40代や50代でFIREすると年金が減るって本当?

資産運用に力を入れて40代や50代に早期FIREを達成する生き方に憧れる人は少なくありません。

「早くリタイアして自分の好きに生活したい」と考える人にとって、FIRE後の生活は魅力的に映ることでしょう。ただ、FIREにはメリットだけでなくデメリットもある点に注意が必要です。

FIRE達成を目指す行政書士が、

・40代や50代でFIREすることのデメリット

・特に注意したい「年金が減る」デメリット

・デメリット対策のためにしたいこと

3つのポイントについて解説します。

現在FIRE達成のために頑張っている方やFIREに興味のある方は、早期リタイアのデメリットについて今一度考えてみてはいかがでしょう。

FIREとは「生活資金の準備を経た上での早期リタイア」のこと

FIREとは事前に生活資金を捻出できる仕組みを作り上げ、準備ができた段階(あるいは目標としている年齢)で仕事を早期リタイアすることです。

FIREの特徴は資産運用でリタイア後の生活資金を捻出するという点です。相続などで多額の資産を受け取って、その資産で生活するのではなく、不動産のみを転がして仕事をせず生活するわけでもありません。準備した資金を運用し、その運用益で生活するところが特徴です。

・FIREではまず年の生活費の25倍の資金を準備する

・準備した資金を年4%で運用できる仕組みを作り、リタイアする

・リタイア後は生活費の25倍の資金を切り崩さず、年4%の運用益で生活する

これがFIREです。

40代や50代でのFIRE達成にはデメリットもある

40代や50代でのFIRE達成には「早期に仕事によるストレスから解放される」「運用益で生活費を捻出し悠々自適に生活できる」などのメリットがある反面、デメリットもあります。

デメリット①生活費の捻出が難しくなる可能性がある

FIRE達成後は準備した資金を資産運用し、年4%の運用益を出して生活費に充てることになります。

資産運用や投資に慣れている方の場合「極端にリターンを求めなければ行けるだろう」と思うかもしれません。ただ、注意したいのは、刻々と社会情勢や市場が変化しているという点です。仮に40代や50代でFIREを達成させた場合、自分が寿命を全うするまで社会情勢や市場が変化しないという保証はありません。

海外では紛争や物価の高騰が相次いでいます。2024年春の日本国内では円安や2025年問題が指摘されています。

今後さらに世界や日本の情勢・金融事情が変化し、予定していた運用益を得られない可能性もあります。加えて、年4%の運用益を維持していても、年4%の運用益では物価高などにより生活できなくなる可能性もゼロではありません。

FIRE達成後には、生活費が足りなくなるリスクや生活を維持できなくなるリスクが常について回るというデメリットがあります。

デメリット②受け取れる年金額が少なくなる

40代や50代でFIREを達成すると、受け取れる年金額が減る可能性もあります。

将来の生活費に年金を組み込んでいる場合(例・冠婚葬祭などは年金の積み立てで対処、など)は注意したいデメリットです。

特に注意したいのは「年金が減る」デメリット

40代や50代でFIREを達成する場合、特に注意したいのは年金が減るデメリットです。

たとえば、40代で資金準備を終え、生活費を資産運用で捻出できる状態で早期リタイアしたとします。早期リタイアする前は企業でサラリーマンをしていました。

こういったケースでは、リタイア後は会社の厚生年金を納付する必要がなくなります。負担が軽くなるので良いのではないかと思うかもしれませんが、納付しないということは受け取れる額が減るということでもあります。老後に受け取れる年金額に変化が出ますので、注意が必要です。

国民年金は早期リタイアしても納付が続くことになります。国民年金の納付が滞ると、当然ですが、受け取り年金額に違いが出てしまうのです。

40代や50代と言えば、ちょうど年金の納付を続けている年代になります。年金を納付する年代にFIREで早期リタイアすると、年金額に影響が出ることが多いため、注意しなければいけません。

FIRE達成のデメリット対策として行いたいこと

FIRE達成後の年金減額などに対して行いたいのは、次のような対策です。

・FIRE達成後に受け取れる年金額を試算しておく

・試算した年金額をもとに早期リタイア後の生活資金について考えておく

対策のひとつとしては年金額を試算しておくことが挙げられます。

後から「年金が減った」と気づくと、今後のリタイア生活にも影響が出る可能性があります。影響を出さないためにも、FIREの際は今後の年金額を試算し、国民年金の納付金額などについても把握しておくことがポイントです。その上で、FIRE達成後の生活資金について考えておくことをおすすめします。

最後に|FIREの計画に年金も組み込んでいる場合は要注意

40代や50代でFIREを達成すると、年金の問題につきあたります。年金の受取額や納付保険料の額などは、しっかりと計算した上で生活費・リタイア生活の計画を立てることが重要です。

FIREを目指していると資産運用に目が向きがちですが、年金などのことも忘れないようにしたいものです。