行政書士は雇われがおすすめ?
それとも独立がおすすめ?
行政書士をやっていると、資格を取ろうとしている人や資格取得者から質問を受けることがあります。
私自身は行政書士で独立開業しており、ある程度の年収を稼いでいます。だからこそ「どちらがおすすめ?」と尋ねられたら「独立開業がおすすめ」と答えていますが、中には失敗するケースもあるため注意が必要です。
この記事では行政書士の独立開業でよくあるケースを紹介します。独立開業の行政書士と雇われの行政書士で迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
目次
行政書士のよくある独立開業失敗例
士業資格を持っているからといって「独立開業すれば必ず成功する」は間違いです。独立開業で成功する裏で失敗する士業もいることを忘れてはいけません。
士業の中でも特に行政書士の独立開業で多い失敗ケースは次の通りです。
・準備不足で独立開業が失敗した
・資金不足で独立開業が失敗した
・独立開業したものの収支のバランスが取れない
・独立開業後に営業に力を入れていない
・二足わらじのバランスが取れていない
・独立開業したが経験不足だった
独立開業で失敗しないためにも、「自分は勤務行政書士の方が合っているのか」「本当に独立開業すべきか」状況や自分自身の性格なども考慮して、よく考えることをおすすめします。
失敗例①準備不足で独立開業が失敗した
独立開業には決まった準備や手続きは必要ありません。行政書士の場合は資格取得や開業届くらいのプロセスは必要になりますが、逆に考えるとそれ以外の準備や手続きにルールはない状態です。なので「よし開業しよう」と思ったら、わりと簡単に独立開業できてしまうのが特徴になります。
行政書士として独立開業するときに大掛かりな準備が必要ないからこそ、準備不足で独立開業を失敗することがあるのです。
独立開業して行政書士の仕事が入ってきました。仕事が入ってきた段階で「あれも必要」「これも必要」となってしまうことがあります。さらに、準備のためにお金が必要だと「そこまで考えていなかった。お金がない」となってしまうこともあるわけです。
独立開業には決まった準備はなく、行政書士資格を持っていて仕事ができる状態であれば「明日からやるか」でできてしまいます。しかし、だからこそ、資金や書式のテンプレート、専門書、機器などの準備不足で独立開業を失敗するケースは珍しくありません。
失敗例②資金不足で独立開業が失敗した
失敗例①と似ていますが、こちらは準備全般ではなくお金だけが足りなかったケースです。
行政書士の独立開業はあえて事務所を借りなくても、自宅を事務所にして仕事をすることもできます。そのため、「あまりお金はいらないのではないか」と思い、資金をろくに考えず独立開業するケースがあります。
行政書士として仕事をする場合は専門書や仕事に使う印刷機、パソコンなどは最低限必要です。また、自宅を仕事にする場合でも机など、仕事スペースやちょっとした家具などは必要になるため、注意が必要です。ネットや光熱費などもかかることを考えておきましょう。
この他に「士業として仕事をするならやはり事務所が欲しい」と思い、事務所を借りて資金難に陥るケースなどがあります。事務所の敷金や礼金、賃料などを考えておかないと、あっという間に資金難です。事務所を出すとなるとそれなりに宣伝広告などもしているでしょうから、「宣伝していたのにすぐに事務所がなくなった」と首を傾げられる結果になることもあります。
資金難は独立開業時のよくある失敗原因だと言えるでしょう。
失敗例③収支のバランスが取れない
独立開業後に行政書士の仕事がどんどん入って来るとは限りません。それでも、独立開業した以上、仕事ができるように状態を維持しなければいけません。
事務所を借りているなら売り上げと支出が釣り合わなくても事務所を維持しなければならないのです。自宅を事務所にしているなら、サービスの契約などを継続し、行政書士の仕事ができるよう維持しなければいけません。独立開業するとはそういうことです。
独立開業してもすぐに仕事が入ってこずに収支のバランスが崩れることがあります。収支のバランスが崩れたままだと経費などによる赤字だけが拡大し、行政書士の仕事を維持できません。
売り上げと支出のバランスが取れず、結果、独立開業を失敗するケースがあります。
失敗例④営業に力を入れていない
ネットでも行政書士に仕事を依頼できる時代です。ライバルは近隣の行政書士事務所に限らず、ネットにも存在します。行政書士のライバルは多いのです。
黙っていて仕事が舞い込むようなことは珍しく、どこの行政書士(事務所)も宣伝広告や営業活動には力を入れています。力を入れていないように見えても何らかの活動はしていると考えた方が良いでしょう。
営業や宣伝広告に力を入れなかったために仕事が入らず、独立開業を失敗するケースがあります。
失敗例⑤二足わらじのバランスが取れていない
行政書士として独立開業する人の中には二足わらじの人もいます。
他の士業や国家資格と二足わらじの人もいれば、会社員と二足わらじという人もいます。資格を多く持っている人の中には三足わらじや四足わらじという人もいることでしょう。
二足わらじで独立開業した人の中には独立開業後にも別の仕事を続ける人もいます。別の仕事と行政書士の仕事を掛け持ちしている人は、基本的に労力が分散されてしまいます。行政書士より別の方に力が入ってしまい、あまり行政書士の仕事をすることなく、独立開業をやめてしまうケースがあるのです。
別業種の方に力が入ってやめてしまうケースの他に、採算が取れなくてやめてしまうケースや疲れて続かないケースなどもあります。
副業と本業を持っている人にはよくある話ではないでしょうか。行政書士での独立開業でも同じことが言えるわけですね。
失敗例⑥独立開業したが経験不足だった
行政書士として独立開業しても、経験不足により続かないことがあります。
経験不足で続かないケースとしては2つあります。
ひとつは学校を卒業後にすぐに独立開業したケースです。在学中にバイトなどをしていても、独立開業となるとまた違うもの。独立開業はある程度社会経験のある人でも大変なので、学生から社会経験なくいきなり独立開業すると仕事のノウハウや社会経験の乏しさから失敗することがあります。
もちろん、学校卒業後に独立開業した人すべてが失敗するわけではありません。中には在学中に準備をして、お金なども貯め、知識を高め経験を積む工夫をして、卒業後すぐの独立開業で成功しているケースもゼロではありません。ただ、準備も何もなしに行政書士の独立開業を成功させるのは、やはり難易度が高いと言えるでしょう。
もうひとつのケースは行政書士の資格取得後にすぐ独立開業して失敗するケースです。
行政書士資格を取得したからといってすぐに実務も完璧にできるわけではありません。知識はあるが実務は不慣れ。実務はよく分からない。このようなケースが多いはずです。独立開業後に仕事をしながら実務経験を積む人もいますが、中には「分からない」「できない」などの理由で独立開業自体をやめてしまう人もいます。
最後に
行政書士の独立開業でよくある失敗例を紹介しました。
独立開業をすれば自動的に商売繁盛するわけではありません。準備なども必要になり、売り上げと経費のバランスなどにも悩ませられることになります。それを考えた上で行政書士としてどうやって仕事をするか考えることが重要ではないでしょうか。失敗例なども参考によく考えてみてください。