行政書士を取得するなら働きながら?それとも仕事を辞めるべき?

行政書士など士業の資格を取得するためには、勉強時間・期間も長くなってしまいます。資格の合格を目指して勉強する際は仕事を辞めて勉強に集中するべきでしょうか。それとも仕事をしながら資格取得を目指すべきなのでしょうか。

現役の独立開業の行政書士が「資格を取るなら仕事を辞めるべきか?」に回答します。また、仕事を辞めて行政書士の資格試験に専念するかどうかの判断ポイントについても、経験者としてお話ししたいと思います。

行政書士を取得するなら仕事は辞めるべきか?

仕事をやめて資格取得に集中した方が良いかどうかは状況によります。

たとえば、仕事を辞めても投資や不動産での収入があって「働かなくてもそれなりに生活できる」という状況であれば、勉強に集中するために仕事を辞めることも方法のひとつかもしれません。

ただ、行政書士の取得を目指すからといって、いきなり仕事を辞めることはおすすめしません。

行政書士の資格を取得するには時間がかかります。行政書士試験の場合、勉強をやってみて「難しいから止めた」となることもあります。資格の取得を止めたからといって、辞めた仕事に復帰できるわけではありません。

最終的にはケースバイケースです。仕事を辞めるかどうかは「辞めた場合」「仕事を辞めずに勉強する場合」を比較して決める必要があります。

仕事を辞めて行政書士を取得するかで迷ったら?判断ポイント

仕事を辞めて行政書士を目指すか、それとも仕事をしながら資格取得を目指すかは、次の5つのポイントで考えて決めることをおすすめします。

・勉強時間

・生活と収入

・合格の可能性

・メンタル

・本気度

行政書士の資格取得にかかる時間は500~1,000時間

行政書士の資格試験に合格するためには500~1,000時間の勉強が必要になると言われています。

仕事をしながら毎日1時間ずつ勉強するとして、1年以上かかる計算です。毎日2時間ほど勉強すれば、最低限のラインを確保できると言えるでしょう。

仕事をしながら資格取得を目指すか、それとも仕事を辞めて目指すかを考える際は「勉強時間の確保」「仕事をしながら勉強を続けられるか」などが問題になります。

・仕事をしながら勉強時間を捻出できるか

・仕事をしながら勉強を続けられるか

仕事の拘束時間は人それぞれではないでしょうか。

仕事をしながら資格を取得したという人も実際にいます。ただ、そういった人は仕事・残業・土日祝日などの勤務を含めてもある程度の仕事時間を確保できていたからです。

早朝から深夜まで仕事をしている。ほぼ休みがない。このようなケースだと、資格取得に向けて頑張ろうと固く決意していても、現実問題として勉強時間の確保が難しい可能性があります。行政書士の資格を取るとして、現実問題として「勉強時間を確保できるか」を考えて決める必要があります。

さらに、仕事をしながら勉強を続けられるか考えることも重要です。仕事での拘束時間が長いと、毎日一定の勉強時間を捻出することも難しいかもしれません。また、仕事時間が不安定な仕事(夜勤などが多い仕事など)の場合は、やはり毎日一定の時間を捻出することが難しい可能性があります。

仕事をしながら「勉強時間を確保できるか」「続けられるか」考えて判断することがポイントです。

仕事を辞めて生活できるかを考える

行政書士を取得するために勉強に専念したいと思っても、現実問題として生活が可能かどうかが問題です。勉強に専念したくても、現実的に「仕事を辞めたら食べて行けない」という状況では、仕事を辞めて資格試験に向けて勉強することは難しいと言えるでしょう。

・仕事を辞めて(収入源がなくなって)生活できるか

・生活状況は問題ないか

資格試験のために仕事を辞めるかどうかで迷っているなら、2つのポイントを判断の参考にする必要があります。

仮に仕事を辞めても生活できる状況で、いずれ今の仕事を辞めようと考えているなら、早めのタイミングで「辞める」という決断をしてもいいかもしれません。

また、仕事以外にも不動産や投資などの収入源がある場合や、仕事をしている家族がいて「資格試験を頑張ってみれば?」と言っているなら、仕事を辞めて勉強に専念することもひとつの方法だと言えるでしょう。

仕事を辞めたからと言って確実に合格するわけではない

行政書士試験は難易度の高い資格試験です。仕事を辞めて勉強に専念したからといって必ず合格するとは限りません。仕事を辞めようが、辞めずに勉強しようが、合格するときはします。試験に落ちるときは落ちます。これは資格試験すべてに言えることです。

資格試験に合格する可能性がかなり高く、すでに合格後を視野に動き出しているなら、早めに仕事を辞めて勉強と今後の仕事の準備に取りかかることも選択肢のひとつかもしれません。ただ、簡単に合格する試験ではないことと、合格に100%確実がないことを参考の上で判断する必要があります。

仕事を辞めることでメンタルにも影響するケースがある

いざ仕事を辞めて勉強に打ち込もうとしても、仕事を辞めたことがメンタルに影響して勉強が思うように進まないことがあります。

たとえば、2年間生活できる貯金があったので、仕事を辞めて行政書士の勉強に打ち込むことにしました。仕事を辞めたことで勉強に専念できると思っていましたが、「2年後には貯金が尽きてしまう」「資格試験に合格するだろうか」と不安になってしまい、かえって勉強に打ち込めなくなってしまいました。メンタル面が不安定になってしまったのです。

仕事を辞めることで「これで気合を入れて勉強できる」と打ち込めるタイプと、かえって不安定になってしまうタイプがいます。メンタルが不安定になってしまうタイプにとっては、仕事をしながら勉強をしていた方がかえって安定して結果を出せるケースもあります。

自分が仕事を辞めて勉強がはかどるタイプか、それとも不安に感じるタイプか、自分のタイプを考えて判断することが重要です。

行政書士試験への本気度も考えて決める

行政書士試験に対して本気度が低い場合は簡単に仕事を辞めない方がいいと言えるでしょう。

たとえば「何か資格試験を取りたい」と考えていたとします。行政書士も選択肢のひとつに入れていました。まだ「資格を取ろうかな?」という段階です。このような段階では資格取得への本気度は低いと言えるのではないでしょうか。本気度の低い段階でいきなり仕事を辞めてしまっては、後悔する可能性があります。

「絶対に行政書士を取る」「そのために、計画を立てた」「綿密な計画に沿って進める」など、少なくともこのくらいの本気度・計画は必要です。仕事を辞めるかどうかは資格取得の本気度も参考に考えてみましょう。

最後に|まずは勉強時間をどのくらい取れるかなど、考えてみよう

行政書士の資格試験を取りたいなら「勉強のために仕事を辞めよう」と即決するのではなく、勉強に充てる時間の有無や収入状況、生活、仕事を辞めてメンタルが不安定にならないかなど、考えて決めることが重要です。

生活状況や収入状況などが1人ずつ違うからこそ、「仕事を辞めて勉強に集中した方がいい」とは言えません。

生活できる仕事以外の収入や預金があっても、仕事を辞めたことで「資格、大丈夫かな」と不安になってしまう人もいます。仕事をしているということは、保険のひとつ、精神安定剤のひとつになると言えるでしょう。だからこそ、生活のことや自分自身のことなど、よく考えて決めることをおすすめします。