FIRE達成のために金融商品を選べと言われても「どのような視点で選べばいいのか」と悩むのではないでしょうか。
金融商品を選ぶときは、その金融商品の現在の価格や種類、将来的な値上がりの可能性など、さまざまな要素を考慮して選びます。
しかし、金融商品は種類ごとに特長が異なる上に、各金融商品によっても詳細がかなり違ってきます。ひとつひとつ確認して比較しようとしても「ベースになる判断方法、考え方が分からない」と混乱することも少なくありません。
FIRE達成のために金融商品を選ぶときは、金融商品を見るための基本的な3つの視点(考え方)を覚えておくことをおすすめします。
・流動性
・安全性
・収益性
細かな情報で各金融商品を比較する前に、まずは3つの視点で金融商品を比較してみましょう。
3つの視点で金融商品の種類や銘柄を比較し、そこからさらに細かな情報に入っていって比較するとスムーズです。FIRE達成のための金融商品を選ぶ際に基礎知識としてぜひ役立ててください。
目次
FIRE達成のための金融商品選びの重要性
FIRE達成のためには「25倍ルール」「4%ルール」に基づいて、元手を資産運用して生活費を運用益でまかなえる状況を作らなければいけません。FIRE達成後に生活費をまかなえる状況にするためには、年間生活費の25倍の資金を準備して、その資金を年4%で運用します。年4%で運用を続ければ、運用益を生活費にして、元手を減らすことなくリタイア後に生活できるというわけです。
FIREはリタイア後の生活資金を資産運用の運用益でまかなうからこそ、金融商品選びが重要になります。金融商品によってリターンや特徴が異なります。効率的にFIRE達成の資金を準備するため、そしてリタイア後の生活費のためにも、金融商品選びは重要です。
FIREのために知っておきたい金融商品選びの3つの視点
金融商品を選ぶときは基本的な3つの視点があります。よく「金融商品のリスクとリターンが重要」という話を聞きますが、この基本的な3つの視点の中にリスクやリターンも入っています。
金融商品を選ぶときの「流動性」とは
流動性とは「金融商品の換金のしやすさ」のことです。
たとえば、不動産投資する際に不動産そのものを購入すると、売却するときになかなか売れずに困ることがあります。対してREIT(不動産の投資信託)であれば額や金融商品の性質として、不動産そのものよりもやや換金しやすいと言えるでしょう。不動産そのものとREITを比較すると、REITの方がやや換金性が高いと判断できるのはでないでしょうか。
また、株式を買ったとします。株式にも種類があり、市場で自由に売買できる株式もあれば、譲渡に制限がついている株式(譲渡制限株式)もあるのです。譲渡制限株式は市場で自由に売買できない株式になります。市場で自由に売買できる株式と売買に制限がついている株式では流動性が変わってきます。前者の市場で自由に売買できる株式の方が流動性は高いと言えるでしょう。
金融商品を選ぶときは「必要なときに換金しやすいか」という視点でも選ぶことが重要です。換金し難い金融商品の場合は売り時を逃がして譲渡益を逃してしまうこともあれば、売却し難いという点で利益が低くなる(売り難いだろうと足元を見られて安く買いたたかれること)可能性もあります。
流動性の低さは金融商品においては安く買いたたかれる可能性がある、利益を逃しがちである、手放せないことにより余分な維持管理費用がかかる可能性があるなど、金融商品ではデメリットになるのです。逆に流動性の高さはその金融商品の利点だと判断されます。
金融商品を選ぶときの「安全性」とは
金融商品の安全性とは「リスクの高さ、低さ」のことです。金融商品には種類や銘柄ごとにリスクの高低があります。リスクが高い金融商品はマイナスをこうむる可能性が高くなり、リスクの低い金融商品は、投資に使った資金がマイナスになる可能性が低くなると言えます。
たとえば、債券はお金の貸し借りへの投資です。100万円投資すれば償還日に100万円を返済してもらえる金融商品になります。投資した資金を約束通りに返してもらえるわけですから、金融商品の中では比較的リスクが低いと言えるでしょう。
ただ、お金を貸した先が倒産や破綻で返済できない可能性もあるわけですから、リスクが完全にゼロというわけではありません。あくまでリスクが低い(安全性が低い)に留まります。
また、債券も銘柄によりリスクの高低は変わるのが基本です。破綻しそうな企業に貸す。日本という国にお金を貸す。比較すると後者の方が安全性は高いと言えるのではないでしょうか。このように、同じ金融商品の種類の中でも銘柄ごとに安全性が変わってきます。債券の中にはハイイールド債のように金利は高いがリスクも高いものもあるため注意が必要です。
安全性という点では、資産運用に使えるサービスの中で預金が最も高いかもしれません。預金は利息こそほとんど付きませんが、預金保険などの保護対象になっているため、対象の預金であれば1,000万円と利息は保護される仕組みになっています。
安全性が低いと損失をこうむる可能性が高くなるため、金融商品ではチェックしたいポイントです。
金融商品を選ぶときの「収益性」とは
金融商品を選ぶときに重視したいポイントのひとつが収益性です。収益性とは金融商品で「どのくらい利益を得られるか」の指標になります。投資をするのは利益を得たい、資産を増やしたい、FIREの達成のため、などの目的があるのではないでしょうか。
お金をそのままの状態でプールするならあえて金融商品選びをする必要はありません。預金にすべてお金を入れておけば良いはずです。収益を求めるからこそ金融商品を選んで投資しようと思うのではないでしょうか。投資で「増やしたい」「利益を得たい」と思うなら、収益性は見逃せないポイントなのです。
FIREを達成するためにも収益性は重要になります。たとえば、金融商品Aでは年1%の利益を得られるとします。対して金融商品Bでは、年2%の収益を得られる見通しです。AとBを比較するとBの方が収益性は高い金融商品になります。
では、AとBにそれぞれ100万円ずつ投資すると考えて計算してみましょう。金融商品Aの収益は年1%ですから、1万円です。対してBは2%なので2万円です。1万円と2万円は微々たる差と思うかもしれません。ただ、投資の元手にする金額が変わると、微々たる差ではなくなります。
1,000万円投資したと仮定すれば、利益は10万円と20万円になりますから、かなり差が出てしまうと言えるでしょう。差が出るということは、FIREの進捗度にも差が出てしまうということです。収益性はFIRE達成のため、そしてFIRE後の生活のためにも、金融商品選びの際に重要なポイントになります。
なお、注意したいのは、金融商品において利益(リターン)が高いものは、その分だけリスクも高くなるという点です。返済できない可能性が高い債券の場合、金利を高くしないと投資家がお金を貸してくれません。金利だけ見ると「お得だ」と感じられる債券の場合は、その分だけリスクが高い可能性があるため、注意点になります。
他の金融商品にも言えることです。収益性だけ重視すると投資においてリスクが高くなってしまうため、リターンとリスクはバランスが重要になります。リスク対策をどのように行い、リターンを取っていくかも重要なポイントです。
最後に
FIRE達成のために選ぶ金融商品に悩むという人は少なくありません。
金融商品選びに悩んだら、まずは3つの視点で金融商品に目星をつけ、その中からさらに選ぶという流れで少しずつ絞っていくと良いでしょう。その方が効率的な選び方ができるはずです。
投資したいという銘柄を見つけたら、さらにその銘柄に対しても3つの視点でチェックしてみましょう。資産運用や投資において基本的な視点だからこそ、見えてくるものがあるのではないでしょうか。