行政書士と司法書士の違いは?現役士業が具体例で解説

よく混同される資格に行政書士と司法書士があります。同じ士業ではあるのですが、行政書士と司法書士は仕事内容に違いがあります。

手続きや法律関係のことで困ったとき「どっちに相談すればいいの?」となってしまいませんか。行政書士と司法書士の違いを理解して相談しないと「それ、うちではできませんね」となってしまう可能性があるのです。困っているときに行政書士と司法書士を混同して相談すると、無駄足になるかもしれません。

混同されがちな行政書士と司法書士の違いについて現役士業が説明します。

行政書士と司法書士には「仕事」「管轄」「バッジ」の違いがある

行政書士と司法書士には4つの違いがあります。

・行政書士と司法書士ではバッジが違う

・行政書士と司法書士では管轄が違う

・行政書士と司法書士では試験内容が違う

・行政書士と司法書士では仕事が違う

行政書士と司法書士ではバッジが違う

行政書士と司法書士は同じ士業ではありますが、資格を証明するバッジが違います。

同じ士業というくくりでも、それぞれの資格ごとにバッジはオリジナルのデザインになりますので、司法書士と弁護士ももちろんバッジが違いますし、税理士や弁理士などとも違います。士業のバッジに詳しい人の場合はバッジの違いでどの士業か見分けることが可能です。

まず司法書士のバッジですが、デザインは桐の花です。桐は鳳凰(ほうおう)という空想上の鳥の止まり木だと言われており、国や家を象徴する紋様の代表格のひとつになります。司法書士は不動産に関係の深い士業ですから、鳳凰の止まり木がバッジデザインになっているのはぴったりかもしれません。

行政書士のバッジデザインはコスモスの花です。コスモスの花言葉は調和になります。行政書士は相談者のニーズに応じて手続きや書類作成に関わりますので、訴訟と関わる弁護士(場合によっては司法書士も)より平和産業かもしれません。調和を意味するコスモスが紋章として使われているのも納得ですね。

行政書士と司法書士は管轄が違う

行政書士と司法書士では管轄が違います。管轄というか、管轄している存在が違うといいますか。

各資格には、その資格を管轄している団体・官公庁があります。行政書士と司法書士はどちらも官公庁の管轄ですが、管理している官公庁が違っているのです。

司法書士は法務省が管轄している士業資格になります。次の見出しで詳しくお話ししますが、司法書士は仕事でも法務省(法務局)と関係が深い資格です。そのため管轄も法務省になります。

行政書士は総務省が管轄している士業です。

行政書士は仕事柄、自治体の窓口などに足を運ぶことが多い仕事になります。また、ピンポイントに法的な窓口というより、官公庁の各手続き窓口に足を運ぶことも多いです。会社の総務はいろいろな手続きを扱いますよね。だからこそ行政書士も総務省が管轄というのは、仕事内容を知れば納得だと思います。

行政書士と司法書士では資格試験の内容が違う

行政書士になるためには行政書士試験をパスしなければいけません。司法書士になるためには司法書士試験をパスしなければいけません。これはよく知られた違いだと思います。

ただ、具体的な資格試験の内容がかなり違っていることは、実際にふたつの資格をパスした人や試験勉強の経験がある人くらいしか知らないのではないでしょうか。

行政書士試験と司法書士試験、どちらにも共通の内容があります。ふたつの試験に共通の試験内容の代表格は民法です。民法とは相続や結婚・離婚、親族、養子縁組、契約、損害賠償請求などにまつわる法律になります。

たとえば、有名なこの法律。親族の範囲を決めた法律です。法律だと意識せず、普段から親族の範囲として何気なく使っているのではないでしょうか。

第七百二十五条 次に掲げる者は、親族とする。

一 六親等内の血族
二 配偶者
三 三親等内の姻族

引用 :https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

これは民法の条文のひとつです。内容的に身近ですよね。行政書士と司法書士はどちらも仕事で民法を使いますから、試験内容には共通で取り入れられています。

行政書士と司法書士の試験内容の違いといえば、行政法の有無や登記法の有無です。行政書士は行政手続きに関与するため、試験内容に行政法があります。対して司法書士は行政手続きにノータッチというわけではありませんが、メインの仕事ではないため試験内容に行政法はありません。その代わり、商業登記法や不動産登記法など、登記にまつわる法律が試験科目に入ります。

行政書士と司法書士では資格のときの科目が違っています。そもそも、仕事の内容に違いがあるため、違いに合わせて試験内容にも違いがあるという感じです。

行政書士と司法書士では仕事内容が違う

行政書士と司法書士の最大の違いは仕事内容です。同じ士業で法律系の仕事ではありますが、行政書士と司法書士の仕事内容にはかなり違いがあります。

司法書士のメインの仕事は登記|仕事の違い具体例

司法書士のメインの仕事は不動産登記と会社登記(商業登記)です。

たとえば、会社を設立したいとします。会社・法人を設立するときは設立登記をすることになるわけです。また、会社を運営していると、役員の入れ替えや当初の登記の内容と変更しなければならない事態なども発生します。このようなときに会社の登記をおこなうのが司法書士です。

登記と言えば忘れてはならないのが不動産登記になります。

たとえば、家を買ったとします。家を買ったときに何をするかというと、買主から売主へ家の名義変更をしますよね。また、住宅ローンを借りて家を買った場合は、家に金融機関の担保を設定するはずです。このようなときに不動産登記を担当するのも司法書士になります。

あとは、相続の際は司法書士と関わる機会が多いかもしれません。

遺産の中に不動産があると、亡くなった人から相続人に名義変更します。

たとえば祖父が亡くなって祖父名義の自宅と土地が遺産だったとします。相続人は祖母と息子でした。このようなケースでは祖母と息子で遺産分割協議をして祖母あるいは息子のどちらかに自宅と土地を相続させることもあれば、自宅と土地を祖母と息子で共有する場合もあります。どちらにせよ、相続により祖父から相続人に名義変更するときは相続登記をすることになるため、司法書士の出番です。

このように、司法書士は法律実務の中でも登記の専門家になります。登記は法務局でおこないますから、法務省が司法書士を管轄しているのも納得ではないでしょうか。

行政書士のメインの仕事は書類作成|仕事の違い具体例

行政書士は文書作成の専門家です。法律事務の中でも行政官庁や自治体などに提出する文書を作成したり、個人の契約や権利にまつわる文書を作ったりするのが行政書士になります。

行政に提出する書類は「難しい」「面倒」という印象がありませんか。何かの申請に行くときにきちんと記載したつもりなのに「ここ、記載が漏れていますね」と言われたり、きちんと準備したはずなのに「添付書類が足りませんね」と言われたりします。行政の窓口の手続きによって手続き内容や作成すべき書類、準備すべき添付書類なども違うのです。

行政書士は手続きに応じた書類を作成するプロになります。行政書士が手掛ける書類には営業許可や建設許可などの書類があるのです。

この他に、行政書士は個人の書類も作成します。遺産分割協議書や遺言書などが代表例です。司法書士が登記の専門家だったことと比較してみてください。

最後に

行政書士と司法書士は同じ士業であり法律を使う仕事です。バッジを持つ専門家でもあります。また、行政書士と司法書士は混同されがちな資格でもあります。

行政書士と司法書士にはバッジの紋様や資格試験の内容、管轄する官公庁などの点で違いがあるのです。

行政書士と司法書士の最も大きな違いは仕事の内容になります。行政書士は文書作成や行政窓口への申請などが主な仕事内容ですが、司法書士は登記がメインの仕事です。

行政書士と司法書士は違いのある資格ですから、司法書士の仕事を行政書士に依頼すると断られる原因になります。反対に行政書士の仕事を司法書士にお願いすると「できません」と言われる可能性が高いです。

専門家探しの参考にしてください。