行政書士に若手がいない理由【20代・30代はチャンス】

行政書士には若手がいない。

若手の行政書士に相談したいが見つからない。

・・・という話をご存じでしょうか。

行政書士は若い年齢で取得する方も少なくありません。しかし、ふたを開けてみると若手で行政書士をしている方は少なく、地方によっては「おじいちゃんしかいない」と言われるのが実情です。

実際、私も若手と呼ばれる年齢で行政書士をしていますが、若手で独立開業をしている同業はあまり見ません。

行政書士は店を開業するときの許認可などにも関わります。店を出そうという若い世代はどうしても「流行について把握している若い世代の専門家に相談したい」と思うようで、若い世代の独立行政書士の少なさに反してニーズは多い状況です(仕事をしていると実際にそういった声を多く聞きます)。

今回は現役の若手行政書士が「行政書士の年齢構成」や「行政書士に若手がいない理由」について解説します。これから行政書士を目指そうとしている方はぜひ参考にしてください。

行政書士は本当に若手が少ないのか?

行政書士は若手が少ないと言われても、多くの方は「本当?」といぶかしむのではないでしょうか。現役の行政書士が「実感として確かに若手は少ない」と言っても、「あなたの周囲だけでしょう」と言われてしまうことでしょう。なので、若手行政書士が少ないという現実について、まずは明確にデータで示します。

行政書士試験の合格年齢比率

行政書士試験の受験者は30代と40代で50%を占めます。20代が17%前後、50代が22%前後になっています。

30代と40代と50代の受験者で70%以上になってしまうわけです。受験者が1万人いれば、そのうちの7,000人は30代以上という結果になります。

60歳以上の受験者も10%以上います。この時点で1万人の受験者がいれば8,000人は中年~高齢が占めるわけですから、受験者はやや年齢層が高いと言えるでしょう。

では、合格者の年齢層はどうなっているかと言うと・・・40代、50代、60代以上で5割を占める結果です。合格者が1,000人いればそのうちの500人以上は40代以上になります。

40代や50代は仕事をしている方も多いですから、仕事をしながら掛け持ちで勉強して資格試験に挑んでいる(要するに意欲的である)とも言えるかもしれません。ただ、働き盛りや中年以上の年齢の方が積極的に受験しているからこそ、合格している方たちの年齢も40代以上が多いという状況になっているようです。

行政書士は受験の年齢層、そして合格者の年齢層の時点で若手がやや少ない印象を受けるのではないでしょうか。

行政書士として仕事をしている人の年齢比率

行政書士の受験や合格の段階である程度の年齢になっている方が多いのですから、仕事をしている方の年齢層も当然高くなります。

日本行政書士連合会『月刊日本行政 10月号』の調査結果によると、行政書士として仕事をしている方の35.6%は60~70代になっています。行政書士が100人いればそのうちの35~36人は60~70代ということです。70歳以上の行政書士は全体の19.9%ですから、100人のうち20人は70代以上の行政書士ということになります。

この結果を見ていただくと分かるのですが、現役行政書士の半分以上は60歳以上という結果です。50~60代の行政書士は17.9%、40~50代の行政書士は17.3%ですから、100人のうち35人は40代以上の行政書士ということになります。

現役行政書士の半数以上は60代以上であり、9割が40代以上になっています。この結果を見ると私が「若手行政書士のニーズはあるが若手がいない」と言い切る理由を理解していただけるのではないかと思います。

実際に行政書士の仕事をしていても「独立開業しています」という若手行政書士はあまり見かけません。受験者や合格者、仕事をしている行政書士の年代を見ればなおさら明確に若手不足であることが分かるはずです。

行政書士に若手がいない理由

行政書士にはどうして若い世代が少ないのでしょうか。現役の行政書士の目から見た理由を説明します。

行政書士には定年がない

行政書士には定年退職がありません。70代になっても、80代になっても続けることが可能です。定年退職がないからこそ高齢世代と若い世代の入れ替わりが少なく、高齢世代はいつまでも仕事を続けているという事情があります。

行政書士は定年がないので年齢や体調に合わせた働き方でずっと続けている。そのため、自然と高齢層が増えるため、結果的に若手の人数が少なくなってしまうわけです。

行政書士の資格受験には年齢制限もない

行政書士に資格受験には年齢制限がありません。そのため、会社員歴の長い方や退職間際の方なども受験しています。

資格受験に年齢制限があれば、若い世代も優先的に受験するでしょうが、制限がないため「年齢制限がある資格試験を先に受けてしまおう」となり、後回しにされる傾向にあります。結果的に、受験や仕事をする層の高齢化に繋がっています。

退職後に行政書士をする人もいる

退職間際や在職中に行政書士を取得して、今務めている会社を退職して独立開業する方もいます。いわゆるセカンドライフ的な独立開業です。

また、行政書士には公務員の特任制度があります。一定の年数業務に従事すると行政書士の資格がもらえる制度です。公務員として仕事をしていた方が特任制度で資格を取得し、公務員を退職してから独立開業するケースがあります。

退職後に独立開業しやすい資格だからこそ、高齢層が増えてしまい、若手が少ないという事情もあります。

若い世代はスキルアップ目的で資格を取得することも多い

若い世代が行政書士を取得しても必ず行政書士をやるわけではありません。会社員がスキルアップで受けることや、本命は別の試験(司法試験など)というケースもあります。若い世代で行政書士を受験しても、「行政書士でやって行こう」と思う人が少ないのも原因だと考えられます。

若手にとって行政書士はブルーオーシャン

行政書士は若手が少ない状況なので、若い方にとってはビジネスのブルーオーシャンになる可能性を秘めています。

行政書士に若手が少ないことを利用し、若い世代向けのビジネスに特化した行政書士なども良いかもしれません。行政書士をしながら違う資格も取得し、行政書士を足掛かりにビジネスチャンスや分野を増やしてもいいでしょう。いろいろなやり方が考えられますが、若い世代にとって行政書士はビジネスのブルーオーシャンだと言えるでしょう。

FIREを達成したい若い世代にも行政書士はおすすめ

行政書士は士業の中でも顧問契約をメインにしていないという特徴があります。顧問契約が主軸だと、どうしても顧問先に合わせて仕事のスケジュールを立てなければいけません。行政書士は単発の仕事がメインなので(継続的におつき合いする先もあるにはありますが)、仕事量や仕事時間、スケジュールや収入などを自分でコントロールしやすい仕事です。

たとえば、若い世代でFIRE(早期のリタイア)を達成したい方には、行政書士はおすすめの資格です。投資やFIRE達成のための準備に時間を割きやすく、収入などもコントロールしやすいからです。FIREと行政書士は相性が良いと言えるでしょう。

まとめ

行政書士は若手が少ない、まさに高齢化の資格です。実際に数字で見てみても、現役の行政書士は中年から高齢層が多くなっているのが現状です。

行政書士に若手がいないということは、若手にとってはビジネスチャンスに繋がる可能性があります。お馴染みの資格でありながら若手にとってはブルーオーシャンです。ぜひ挑戦してみてはいかがでしょう。

→行政書士に若手が少ない理由を解説

→若手はチャンス!と紹介

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