行政書士に向いていない人とは?現役行政書士が向いている人と比較して説明します。

前回の記事では現役行政書士の視点から行政書士に向いている人についてお話ししました。現役行政書士の目から見て行政書士に向いている人をまとめると、ズバリこんな人です。

・法律を大切にできる人

・勉強が好きな人、あるいは仕事のためなら勉強できる人

・責任感がある人

・仕事上のルールをしっかり守れる人

・地道な事務処理が苦にならない人

行政書士は書類作成や法律にまつわる仕事ですから、地道で責任感のある人や移り変わりの激しいルールをしっかり勉強できるタイプの人が向いています。もっと具体的な話は別記事でしているので、そちらも参考にしてください。

行政書士に向いている人はズバリこんな人!現役行政書士が説明します。

行政書士に向いている人について説明すると「じゃあ、行政書士に向いていない人はどんな人?」と思いませんか。今回の記事では向いている人について解説した別記事とは違った視点で、行政書士に向いていない人について現役行政書士が説明します。

行政書士試験を受けてみようかな。行政書士に仕事に興味がある。スキルアップのための資格探しをしている。法律関係の仕事に就きたいと思っている。こんな方は、よろしければ参考にしてください。

行政書士に向いていない人はズバリ「向いている人の反対」である!

行政書士に向いていない人とは、単純に向いている人と逆のタイプの人です。

・法律を大切にできない人

・勉強が嫌いな人や仕事のためでも勉強したくない人

・仕事の責任感がない人

・仕事はマイルールで進める人

・地道な事務処理が苦にならない人

これだけだと分かりにくいので、現役の行政書士視点でもう少し分かりやすく説明します。

行政書士が向いていない人①法律を大切にできない人

行政書士は法律に関する仕事ですから、法律を大事にできない人は向いていない人です。

たとえば、行政書士として仕事をはじめたとします。その行政書士は信号無視やスピード違反、相談者への暴言など、守るべきルールを逸脱していることがよくありました。このような行政書士を信用できるでしょうか。行政書士でなくても「相談したくないな」「仕事をお願いしたくないな」と周囲の思われることでしょう。

行政書士は世間的に法律にまつわる専門職という印象が根付いていますから、ルール違反をすると「法律に関する専門的な仕事なのに法律違反するのか」と厳しい目で見られることになります。たったひとつの法律違反で仕事を失わないとも限りません。

それに、行政書士など法律に関する仕事をする人間にとって、法律は仕事道具のようなものです。たとえば遺言書の作成をする場合、遺言書には法律で厳格なルールが定められています。例として引用してみましょう。

第九百六十八条

自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

引用:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

民法に定められた自筆証書遺言のルールです。

行政書士はこういった法律(ルール)を仕事道具として使いながら書類作成や相談などを行うわけですから、仕事道具を大切にできないと、仕事の出来にも関わってきます。料理人がろくに手入れをしていない調理器具で料理を作るようなものです。

行政書士以外の仕事の人も、自分の仕事道具はやはり手入れして大事にするのではないでしょうか。

行政書士も同じで、仕事道具である法律は守り、大切にすることが重要なのです。ルールを破っていいと思っている人や法律を軽んじる人は、行政書士には向いていない人だと言えるでしょう。

行政書士が向いていない人②勉強が嫌いな人や仕事のためでも勉強したくない人

行政書士は常に勉強の連続です。なぜなら、一度できた法律でも改正などで変わってしまうからです。

前の見出しで登場した自筆証書遺言。以前は自筆証書遺言については、裁判所の検認という手続きが必要でした。しかし、近年にルールが変わり、一定の条件のもとで検認手続きが不要になったのです。

法務局の「自筆証書遺言書保管制度」という制度が新設され、法務局で作成した自筆証書遺言を保管できるようになりました。自筆証書遺言を法務局で保管してもらう際にチェックが入るため、この制度を利用した場合は裁判所の検認が不要になったのです。

このように、常に新しい制度ができ、現在使われている制度やルール、法律にもいつ改正がはいるか分かりません。行政書士資格を取得しても、行政書士として仕事を続けるためには常に仕事にまつわるルールや法律に目を光らせ、勉強を続けなければならないのです。料理人が自分の仕事道具である包丁を研ぐのと同じですね。行政書士も仕事に使う道具である「知識」を研ぐわけです。

行政書士の仕事をするためには一に勉強、二に勉強、三に勉強ですから、勉強が大嫌いという人や専門書を読むのが苦手という人、仕事のためでも勉強はしたくないという人は行政書士に向いていない人です。勉強自体が嫌いでも、仕事だと思ってしっかりできる人は特に問題ありません。

行政書士が向いていない人③仕事の責任感がない人

仕事に責任を持てない人は行政書士に向いていない人です。

責任感のない人はどのような仕事にも向いていないのではないかと思うかもしれません。責任を持って仕事をしていないと上司に怒られるでしょうし、仕事仲間からも「困ったな」と思われることでしょう。ただ、行政書士の場合は「怒られる」「困ったな」だけでは済みません。行政書士の仕事に対し責任を持てないと、依頼者の人生に影響を及ぼす可能性があります。場合によっては取り返しのつかないことになるかもしれません。

たとえば、離婚協議書の作成依頼を受けたとします。行政書士が「作成は後でいいや」と仕事をさぼっていたらどうでしょう。夫婦の離婚に影響するのではないでしょうか。夫婦の離婚に影響するということは、夫婦の今後の人生にも少なからず影響するということです。

離婚協議書や遺言書など、行政書士は誰かの人生に影響を及ぼす仕事をすることも少なくありません。だからこそ「責任のないことをすると、誰かの人生がマイナスの影響を受けるかもしれない」という自覚を持って仕事をすることが重要なのです。自覚なく、仕事に責任を持てない人は行政書士に向いていない人です。

行政書士が向いていない人④仕事はマイルールで進める人

行政書士の仕事をする上では、計画を立てて仕事を進めることは重要です。計画的に仕事ができれば「期限まで間に合わない」と慌てることもありませんから、計画性は重要です。計画という点では「今日できることは今日する」「仕事はこの順番で進める」というマイルールは重要かもしれません。むしろ、仕事を計画的に進めるためのマイルールがある人は行政書士に向いているかもしれないですね。

しかし、法律や書類作成のルールが厳格に決まっている場面でマイルールを押し通そうとするのは困りものです。行政書士の書類作成といった仕事は独創性を活かす仕事ではなく、厳格なルールに則った仕事になります。書類を作成しても「ルール違反です」「記載が違います」と戻されては意味がありません。独創性ではなく、ルール通りしっかりとした仕事ができるかどうかが行政書士の腕の見せ所です。

法律やルールに従うべきところをマイルールや独創性を持ち出す人は、行政書士には向いていない人です。

行政書士が向いていない人⑤地道な事務処理が苦にならない人

行政書士は華やかな仕事だと思うかもしれません。士業は「スーツでばりばり仕事をする」という印象を持っている人も少なくないため、行政書士もそのような印象で語られることもあります。実際は、士業の多くは華やかというわけではありません。スーツでばりばり仕事をするというより、机に向かって地道に仕事をしている時間の方が確実に多い仕事です。パソコン作業から時間のかかる調べものなど、行政書士は地味な作業の多い仕事です。そして、「士業はカッコいい」という印象だけではできない仕事でもあります。

ふたを開ければ地道で地味な仕事あので、こつこつと事務作業など地道な作業が苦にならない人の方が向いています。逆に「賑やかな仕事がいい」「華やかな仕事がいい」という人は、行政書士には向いていない人です。

最後に

行政書士に向いている人との比較するかたちで向いていない人について説明しました。

行政書士に向いている人と逆の人が行政書士に向かない人です。向いている人の記事も参考にして、自分の向き不向きを考えてみてください。