付加年金とは?国民年金の金額をプラスできる制度

行政書士などの個人事業主は会社員のような厚生年金はありません。基本が国民年金になりますので、自分で上乗せできるサービスや制度に加入し将来の備えを充実させるしかないのです。

行政書士などの個人事業主にとって将来の備えとしてどのような制度・サービスを利用するかは重要な問題になります。私などは投資もしていますが、将来の備えは投資と国民年金だけで準備するのは難しいという実感があります。他にも使える制度があれば、どんどん利用するべきではないでしょうか。

国民年金に「付加年金」という制度があります。今回は行政書士などの個人事業主が利用を検討したい付加年金についてご紹介します。

付加年金とは「国民年金の上乗せ制度」である

付加年金とは「年金保険料を多く払うことにより、将来的に年金額を上乗せして受け取れる」制度です。年金保険料を「付加」して払い、将来の年金に「付加」される。名前通り、従来の国民年金に付加する年金制度になります。

付加年金は任意加入になっています。国民年金の制度の一部ではありますが、国民年金そのもののように強制加入ではありません。「将来的に受け取る年金額を増やしたいな」という人が手続きすることにより、任意で加入できるのが付加年金です。行政書士などの個人事業主も、条件を満たしていれば加入できる制度になります。

付加年金に加入すると年金はどれだけ増える?

付加年金に加入すると年金は以下の計算式の分だけ増えます。

付加保険料納付月数×200円

たとえば、5年間付加年金に加入したとします。この場合は60カ月×200円なので、付加年金の額は12,000円です。1年の国民年金の額に12,000円がプラスされます。月あたり12,000円増えるわけではなく、年あたり12,000円増える点に注意してください。

10年加入すれば、120カ月×200円ですから、年あたり24,000円年金が増える計算になります。付加年金は早く長期的に加入すると比例して年金額が増えるということです。

付加年金の加入で上乗せされる保険料

付加年金に加入すると国民年金保険料も上乗せで請求されます。上乗せ額は月あたり400円です。年額で4,800円支払う国民年金保険料が増える計算です。付加年金の保険料は国民年金保険料とあわせて払います。付加年金保険料は国民年金保険料と同様に社会保険料控除の対象です。

付加年金は5年の加入期間の保険料を2年ほどで回収できる計算になります。400円と200円という金額だけ見れば損するような印象ですが、実際は2年で元が取れるというわけです。

付加年金に加入できる人・できない人

付加年金は国民年金を増やすための制度です。個人事業主のような厚生年金などによる上乗せが期待できない人などの利用を想定した制度になります。そのため行政書士などの個人事業主は原則的に加入できますが、一部の制度と重複して加入できないといった条件があります。

行政書士などの個人事業主が付加年金への加入を検討する場合は、自分が加入の条件を満たしているかチェックが必要です。

付加年金に加入できる人

付加年金に加入できるのは次のような人です。

  • 日本に住んでいる60歳以上65歳未満の人
  • 年金の繰り上げ支給を受けていない人
  • 厚生年金に加入していない人
  • 20歳以上60歳未満までの保険料納付が480月未満の人

など

簡単に説明すると個人事業主や学生、自営業の商店主、農家などが付加年金の加入対象者になります。ただ、加入対象であっても、加入するかどうかは任意です。利用したい場合は加入手続きをして付加年金保険料を支払うという流れになります。

付加年金に加入できない人

付加年金に加入できないのは次のような人です。

  • サラリーマン
  • 公務員
  • 国民年金基金の加入者

サラリーマンなどは厚生年金に加入しているため、付加年金の加入対象外になっています。

注意したいのは国民年金基金に加入していると付加年金が使えない点です。国民年金基金とは、個人事業主や学生などが保険料を払うことで将来に受け取る年金に上乗せできる制度になります。付加保険料に似ていますが、付加保険料とは払う年金保険料額や受け取れる年金額が違っています。国民年金基金と付加年金は重複できないため、どちらか一本にしぼることになります。

個人事業主など本来は付加年金の加入対象になっている人でも、国民年金基金を利用する場合は付加保険が使えなくなってしまうので、よく考えて加入してください。

付加年金に加入するときの手続き方法

付加年金の加入は自治体の窓口などで手続きをします。手続きの際は年金番号が分かるものや、口座番号が分かるもの、印鑑などが必要になります。窓口が分からない場合は自治体に尋ねてみるといいでしょう。「付加年金に加入したい」と話せば手続きもふくめて教えてもらえます。

国民年金は20歳からですが、付加年金は必ず20歳から加入しなければならないわけではありません。自分が「加入したい」と思ったタイミングで加入できる任意の制度です。とはいえ、早めに加入した方が将来的に受け取る不可分の年金額も大きくなるため、行政書士などの個人事業主が加入を検討する場合は、早めに決めて早めに加入した方が良いといえます。

付加年金を利用するときに個人事業主が注意すべきこと

付加年金を利用する際は注意したいポイントがあります。行政書士などの個人事業主は自分で将来の備えを充実させなければいけません。だからこそ、付加年金について理解し、自分の将来の備えに役立つかしっかり判断することが重要です。

国民年金基金と比較して付加年金への加入をよく考える

すでにお話ししたように、国民年金基金と付加年金は同時に加入できません。どちらか片方に加入するか、どちらにも加入しないかの二択です。

仮にどちらかに加入する場合はもう片方への加入を諦めることになります。年金保険料や将来的に受け取れる額などを比較し、どちらがより自分に有利になるかよく考えてみてください。

国民年金基金と付加年金を比較するときは「その保険料を払い続けることは可能か」も重要なポイントです。行政書士などの個人事業主は自分がずっと保険料を払い続けることも想定して選ぶこともポイントになります。

年金の繰り上げ支給や繰り下げ支給をする場合は年金額に注意する

付加年金に加入しても繰り下げ支給や繰り上げ支給によって年金額が変わってきます。そのため、行政書士などの個人事業主をどのタイミングでリタイアするか、繰り上げ支給や繰り下げ支給を利用するか、などを考えておくことも重要です。

付加年金だけでは将来の備えは万全ではない

付加年金に加入すると国民年金に上乗せで年金を受け取れますから、将来の備えという点では安心感が増すことになります。しかし付加年金で増やせる額には限界があり、仮に上乗せ分を受け取ったとしても、それだけで老後の十分な暮らしが保証されるわけではありません。付加年金に加入しても、他の手段でさらなる将来の備えをしておくべきです。

付加年金以外の将来の備えとしては、預金や投資などがあります。投資はポイント投資などいろいろな方法がありますので、はじめやすい方法から将来の備えをはじめてみてはいかがでしょう。

まとめ

行政書士などの個人事業主は厚生年金がありませんから、その分の備えをどうするかが問題になります。方法としては今回ご紹介した付加年金への加入などがあります。

付加年金とあわせて投資をするなど、自分なりの将来の備えについて考えてみてください。

参考資料

https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/seido-shikumi.files/LN06.pdf

https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/20150313-02.html

https://www.mizuhobank.co.jp/retail/learn/academy/lifestage/secondlife/20201028.html