行政書士の費用相場は?料金が不安な人に現職が教えます。

行政書士に仕事をお願いしたくても費用が心配で・・・。

行政書士に書類作成や手続き再考を依頼したら料金はどのくらいになるものですか?

行政書士として仕事をしていると、よく費用/料金について不安だという声を耳にします。

現役の行政書士としては「誰かの『ありがとう』のためなら料金なんて!」という気持があっても、現実的には不可能です。行政書士にも生活がありますしね。行政書士として仕事をしたら、相応の料金をいただかなければいけません。では、その「相応の料金」とはいくらか、という話ですよね。

皆さんが非常に気にするポイントである行政書士の費用/料金について現役の行政書士が解説します。行政書士の費用/料金で不安なときに参考にしてください。

行政書士の費用/料金の相場は存在しないって本当?

行政書士の費用/料金は法律で決まっているわけではありません。行政書士の仕事をうけてどのくらいの費用/料金を設定しているかは行政書士事務所によります。だからこそ、行政書士の費用/料金は「相場は決まっておらず行政書士による」としか言えません。

行政書士に依頼をすると、A行政書士とB行政書士で違った費用/料金を請求されることは、よくあることです。行政書士の費用/料金に相場が存在しない理由について、簡単に説明します。理由を知れば「確かに費用/料金の相場はないかも」と理解していただけるはずです。

理由①行政書士の費用/料金は自由に決めて良いルールだから

行政書士の費用/料金は行政書士や事務所が自由に設定して良いというルールになっています。そのため、その行政書士の仕事傾向や周辺相場、仕事内容などを踏まえて行政書士ごとに自由に設定しているのです。

たとえば、A行政書士に手続きに使う文書作成を依頼しました。同時に、B行政書士にも、まったく同じ内容の書類作成を依頼しました。まったく同じ内容の仕事でも、A行政書士とB行政書士の費用/料金の設定は基本的に違いますから、同じ仕事内容に対して違った行政書士費用/料金を請求されるというわけです。

法律などで行政書士の費用/料金を決めていないところが、行政書士費用/料金への不安や相場の掴みにくさに拍車をかけているのかもしれないですね。

理由②案件によって仕事内容がかなり違っているから

法律などのルールで行政書士の仕事の費用/料金が決まっていないなら「費用/料金の額をルールで決めてしまえば分かりやすくなるのでは」と思うかもしれません。実は、行政書士の仕事内容を考えると、それは難しい話なのです。行政書士の仕事内容は個別の案件でかなり違います。それだけ行政書士は幅広い仕事に携わり、個別の案件ごとに事情が異なるということなのです。

たとえば、Aさんから「遺産分割協議書を作成して欲しい」と言われました。遺産分割協議書を作成するためにAさんから話を聞くと、相続人はAさんとBさんのご兄弟だけで、被相続人(亡くなった方のことです)の遺産は預金数万円と自宅の家・土地だけだそうです。

AさんとBさんは話し合い、被相続人と同居していたAさんが遺産すべてを受け継ぐことになりました。相続関係を見ればシンプルですし、遺産も比較的シンプルなケースですので、本のような遺産分割協議書になることはありません。

では、CさんとDさんのケースはどうでしょう。

CさんとDさんは行政書士に遺産分割協議書の作成を依頼しました。相続人はCさんとDさんだけでなく他にもいます。遺産は不動産から預金、有価証券、美術品まで複数あります。この相続ケースの場合はAさんBさんのケースより相続人が多く遺産も多いですから、遺産分割協議書に記載する内容が増えることが想定されます。よって、遺産分割協議書の枚数も増えることでしょう。

ふたつの相続ケースは同じ遺産分割協議書に作成依頼ですが、仕事内容にかなり差があることが分かります。行政書士にとっても、仕事内容の違いから仕事にかける労力や時間が変わってくるのです。一律に費用/料金を決めてしまうと、仕事内容によって「これは費用/料金に見合わない」となってしまうわけです。

行政書士の仕事内容は案件によって仕事量や要する時間に差が出るからこそ、一律に決められず、仕事に合わせて柔軟な費用/料金の設定をしているのが現状になります。

理由③行政書士の仕事の経費が費用/料金に関係してくるから

行政書士の懐に入る報酬というわけではありませんが、行政書士が仕事をする際に交通費や宿泊費などの経費を要した場合は依頼者に請求することがあります。

経費には案件によって差が出ます。遠方の行政書士に依頼するとそれだけ経費がかかる可能性があるなど、さまざまですよね。

たとえば相談の際にどうしても交通費などの経費が発生するとします。A事務所に相談した場合は交通費だけですが、B事務所は距離の関係で交通費と宿泊費が必要でした。このように事務所との距離や手続きしなければならない場所により、経費の発生状況や経費の額も変わってくるわけです。

経費も入れて行政書士費用/料金を請求されると考えれば、費用/料金が行政書士・事務所ごとにかなり金額がずれてしまうことを分かっていただけるのではないでしょうか。

日本行政書士会連合会では費用/料金の統計を公開している

行政書士の費用/料金は仕事内容・案件の事情・経費などによりかなり変わってきます。そこに、行政書士ごとの費用/料金の設定が違うという事情がさらに加わるため、相場という相場が存在しないのが現実です。

しかし、目安になる金額が存在しないわけではありません。

日本行政書士会連合会では、行政書士費用/料金の統計データを公開しています。2021年12月9日現在、最も新しい費用/料金の統計データは令和2年の分です。

日本行政書士会連合会の統計データは、行政書士に依頼した仕事の内容ごとに費用/料金の「最小金額」「最大金額」「平均額」が見られるようになっています。仕事内容ごとにかなり細かくデータとしてまとめられていますので、行政書士に仕事を依頼したいときの費用/料金の目安になるはずです。

統計データのファイルは日本行政書士会連合会のサイトからダウンロードできます。

≫https://www.gyosei.or.jp/about/disclosure/reward.html

行政書士の費用/料金に不安を持っているなら、仕事内容から費用/料金の目安をチェックしてみてはいかがでしょう。ただし、あくまで目安であることを忘れないでください。

行政書士の費用/料金で困ったときは見積を活用しよう

行政書士の費用/料金の相場を知りたいときに一番良い方法は見積もりを取得することです。行政書士に以下のふたつのことを話し、見積もりを出してもらうといいでしょう。

・行政書士に依頼したい仕事の内容

・仕事にまつわる事情や情報

行政書士の多くは、見積もりは基本的に無料でやってくれると思います。ひとつの行政書士事務所にしか見積もりを依頼できないというわけでもないため、いくつかの事務所に見積もりを出してもらって比較するという方法もあります。

なお、見積もりの際に行政書士に相談をする場合は、別途相談料が発生することがあるため注意してください。電話やメールで簡単に費用感などを尋ねる方法もあります。

まとめ

行政書士の費用/料金についてお話ししました。

行政書士に仕事を依頼した場合、仕事内容や案件の事情、仕事量、経費などに応じて費用/料金を払うことになります。行政書士の費用/料金は行政書士ごとに決めて良いことになっているため、事務所によって料金設定が変わってきます。案件によってもかなり違うため、相場らしい相場は存在しません。

ただ、日本行政書士会連合会では統計データを公開していますので、ある程度の目安を知っておきたい場合は参考にしてもいいでしょう。見積もりを取得すれば、その案件に合わせたより詳細な費用/料金が分かります。見積もりもぜひ活用してください。