4混同されがちな言葉に助成金と補助金があります。
助成金と補助金は世間的にどちらも「手続きが必要である」「お金がもらえる」といった印象があるのではないでしょうか。
混同されがちな助成金と補助金という2つの言葉は、実際は違った意味を持っている言葉なのです。一体何が違うのでしょうか。この記事では補助金と助成金について行政書士が分かりやすく説明します。
・補助金とは
・助成金とは
・補助金と助成金の違い
個人事業主やフリーランスなどは制度を利用する際に役立つ知識です。
ぜひ参考にしてください。
目次
助成金や補助金は行政書士業務と関係あり
助成金や補助金は行政書士の業務と関係があります。私の場合、補助金や行政書士の申請業務を多く手がけています。行政書士の仕事の中でも案件を獲得しやすいのが補助金や助成金の申請業務です。
行政書士の取得を検討している方や行政書士の資格を取得したばかりの方は「どうやって仕事をするか」「どのような方向性で仕事をするか」考えなければいけません。行政書士の仕事として補助金や助成金を中心に据えるなら、助成金と補助金の違いを知っておいても損はないはずです。
助成金と補助金の意味は?
助成金と補助金の違いについて説明する前に、まずは簡単に助成金と補助金について説明します。
助成金と補助金について知れば、違いの理解が早いはずです。
助成金とは
助成金とはある目的のために受け取れるお金のことです。
お金を受け取れるという点で補助金と混同されがちですが、補助金とは違っています。助成金は基本的に「目的を助けるための支援金」であり、主に厚生労働省から助成されます。主な目的は雇用促進や能力開発などです。
助成金の金額は基本的に少額で、受付は基本的に通年です。助成金は条件を満たしていれば誰でも受け取れるという特徴があります。また、助成金の多くは基本的に返済する必要がありません。
補助金とは
補助金も目的を補助するためのお金のことです。主な目的は商店街の活性化や技術開発などです。補助金は主に経済産業省が行っています。また、補助金は条件こそ厳しくなっていますが、条件に合致していれば受け取れる点も特徴です。補助金の多くは基本的に返済する必要もありません。
補助金の金額はさまざまです。少額の補助金から数千万円規模のものもあります。補助金の募集は通年ではなく、基本的に一定期間になっています。
助成金と補助金の違いとは?
助成金と補助金は6つのポイントで違っています。
・提供者/管轄
・支援する分野
・受け取るための難易度
・管轄の専門家
・金額
・募集期間
補助金や助成金のところで簡単に触れましたが、より詳しく比較しながら説明します。
補助金と助成金の提供者/管轄が違う
補助金と助成金では「誰から受け取るか」が違います。
助成金と名前が付く場合、基本的には厚生労働省がお金を渡す側になることが多いです。対して補助金の場合は経済産業省がお金を渡すことが多くなっています。
以下は厚生労働省のホームページです。制度の名前を追ってみると「助成金」となっていることに気づくのではないでしょうか。
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/joseikin_shoureikin/index.html
次に経済産業省のホームページを紹介します。一覧を見てみると「補助金」という名前が多く登場していることに気づくはずです。
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/koubo/index.html
商店街の活性化や雇用促進など何らかの目的を補助・助成するためにお金を渡すという点では同じですが、「そのお金を誰が渡すのか」が助成金と補助金では違っているわけです。
ただ、これはあくまで「助成金は厚生労働省が基本で、補助金は経済産業省が基本」というだけの話で、例外も少なくありません。あくまで典型的な違いのひとつなので、例外も当然あるということです。
補助金と助成金では支援する分野が違う
補助金と助成金では支援する分野が違っています。
補助金の主な支援分野は技術開発や二酸化炭素の削減などです。対して助成金の支援分野は雇用分野や能力の開発などになっています。もちろん、この他にもありますが。
補助金は主に経済産業省で、助成金が主に厚生労働省だと考えれば、支援分野の違いが分かりやすいはずです。補助金の主な支援分野は経済産業省の管轄分野で、助成金の主な支援分野は厚生労働省の管轄分野になります(もちろん例外はあります。あくまで基本です)。
補助金と助成金では受け取るための難易度が違う
補助金と助成金では受け取る難易度が違うという特徴があります。
基本的に助成金の方がやや難易度が低いという特徴があります。対して補助金の方がお金を受け取る難易度がやや難しいという特徴があるわけです。
これは、助成金と補助金の主な支援分野を考えると理解できます。助成金は雇用促進や能力開発などが主な目的になっています。一般の人、企業が広く使えないと意味がないわけです。
補助金は技術開発や二酸化炭素の削減などで、主に企業や事業向けのケースも少なくありません。補助金は基本的に助成金よりお金を受け取る難易度は高めになっています。
補助金と助成金では管轄の専門家が違う
補助金と助成金では対応する主な専門家が違っています。
補助金は事業関係、会社関係の目的支援が多いため、主な専門家が行政書士や中小企業診断士などになっています。対して助成金は厚生労働省関係ですから、主な専門家は行政書士や社会保険労務士などです。
このように補助金と助成金では主に対応している専門家が違っています。なお、行政書士はどちらにも対応可能です。
補助金と助成金では金額が違う
補助金と助成金では支援の金額が違うという特徴があります。これは、支援する目的に違いを考えると分かりやすいのではないでしょうか。
助成金でよくあるのは事業関係の目的です。一例として説明したのは技術開発や二酸化炭素の削減などでした。技術開発や二酸化炭素の削減は企業が事業規模で行うという印象があるのではないでしょうか。規模が大きくなりがちな目的の支援だからこそ、補助金は助成金と比較して金額が多いことも少なくありません。ただ、金額は制度内容によるため、最終的にはケースバイケースです。
補助金と助成金では募集期間が違う
補助金と助成金では募集期間が違うという特徴があります。
助成金の募集は通年となっているケースも少なくありません。助成金でよくある目的は能力開発や雇用促進です。長い目で支援しなければならないと考えれば、募集期間の長さも納得できるはずです。
補助金の募集は助成金と比較してやや短期間になっていることも少なくありません。中には数週間というケースもあります。募集期間についても助成金や補助金の名前だけでなく、最終的には制度内容によって変わってきます。しかし、助成金と補助金を比較すると、助成金の方が長めの方が多いわけです。
最後に
補助金と助成金は同じような使われ方をされています。混同されることもあります。しかし、補助金と助成金は細かなポイントが違っているのです。
違いを知って補助金と助成金と名前のついている制度を見てみると、「補助金と付いているから目的がこうなっているのか」など、違いや特徴が見えてくるはずです。補助金や助成金の申請業務・申請手続きをする場合も、基本的なポイントをおさえておくと進めやすいのではないでしょうか。
補助金と助成金の違いを確認します。
・補助金と助成金では提供者/管轄が違う
・補助金と助成金では支援する分野が違う
・補助金と助成金では受け取るための難易度が違う
・補助金と助成金では管轄の専門家が違う
・補助金と助成金では受け取れる金額が違う
・補助金と助成金では募集期間が違う
以上が主な違いです。
制度によって例外もありますが、基本的な違いとしておさえておくと役立つはずです。