本当は怖いふるさと納税!お得にならなかった失敗談を紹介

ふるさと納税はよく「お得だ」「やった方が良い」などと言われますよね。

ただ、ふるさと納税をしたからと言って必ずお得になるわけではありません。ふるさと納税をしてもお得にならないケースや、失敗によりお得さがなくなってしまうケースなどがあるのです。

この記事では「ふるさと納税でお得にならなかった失敗談」をご紹介します。ふるさと納税で失敗しないためのコツなどもご紹介しますので、「節税系の記事でよく紹介されているので気になっている」「あまりよく考えず使っていた」という方は、この機会の制度について理解を深めてはいかがでしょう。

ふるさと納税とは?

ふるさと納税とは、自分が好きな自治体を指定して寄付できる制度です。

ふるさと納税の対象になっている自治体に寄付することで返礼品を受け取れる他、所得税や住民税の控除も受けられる仕組みです。

ふるさと納税については総務省が特設サイトで詳しく説明しています。「制度について知りたい」という方は、まずは総務省のサイトをチェックすることをおすすめします。

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/about/index.html

ふるさと納税はなぜ「怖い」と言われるのか?

ふるさと納税は一般的に「お得」だと言われており、メディアにもよく取り上げられています。

しかしながら、ふるさと納税は「ただ使うだけ」ではお得にならないどころか損する可能性のある制度です。ふるさと納税の利用でお得どころか「失敗した」と後悔する方も実際にいます。

ふるさと納税は上手く使うことでお得にもなりますが、ちょっとした失敗で損することもあります。使い方によっては怖い制度だと理解して利用を決めることが重要です。

ふるさと納税で損した!お得にならなかった失敗談

ふるさと納税でよくある失敗談をご紹介します。

失敗としてよくあるのは次のようなケースです。

失敗談①とりあえず「返礼品が欲しい」で制度を利用した

ふるさと納税の代表的な失敗談に「返礼品が欲しかったから利用を決めた」というものがあります。

ふるさと納税の返礼品はネット通販や普通のお店で買えるものも少なくありません。返礼品を眺めているとつい「欲しい」「申し込んでしまおうか」と思ってしまいますが、そこに失敗の落とし穴が潜んでいます。

ふるさと納税の返礼品は基本的に「寄付額の3割におさえる」というルールがあります。経費を併せても5割ほどにおさえることが基本的なルールです。

仮にA自治体に1万円寄付したとしましょう。寄付の目的は返礼品を受け取りたいからでした。A自治体から果物の返礼品を受け取り「お得だな」と思いましたが、本当にそうでしょうか。返礼品の還元率は3割ほどが相場ですから、返礼品の果実が欲しいだけなら1万円寄付するのではなく3,000円出して買った方がお得になるはずです。

返礼品の還元率のルールを知らなかったばかりに、ふるさと納税でかえって損をしてしまった失敗談です。

ふるさと納税は返礼品がよく注目されますから、失敗談としてよくあるケースだと言えるでしょう。

失敗談②ふるさと納税の確定申告をしていなかった

ふるさと納税で住民税や所得税の控除を受けるためには、原則的に確定申告をしなければいけません。

税務署はひとりひとりの制度利用の要否を把握していません。日本には多くの人が住んでおり、それぞれの人の収支・制度の利用状況を把握することは不可能です。だからこそ毎年の時期になると「ご自身で申告をお願いします」と確定申告をしてもらうわけです。確定申告をしていない会社員などは、会社の方で必要な手続きをしています。

ふるさと納税を使った場合も、基本的に「ふるさと納税を使いました」「税金の控除をお願いします」と税務署側に申告しなければいけません。だからこそ、原則的に確定申告が必要です。確定申告を忘れてしまうと、ふるさと納税で自治体に寄付しても、税金の控除を受けられません。

ふるさと納税の後に確定申告を忘れてしまいせっかくの控除を受けられず「失敗した」というケースは少なくありません。

失敗談③ワンストップ特例を忘れていた

ふるさと納税には「ワンストップ特例」というルールがあります。

ワンストップ特例とは、サラリーマンなど特定の条件に当てはまっている方が使える制度です。寄付先の自治体にワンストップ特例の書類を提出することで確定申告をせずに済むという方法になります。

サラリーマンなどは会社側が税金手続きをしますので、特に特例・控除・制度などを利用するといった事情がなければ、もともと確定申告が不要な人たちです。ふるさと納税のためだけに「確定申告してください」という話になると、「面倒だから」とふるさと納税を利用しないサラリーマンなどが増えてしまうことでしょう。

ふるさと納税という制度を積極的に使って欲しい。現在住んでいる自治体以外にも寄付金というかたちでお金を落として欲しい。このような意図から、本来は確定申告不要なサラリーマンなどを中心に、自治体に書類を提出すれば確定申告をカットできる制度(ワンストップ特例)が使えるようになりました。

ワンストップ特例については国税庁や総務省などの公的なサイトで確認可能です。

https://www.keisan.nta.go.jp/r5yokuaru_sp/scat2/scat22/scat226/scid079.html

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/procedure.html

ワンストップ特例は条件を満たしていると自動的に適用されるわけではありません。自治体側に申し込み、書類の提出など必要な手続きをしなければいけないのです。

しかし、必要なワンストップ特例を忘れ(あるいは知らずに)、手続きをせず、ふるさと納税で損するケースがあります。

失敗談④ふるさと納税の証明書を紛失した

ふるさと納税をすると各自治体から「確かに寄付を受け取りました」という証明書が届きます。

証明書がいつ届くかは自治体によりますが、早い自治体だと寄付後わりとすぐ郵便などで送ってくれます。この証明書は私的な買い物のレシートのような軽い存在ではなく、税金の手続きにおいて非常に重要な存在です。証明書が手元にないと確定申告のときにふるさと納税による控除が基本的に認められないのです。

ふるさと納税の証明書を紛失し、確定申告のときに「認められなかった」という失敗も少なくありません。また、郵便事故などで手元に証明書が届かないときに自治体への問い合わせを忘れ、そのまま放置して失敗するような稀なケースもあります。

失敗談⑤ふるさと納税の際に所得などの計算を間違えていた

ふるさと納税には「寄付上限額」という考え方があります。世帯や家族の数、収入などを考慮して「2,000円の負担額で一番お得になる寄付金額」が寄付上限額です。寄付上限額以上の額を寄付してもお得になるどころか負担が増すばかりで、かえって損する結果になります。

ふるさと納税でよくあるのは、この寄付上限額を間違えて多めに寄付してしまい、控除額(お得になる額)や返礼品と負担が釣り合わないというケースです。ふるさと納税は寄付をすればするほどお得になる制度ではありませんので、注意してください。

ふるさと納税の寄付上限額の目安は総務省のサイトに掲載されています。

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html

ふるさと納税のサイトによってはシミュレーターを利用できたりします。「とりあえず寄付しよう」ではなく、寄付前に寄付上限額を算出しておくことをおすすめします。

なお、他の控除や制度も利用する場合や所得が多い場合は税理士に相談し、より精密な寄付上限額を算出してもらった方が良いでしょう。

無料のシミュレーターなどは基本的にどんぶり勘定です。総務省のサイトに記載されている寄付上限額も、あくまで目安になります。ご自身の世帯や収入に合った寄付限度額を知りたい場合も、税理士などのプロに相談しておくことをおすすめします。

失敗談⑥ワンストップ特例を利用したのに確定申告した

ふるさと納税をしたときは原則的に確定申告が必要です。しかしながら、例外的に確定申告が不要になるケースがあります。例外的なケースとは、すでに説明した「ワンストップ特例を利用したケース」です。

ワンストップ特例はいつも確定申告不要なサラリーマンなどがふるさと納税しても、自治体に書類を提出することで確定申告が不要になる制度です。言い換えると、「確定申告をしないことが条件」になっている制度になります。

ワンストップ特例をした後に医療費などで確定申告をすると、せっかく手続きしたワンストップ特例が無駄になってしまいます。ふるさと納税分は「ワンストップ特例したから」で放置し、せっかくの控除が受けられない失敗事例があるのです。

失敗談⑦ふるさと納税の時期を間違えていた

ふるさと納税の失敗談でよくあるのは「時期を勘違いしていた」という事例です。

たとえば2023年の税金の控除を受けたい場合、ふるさと納税は2023年中(1月1日~12月31日)に行う必要があります。2024年の確定申告で2023年の収支やふるさと納税などの制度の利用を申告するからです。それなのに、時期を勘違いして、「使いたい年の控除に使えなかった」という失敗談は少なくありません。

2023年の税金の控除に使いたかったので、2024年2月~3月の確定申告の時期にふるさと納税した。1年を会社の事業年度(4月~翌年3月)と勘違いしてふるさと納税した。このように、ふるさと納税の時期を勘違いして失敗するケースがあります。

失敗談⑧ふるさと納税の返礼品を利用しなかった

ふるさと納税の返礼品にはチケットなどもあります。

たとえば、寄付先の自治体が季節のイベントなどを主催している場合、イベントの優待チケットなどが返礼品になっていることもあるのです。また、観光で有名な自治体の場合、宿泊券などが返礼品になっていることもあります。

こうした返礼品を指定して受け取った後、うっかり「使い忘れた」といったケースがあります。使い忘れてしまうと、返礼品によるお得さは基本的にゼロです。

返礼品がチケットや優待券の場合、使い忘れにより損することがあるわけです。加えて、そのときは旅行やイベントを優待券・チケットなどで楽しむつもりでも、いざ使おうとしたら「仕事が忙しい」「都合が合わない」などの理由で使えず、せっかくの返礼品のメリットがゼロになってしまう残念なケースもあります。

失敗談⑨自治体が早めにふるさと納税を締め切っていた

ふるさと納税の締め切りは原則的に12月31日です。

2023年分の控除を希望するなら、2023年の末日までふるさと納税の手続きを終わらせて、2024年に確定申告するというのが基本的な流れになっています。

ただ、自治体や返礼品によっては早期にふるさと納税を締め切ってしまうことがあるのです。ふるさと納税の締め切りは12月31日ですが、自治体によっては12月上旬など早めに締め切ってしまうことがあります。また、返礼品の品数が少ない場合などは、その返礼品に関しては早期に締め切ってしまうことがあります。

ふるさと納税を12月31日ぎりぎりに駆け込み手続きしようと思っていたら、すでに受け付けを締め切っていた。欲しいと思っていた返礼品が早期に締め切っていた。このような失敗談はよくあると言えます。

ふるさと納税で失敗しないためのコツは4つ

ふるさと納税で失敗しないためには4つのコツが重要です。

コツ①「お得になる」だけで制度を利用しない

メディアや雑誌などでは「お得な制度」という部分を強調していることが多いふるさと納税ですが、場合によってはお得どころか損する可能性があります。だからこそ「お得」という言葉だけで考えず、制度の内容をしっかり理解して「自分にとって使える制度か」「メリットがあるか」「損する可能性はないか」などを検討した上で利用を決める必要があります。

「お得だ」という言葉だけで利用を決めず、さらに一歩踏み込んで検討することで失敗しないためのコツです。

コツ②ふるさと納税を利用する際は制度をしっかり理解する

ふるさと納税を利用したからと言って必ずお得になるわけではありません。

仮に100万円寄付したとしても、その分を控除できるだけの税金がなければ寄付するだけマイナスになってしまうわけです。ふるさと納税も含め制度をお得に利用するためには、制度に関する理解が不可欠になります。

ふるさと納税を利用する際は、制度について理解しておくようにしましょう。制度について理解することで、「自分にとってお得になるか」などを判断できるようになります。加えて、分からないことがあれば税理士や税務署などに問い合わせておくことをおすすめします。

コツ③ふるさと納税のよくある失敗談を知っておく

ふるさと納税のよくある失敗談を知っておくと、失敗を回避するための参考になります。

たとえば、「よく確定申告をし忘れて失敗する」という失敗談を知っておけば、「確定申告を忘れないようにしよう」と自分なりに注意できるわけです。

よくある失敗談を知っておくことが、お得にふるさと納税を使いこなすためのコツになります。

コツ④自治体のふるさと納税情報を確認しておく

ふるさと納税でどうしても寄付したい自治体がある場合や、欲しい返礼品がある場合は、募集時期を確認しておくことがコツです。

すでにお話ししたように、自治体や返礼品によっては早期にふるさと納税を締め切ってしまうことがあるため、後から「締め切っていた」とがっかりせずに済むように、募集期間などの時期を確認しておきましょう。

最後に|本当は怖いふるさと納税の失敗談にならないよう注意

ふるさと納税は「お得」が強調されていますが、必ずしもそうとは限りません。制度の趣旨・内容に沿って正しく活用すればお得になりますが、制度の趣旨・内容に沿っていない場合はかえって損する可能性があります。

今回はふるさと納税のよくある失敗談をご紹介しました。制度を利用する予定のある方は、失敗談を参考にお得だと感じられる活用を意識していただければと思います。