自己資金があっても創業融資は借りるべき?

独立開業する際は何かと物入りです。事業が安定するまでの資金なども必要ですから、独立開業のためには「資金準備」は欠かせないと言えるでしょう。

ただ、資金準備の方法は人それぞれです。中には「自己資金で準備した」という方もいらっしゃることでしょう。特に事務所を借りず高額な機器なども必要ない業種では、自己資金だけで独立開業することも珍しくありません。

仮に自己資金で独立開業できる場合でも創業融資は借りるべきなのでしょうか。自己資金で独立開業できそうな場合でも、創業融資を借りることには何かメリットがあるのでしょうか。

この記事では独立開業の行政書士が、

・自己資金で独立開業できる場合でも融資を受けるべき?

・自己資金があっても創業融資を受けるメリット

独立開業時の資金問題「創業融資は借りるべきか」について3つのポイントで解説して行きます。

これから独立開業を検討している方はいずれかの時点で資金問題に突き当たるはずです。すでに資金について「どうすべき?」と悩んでいるかもしれません。そんなときに、この記事を役立てていただければと思います。

自己資金で独立開業できる場合でも融資を受けるべきか?

結論から言うと、自己資金があっても融資は受けるべきです。

なぜ融資を受けるかと言うと、そこには4つのメリットがあるからです。中でもメリットのひとつ「会社や別業種との繋がりを作れる」は、独立開業後の売上にも影響する重要なポイントです。

特に「返済で困るという確証がある」「融資を受けることが極めて難しい」ということでなければ、開業資金に困っていなくても融資は受けた方が良いと言えるでしょう。

自己資金があっても創業融資を受けるメリットは4つ

融資を受けると「返済しなければならない」というデメリットがあるため、資金があるなら融資を受けずに開業した方が良いと思うかもしれません。

お金があっても融資を受けることには次の4つのメリットがあります。開業後のことを考えるなら、むしろ資金があっても融資を受けるべきだと言えるでしょう。

自己資金があっても融資を受けるメリットは次の通りです。

・開業時の資金計画は意外と狂いやすい

・資金が必要になってから融資に動いても遅い

・開業後に融資が必要になったときに借りやすくなる

・融資により金融機関と繋がりができる

メリット①開業時の資金計画は意外と狂いやすい

独立開業する際にしっかりと資金計画を立てても、資金計画は意外と狂うものです。なぜなら、「実際にやってみること」と「机上の計画」は違うからです。

たとえば、2022年に開業のための資金計画を立てたとします。事業に使う機器の資金もしっかり計上して計画を立てたはずですが、2023年になると部品不足から機器の価格が上がってしまいました。このようなことは決して珍しいことではありません。時間の経過と共に資金計画が狂うことがあるわけです。

この他に、実際に開業準備をしてみると、資金の計上時には考えていない出費や予想外の出費が付きものになります。開業時の資金計画は狂いがちなので、融資によって開業資金を補強しておいた方が安心です。

メリット②資金が必要になってから融資に動いても遅い

開業後に事業資金が不足することがあります。

開業資金の際は事業の運転資金なども考えておく必要があるのですが、中には「考えていなかった」「見積もりが甘かった」というケースもあります。また、実際に事業をやってみると、思っていたより軌道に乗るのが遅いというケースもあるのです。そうすると、当初計画していた運転資金が足りず、困ってしまう結果になります。

いざ運転資金が足りないとなってから融資に動いても、融資が実行されるまでは月単位の時間がかかることも珍しくありません。事業年数の少なさや事業の規模、経営状態などから融資を断られることもあります。お金が足りなくなってから融資に動いても手遅れになることが多いのです。

開業時に融資を受けることで、事業の運転資金にも余裕を持たせることが可能です。

メリット②開業後に融資が必要になったときに借りやすくなる

開業時に融資を申し込んでおくと、事業開始後に「お金が必要になった」というときに融資を受けやすくなります。

一般的に融資の手続き・審査は最初のときが一番時間がかかります。なぜなら、その金融機関に融資の際の情報が一切ないからです。二度目以降の融資では一度目の記録があり、場合によっては返済の実績なども分かるため、一度目の融資より短時間で借りられる可能性が高いからです。

開業後に融資を受けやすくするため、あえて開業時に「情報を作るための」融資を受けるわけです。

メリット④融資により金融機関と繋がりができる

金融機関から融資を受けることで金融機関と繋がりを持つことができます。

士業などは金融機関が有効な営業先のひとつになるため、融資によって繋がりを作っておき、そこから営業をかけるという方法も使えます。

自己資金があっても融資を受ける場合のデメリット

自己資金があるのに融資を受けることには、やはりデメリットもつきまといます。

基本的にメリットのことを考えて融資を受けた方が良いと言えますが、仮にデメリットの方が確実に上回る場合は例外的にやめた方が良いと言えるでしょう。

自己資金があっても融資を受けるデメリットは次の通りです。

・利息も含めた返済になり、損をする

・金融機関への営業や今後の融資が不要な場合も損になる

・自己資金が潤沢であればあえてマイナスにする必要がない

デメリット①利息も含めた返済になり、損をする

融資を受けると当然ですが返済しなければいけません。しかも、借りた金額に利息を付しての返済になります。

とても基本的な事項ですが・・・融資を借りたからには利息をつけて返す。これはデメリット以外の何物でもありません。

デメリット②金融機関への営業や今後の融資が不要な場合も損になる

開業した業種によっては今後の融資も特に必要ないというケースもあります。

たとえば、自宅にいながらパソコンひとつで仕事をしていたとします。今後、機械や多額の資金が必要になる予定はありません。こんなときは今後の融資を考えて動く必要もないでしょう。

また、業種によっては金融機関が営業先にならないこともあるはずです。金融機関が営業先にならない、繋がりを持つ必要がないなら、あえて営業や融資のパイプを作る必要はありません。

デメリット③自己資金が潤沢であればあえてマイナスにする必要がない

自己資金があるのにあえて融資を受けるということは、利息分のマイナスを引き受けることになります。仮に100万円必要で、その100万円を自分が余裕で払えるのに、あえて借り入れをする人はあまりいないのではないでしょうか。返済の手間+利息を含めた返済 という財産的な意味でも、時間的な意味でもマイナスしかありません。

資金があるのに融資を受けてしまうと、利息分のマイナスが発生する点は見逃せないデメリットでしょう。

このデメリットをメリットが上回っているかが問題です。

最後に

自己資金があっても融資を受けるべきかどうかについて解説しました。

自己資金があっても「営業の際のパイプを作りたい」「今後も融資を活用したいため、一度目の実績を作りたい」という方には、開業時の融資はメリットがあります。反対に、これらのメリットが特にメリットにならない方には、開業時の融資はあまりおすすめしません。

メリットとデメリットを踏まえ「自分にはどちらが有利か」を考えて動くことが重要です。