響が出ると考えると、やはり業務にはプレッシャーが付きまといます。
さらに、行政書士の仕事は行政手続きや法律についてよく知っていなければできません。仕事の中で難しいことを相談されることや、力不足を痛感させられることも出てきます。こうしたプレッシャーや心の葛藤から「行政書士を辞めよう」と考える方や、実際に辞める方がいます。
最後に
行政書士を辞めるよくある理由や、辞めたと思うよくある理由についてお話ししました。
私(行政書士)は幸いにもまだ「辞めたい」と思ったことはありません。ですが、今後、これらの理由に突き当たって「辞めたい」と思う可能性もゼロではありません。現役の行政書士でもこうなのですから、これから行政書士を目指す方や独立開業を計画している方も、いつ「理由」ができるか分かりません。
辞めたくなる理由や、辞めた理由を知って、メンタル面や仕事で注意できることは注意すべきではないでしょうか。