士業の仕事内容と年収は?現役行政書士が年収を開示

行政書士など士業の資格を取得したい方にとって士業の年収(士業ってどのくらい儲かるの?)は気になるポイントではないでしょうか。人によっては「それぞれの士業の収入を比較して、収入の多い士業資格を取得したい」と思うかもしれません。

この記事では現役行政書士が士業資格ごとの年収を紹介します。現役の士業として仕事をしている私の年収も開示しますので、士業の取得を検討している方はぜひ参考になさってください。また、士業資格で収入を得ることによるメリットも併せて説明します。こちらも士業の取得や資格選びの際の参考にしていただければと思います。

士業とは基本的に「8士業」を指す

士業とは難易度の高い資格試験をパスしなければならない「士」とつく資格のことです。「士」という漢字を読み替えて「サムライ業」とも呼ばれています。

基本的に「士」という漢字が使われていれば士業に該当するのですが、一般的に士業(サムライ業)と呼ばれるのは「難関資格をパスするもの」「独立開業が可能なもの」「仕事のために資格の協会などに所属する必要がある、届け出が必要である」8つの資格です。

一般的に士業と呼ばれる資格は次の通りです。

・弁護士

・司法書士

・行政書士

・弁理士

・税理士

・社会保険労務士

・土地家屋調査士

・海事代理士

8つの士業は仕事で必要な場合は戸籍や住民票の請求・取得が可能な資格でもあります。

たとえば司法書士の場合、登記に必要な場合は依頼主や相続に関係のある範囲で戸籍や住民票を取得します。8つの士業に関しては、このように仕事で必要な範囲で他者の戸籍や住民票を請求・取得できるという特徴があるわけです。

8士業全体の平均年収

厚生労働省の賃金構造調査では、弁護士や行政書士など8士業全体の平均年収は500万円くらいになっています。

ドラマや映画、漫画などで士業は華やかで高収入の仕事として描かれています。ですが、士業全体で見ると「日本の平均年収である443万円よりは高いものの、極めて年収が高い」とは言えない状況ではないでしょうか。

日本の男性全体の平均年収は400~500万円とも言われていますので、男性の平均年収と比較すると8士業全体の年収は平均的(普通の年収)とも言えるかもしれません。

士業ごとの年収はどのくらいか

士業を取得して仕事をしたい人や独立を目指している人は「いくら稼げる」という点に興味を覚えるのではないでしょうか。

一般的に士業は稼げるという印象を持つ人が多いようですが、士業にもいろいろあるため、年収は資格によってかなり違っています。また、雇われ士業なのか、それとも独立開業なのかによってもかなり違いがあります。今回は独立開業した場合の平均年収について紹介していきます。

なお、各士業の平均年収については、官公庁のデータをもとにしている「平均年収.jp」などの情報を使って比較してみます。

弁護士の平均年収

弁護士といえば法律全般、そして訴訟の専門家です。士業の中でも特に儲かる印象があるのではないでしょうか。

弁護士全体の平均年収は1028万円になっています。ただ、この平均年収の中には雇われ弁護士と独立開業弁護士が含まれているため、いろいろな働き方をしている弁護士の総合的な平均年収と考えた方が良いでしょう。

独立開業弁護士の平均年収は250万円~3,600万円になっています。弁護士を含む士業は良くも悪くも案件次第で、案件を多く受けられる、あるいは単価の大きな仕事を多く受けられれば年収も当然増えます。

独立開業弁護士の中にはあまり案件を受けていない(あるいは受けられない)弁護士もおり、年収200万円台というケースも珍しくないようです。

司法書士の平均年収

司法書士は登記の専門家です。このブログを見てくださっている方の中にも「相続登記(不動産の相続手続き)」でお世話になった」という人がいるかもしれません。

司法書士の平均年収は700万円ほどになっており、中央値は大体400万円前後という結果です。平均年収の中央値をとると、士業全体の平均年収よりやや低くなります。

司法書費の平均年収はやや下がっているとも指摘されています。これは、仕事の件数に対して司法書士の数が増加傾向にあるからだと言われています。

行政書士の平均年収

行政書士は官公庁に提出する書類の作成や許認可取得の専門家です。

行政書士の平均年収は580万円ほどになっています。ただ、平均はあくまで平均、中には平均年収を超える行政書士も少なくありません。

私も行政書士の平均年収より多くの収入を得ています。私の場合は2022年1月から7月までで売上が1,300万円を超えて状況です。特に人も雇っていませんし、経費もあまり発生していません。売上イコールほぼ収入という状況です。8月以降にも案件が多数入っているので、売上はまだまだ伸びることでしょう。

自分なりの営業や仕事スタイルを確立すれば、年収1,000万円も夢ではありません。私が実践している営業方法については別記事で紹介していますので、参考にしていただければと思います。

行政書士の営業方法!現役がやってみて効果的だった方法

弁理士の平均年収

弁理士は知的財産権の専門家です。特許に関する手続きなどを行う専門家になります。

弁理士の平均年収は940万円ほどになっています。この平均年収も開業弁理士と企業や事務所に勤めている弁理士の年収が混ざっており、開業弁理士だけの年収を見るとやや違っているのが現状です。

開業弁理士の平均年収は300~1,200万円になっています。日本の平均年収より低い開業弁理士もいれば、1,000万円超えの弁理士もいるということです。

税理士の平均年収

税理士は税金手続きの専門家です。

税理士の平均年収は950万円くらいになっています。この平均年収は雇われ税理士と独立開業税理士全体の平均年収になっています。独立開業税理士の場合は1,000万円ほどが平均年収です。

ただし、独立開業税理士は案件の多さや単価の高さ、顧問契約の有無などによって年収がかなり変わってきます。特に税理士は士業の中でも顧問契約に左右されるため、顧問契約がないと年収がかなり下がってしまうケースも少なくありません。

また、税理士は一般的に男性の方が数百万円単位で年収が多いと言われている士業でもあります。女性の税理士の場合は年収平均がやや下がると考えた方が良いでしょう。

社会保険労務士の平均年収

社労士は年金や労働問題のプロになっています。全体の平均年収は400万円ほどと、日本の平均年収と同等かやや低いくらいです。

開業社会保険労務士になると、平均年収は300~1,000万円と人によって開きのある結果になっています。

社会保険労務士も顧問契約が多く、契約の有無が年収に大きく関わってくる士業だと言えるでしょう。

土地家屋調査士の平均年収

土地家屋調査士とは依頼を受けて不動産を調査したり、一部の登記を行ったりする不動産の専門家のことです。

土地家屋調査士の平均年収は600万円前後であると言われています。

土地家屋調査士の平均年収は50代頃まで上がりますが、その後に下落傾向にあるとも言われています。幅広い年齢の有資格者がいますが、仕事をこなした量にも年収が比例するため、平均年収がやや低い層もいるのが現状でしょう。

海事代理士の平均年収

家事代理士は船舶の登記や海に関する許認可を行う専門家です。

海事代理士の場合、この資格だけを専門にしている人はあまりいません。行政書士や司法書士と一緒に取得して仕事をしているケースが多い資格だと言えるでしょう。

海事代理士の平均年収は100~1,000万円と言われます。たとえば兼業している海事代理士は多くの年収を得ているケースもありますが、これは他の資格で得た収入も合算されているからです。海事代理士だけで多くの収入を得ているケースは稀で、単独では高収入を得にくい士業だと言えるでしょう。

他の士業と兼業している海事代理士については、年収500万円が平均とも言われます。兼業していない場合は100~300万円というケースも珍しくありません。

士業の中ではどれで収入を得るのがおすすめ?

士業と一言でいっても資格によってかなり収入に違いがあります。士業の取得を検討している人の中には「どれがおすすめ?」と疑問に思う人もいらっしゃることでしょう。

個人的には行政書士をおすすめします。

別の記事で解説しましたが、行政書士は高齢が多く若い世代が少ないというアンバランスな状況になっています。若い世代の行政書士のニーズがありながら、若い世代が少ない状況なのです。ビジネスのブルーオーシャンという点で行政書士はおすすめの士業になります。

若い年代で行政書士を取得すれば、いずれ計画的に収入を得てFIRE(経済的な自立と早期退職)を達成することも可能です。私も現在、FIREに向けて動いています。行政書士は顧問契約を中心にしていないため、比較的自由な時間で働けることも魅力のひとつです。FIREのための情報収集や投資に時間を割くことも用意になっているところも、行政書士の魅力のひとつと言えるでしょう。

まとめ

士業の仕事の内容と年収について説明しました。

士業と言っても仕事の内容と収入にはかなり違いがあります。たとえばFIREの達成を目的としている場合などは、士業資格を取得する際は資格をよく選んだ方が良いでしょう。

個人的には若い世代が参入しやすく、ビジネスチャンスも多い、FIRE達成にも有利な行政書士をおすすめします。

→士業8業種の仕事内容と年収を紹介。年収がメインの記事です。

→年収と仕事時間のバランスから行政書士はFIRE向きであるという結論で書く

【一覧】士業とは? 8士業と仕事内容、平均年収、サムライ業