行政書士の大変なところ・良いところ

行政書士の仕事を実際に経験してみると、実務を経験する前には気づかなかった「大変なところ」や「良いところ」に気づきます。やはり実際にやってみないと分からないことってありますよね。

今回は実務経験者の視点から2つのことをご紹介したいと思います。

・行政書士の実務を経験して気づいた大変なところ

・行政書士の実務を経験して分かった良いところ

行政書士の大変なところ

行政書士をやっていて「大変だな」と感じたところは4つあります。

・行政書士は仕事の範囲が広い

・行政書士は新規開拓が必要

・スケジュール管理しないと休みがない

・自分で将来の備えを準備しなければならない

行政書士は仕事の範囲が広いので「何を専門(仕事)にするか」で迷う

行政書士の職域はかなり広いものです。

法律に関する文書作成から相続や離婚関係、行政窓口での許認可の取得までいろいろです。すべての仕事を手広くやっている行政書士もいますが、どちらかというと職域の一部(得意分野)で仕事をする行政書士の方が多いのではないでしょうか。たとえば、行政官庁の許認可を取得する仕事などを専門にしたり、特定の分野の書類作成をしたり、ですね。

行政書士として実務に携わる前から「広域で仕事をする行政書士をやる」「行政書士の仕事の中でもこの分野を専門でやりたい」と決められるといいのですが、実務をやってみないとまず無理です。なぜなら、行政書士として実務を経験してはじめて分かってくることだからです。資格をとるときはそこまで考えて勉強しませんよね。試験のことで手いっぱいですから。

行政書士の職域は広いため、自分で「どうやって仕事をしていくか」を決めなければならないという点で大変です。

行政書士は新規開拓が必要!自分でお客さんを見つけなければならない

行政書士として独立開業したからといって自動的にお客さんが来てくれるわけではありません。インターネットのホームページやブログを開設したり、隣接業界や事業主といった行政書士の職域と関係の深い人たちとつながりを持つように努力したりと、自分で集客しなければならないのです。

弁護士や税理士の場合は顧問契約を結び継続してひとりのお客さんや企業の仕事をするケースもあります。顧問契約を結べば契約中は顧問としての報酬を得られるので、契約数によっては新規のお客さんを積極的に探す必要もないかもしれません。

しかし行政書士の場合は弁護士や税理士より顧問契約というケースは少数派だと思われます。顧問をしている行政書士がゼロというわけではありませんが・・・。基本的に行政書士は常時、新しい案件や顧客を見つけ続けなければいけません。

常に新規開拓を続けることはそれなりにストレスです。自分から開拓しなければならないため、仕事が入って来ないのではないかという不安もつきまといます。

行政書士は頑張ってスケジュール管理を徹底しないと休みがない

行政書士は個人事業主として仕事をしている人が多いため、スケジュール管理も基本的に自分です。会社が定めた休日や就業時間に縛られることもありません。行政書士事務所の場合は事務所の対応時間が定められていますが、その事務所で仕事をしている行政書士が事務所通りの時間で仕事をしているとは限りません。

たとえば、事務所の対応時間が9時から17時半までだったとします。行政書士もこの事務所の時間は基本的に仕事をしています。ただ、時間外の早朝や深夜も仕事をしていることは珍しくありません。行政書士などの個人事業主は自分で仕事のスケジュールを立てるため、事務所がお休みの土日祝日や夜間なども普通に仕事をしていることも珍しくないのです。

行政書士は就業時間に拘束されませんから、仕事があればやってしまう。個人事業主の経験がある人なら覚えがあるのではないでしょうか。

スケジュール管理で「休みは休む」「この時間になったら仕事を切り上げる」と徹底しないと、際限なく仕事をしてしまい、休みがなくなってしまいます。中には行政書士として働きはじめてから「休みどころが分からない」と悲鳴を上げる人もいます。

将来が不安なら自分で知識をやしない備えを準備しなければならない

行政書士は基本的に個人事業主ですから、会社員のような厚生年金はありません。国民年金が基本的な将来の備えになります。

預金をしていれば、預金も将来の備えといえるでしょう。しかし、国民年金は5万円ほどが平均ですから、備えとして十分とはとてもいえません。老後に衣食住や旅行、趣味、納税をすべて十分にまかなうだけの預金を準備することも、よほどの富裕層でなければ無理でしょう。個人事業主である行政書士は、国民年金や預金の他に将来の備えを考え、自分なりに準備しなければならないという難しさがあります。

方法としては小規模企業共済や付加年金などが考えられます。あとは、投資です。自分なりに知識を深めて将来の備えのために動かなければならないという点で、行政書士には大変さがあります。

行政書士の良いところ

行政書士の良いところは4つあります。

・都合に休日をあわせやすい

・すき間時間を作りやすい

・自分のペースで仕事ができる

・頑張れば収入アップしやすい

行政書士は自分の用事や都合に休日をあわせやすい

行政書士は自分の仕事のスケジュールは自分で立てるので、休みをとれない。仕事をどんどんやってしまうという困ったところがありますが、反対にスケジュールを調整できれば休みやすいという良いところもあるのです。

行政書士は会社の就業時間や休日に拘束されませんから、仕事に慣れてくれば「1カ月後に家の用事で休みたい」「そろそろリフレッシュのため1度休みをとろう」など、自分や家族にあわせて休みをとりやすいといえます。会社のように上司に「有給ください」と申請する必要もないため、気持ちが楽だという良い点もありますよ。

行政書士はすき間時間を作りやすい!投資もすき間時間でOK

行政書士は休みも作りやすいですが、すき間時間も作りやすい仕事です。

たとえば投資をしている場合、会社勤めのサラリーマンだと離席が難しいところがありますよね。自分のデスクで投資していると周囲に「仕事時間に?」という目で見られることもあります。液晶越しに投資や個人の情報を見られてしまう可能性もあるため、やりにくいのではないでしょうか。その点、行政書士なら「ここまでやったら休憩」という感じで、すき間時間を捻出しやすいのです。

行政書士の場合は将来の備えは基本的に自分でどんどん考え、どんどん準備し、良さそうなサービスがあれば調べなければいけません。行政書士には厚生年金などないからです。すき間時間に投資もするなら「自分のための福利厚生」という感じで、すき間時間を作る精神的な呵責も少ない点も良いですね。

行政書士はスケジュール管理で自分のペースで仕事ができる

行政書士は休日やすき間時間以外にも、自分のペースで仕事のスケジュールを組み立てられます。就業時間には基本的にあまり拘束されませんので(クライアントの就業時間などはさすがに考慮しますが)、ある日は夜中まで仕事をして、次の日は仕事を緩めにするということも可能です。

行政書士の仕事に慣れてくると、案件を見れば、どのくらいの時間を要するか分かるようになります。時間がかかる仕事やすぐにできる仕事、ある程度の期間を要する仕事などを自分で仕分けできるようになるため、さらにスケジュール調整しやすくなり、自分のペースでどんどん仕事ができるようになります。

行政書士は仕事を頑張ればそれだけ収入アップしやすい

行政書士は自分で仕事を受けて報酬も自分がもらえます。そのため、頑張って集客して仕事をこなせば、その分だけ収入アップするというメリットがあります。

会社の場合はどれだけ契約をとっても、仕事を頑張っても、会社の懐に入るわけです。昇給すればいいのですが、そうでなければ決まったお給料をもらって終了ですよね(手当などは上乗せされるでしょうが)。行政書士は仕事をやればやるだけ自分の収入になるので、その分だけモチベーションアップになります。

まとめ

行政書士の良いところ、大変なところについてまとめました。

行政書士の良いところは、やはり自分のペースで仕事ができること。対して大変なところは、仕事が不安定で、将来の備えも不安なところでしょうか。行政書士に興味がある人や資格を取ろうと思っている人、これから個人事業主としてやっていこうと思っている人は、このあたりの事情について考えておいた方が良いかと思います。

→自分で新規開拓して、どんどんお客さんを見つけないと。でも、休みを柔軟に作れるし空き時間に投資などもできるよ。