トラブルに気をつけている個人事業主やフリーランスの方も多いことでしょう。ただ、トラブルは次から次へと新しいタイプのものが出てきます。今回ご紹介する「発注詐欺」なども、個人事業主やフリーランスを狙った新しいタイプのトラブルです。
個人事業主やフリーランスを狙った新手の詐欺「発注詐欺」についてご紹介します。また、フリーランスや個人事業主に関するよくあるトラブルや、トラブルを避けるためのコツについても説明しますので、トラブル対策の参考として役立ててください。
目次
フリーランスや個人事業主を狙った発注詐欺とは?
発注詐欺とは、個人事業主やフリーランスを狙った詐欺の一種で、「無理な依頼を契約させ、依頼を遂行できなかったことを理由に損害賠償を求めるタイプの詐欺」です。
たとえば、AさんがXのダイレクトメッセージから「絵を描いて欲しいのですが」という依頼を受けたとします。
Aさんは依頼を受けるにあたり、契約書を取り交わしました。この契約書には「納期を守らなかったなど依頼を遂行できず損害を与えた場合は、損害賠償を請求します」といった文言が入っていました。契約書を取り交わすとき、この文言についてはあまり深く考えていませんでした。契約書にこういった文言が入っていることは、よくあるからです。
依頼内容通りに絵を描いて納品したところ、細かな修正を求められ、修正しても「意図と違う」「品質基準を満たしていない」などのクレームをつけられ、何度も修正やクレーム対応をしている間に納品日を過ぎてしまい、損害賠償を請求されてしまいました。
このように、
・クレームなどでやり直しを求められている間に納品日を過ぎ、損害賠償を求められる
・変な因縁をつけられ依頼の品を受け取ってもらえず(納品と認められず)損害賠償を求められる
このような 発注詐欺 がフリーランスや個人事業主の間で相次いでいます。
言うまでもありませんが、これは最初から損害賠償でお金を払わせることを狙って仕事を依頼する一種の詐欺です。損害賠償が目的ですから、最初から仕事を完遂させる気がないわけです。
なお、発注詐欺は仕事の受注方法の関係上、個人事業主やフリーランスが被害の中心になっています。ただ、会社員でも副業をしている方などは、こういった詐欺でトラブルになる可能性があると言えるでしょう。
フリーランスや個人事業主だけでなく、個人で仕事を受ける機会のある会社員(副業している会社員や、兼業会社員)なども注意が必要です。
フリーランスや個人事業主が詐欺などを回避するためのコツ
フリーランスや個人事業主は会社が守ってくれるわけではありません。したがって、詐欺などのトラブルからは自分で自分の身を守らなければいけません。どのように自衛するかが問題になります。
フリーランスや個人事業主が詐欺などのトラブルを回避するためのコツを知り、自衛に役立ててください。個人事業主として士業をやっている私も実際にやっている方法です。
フリーランスや個人事業主の詐欺やトラブル情報に目を光らせておく
フリーランスや個人事業主が詐欺やトラブルを回避するためには、常にトラブル情報/詐欺情報をチェックしておくことが重要です。ネットなどで収集できる情報は定期的にチェックしておきましょう。
フリーランスや個人事業主のトラブルや詐欺の情報を収集できる主なサイトは次の通りです。
【フリーランス協会】
フリーランスが任意で加入できる協会です。
こちらの協会はフリーランスや個人事業主に役立つ情報を発信しています。詐欺情報も発信していますので、定期的に記事をチェックしておくことをおすすめします。
【金融庁】
金融庁の公式ホームページでも詐欺について情報発信しています。
また、個人事業主やフリーランスがトラブルに巻き込まれる可能性のある情報なども発信していますので、定期的にチェックしておくことをおすすめします。
金融系の詐欺情報の掲載もありますので、早期退職やFIREを考えている方、資産運用中の方の情報収集にもおすすめです。
https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/chuui.html
【警視庁 特殊詐欺対策ページ】
警視庁は詐欺情報をまとめたホームページを運営しています。
こちらのサイトも詐欺情報が豊富に掲載していますので、一読をおすすめします。
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/
【法務省】
法務省の公式ホームページも詐欺などトラブル案件に関する情報が豊富です。
こちらは個人事業主やフリーランス特化というわけではありませんが、さまざまなタイプの詐欺情報が掲載されているので参考になるはずです。
詐欺は次から次への内容/手口を変えますので、法務省の紹介する事案や注意喚起を読んでおけば「これ、詐欺かな」と直感で回避できる可能性があります。
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/kaku01.html
【国民生活センター】
国民生活センターでも詐欺情報の収集が可能です。
こちらの情報もフリーランスや個人事業主に特化しているわけではありません。ただ、個人事業主やフリーランスも生活をしている以上、よくある詐欺事件に巻き込まれる可能性はゼロではありません。
食品系の詐欺から投資系の詐欺、ゲーム系の詐欺など詐欺の種類/情報が非常に豊富なので、チェックしておきたいサイトです。
https://www.kokusen.go.jp/t_box/t_box-faq.html
この他に大手のニュースサイトなどはよく詐欺の情報を発信しています。
新手の詐欺情報などが報じられていますので、個人事業主やフリーランスの自衛に使える情報として役立つはずです。
できればフリーランスや個人事業主(仕事)の横繋がりを作る
同業のフリーランスや個人事業主との繋がりを作る機会があれば、ぜひ作っておきましょう。
(業種によっては難しいかもしれませんが、可能な限り)
詐欺やトラブルの情報は横繋がりでも教えてもらえます。
同じ地方の個人事業主やフリーランスとの横繋がりができれば、その地方で起こっている詐欺やトラブルについて情報提供してもらうことも可能です。また、同業の横繋がりがあれば、その業種で多いトラブルの情報なども知り合いを通して収集しやすくなります。
また、問題のあるクライアントや発注者情報なども横繋がりで得られますので、仕事をする上でのリスク回避がしやすくなる点もメリットです。情報のためにも、横の繋がりを作れるなら作っておくことをおすすめします。
個人事業主やフリーランスはSNSなどで仕事を受けないようにする
個人事業主やフリーランスの中にはSNSを宣伝や集客に使っている方もいらっしゃるはずです。そして中には、SNSでのメッセージ機能などでそのまま仕事を受けてしまう方もいるかもしれません。
SNSでの受注ややり取りは極めて危険です。相手がアカウントを消してしまえばそれまでですし、相手の素性もよく分かりません。また、SNSで仕事を受注する場合、契約書の取り交わしなどもしないケースが多いと言えるでしょう。SNSでの仕事の受注や仕事に関するやり取りはトラブルのもとです。
詐欺の加害者もよくSNSを使って仕事を発注してきます。SNSは仕事を受ける場所ではない。SNSで声をかけられても、仕事を受けるときはしっかり契約書を取り交わし相手の素性を確認するなど、注意が必要です。
フリーランスや個人事業主を狙ったその他のトラブル
今回ご紹介した発注詐欺以外にもフリーランスや個人事業主を主なターゲットにした詐欺があります。
たとえば、よくあるのが副業詐欺です。
副業詐欺とは、副業したい主婦層をよくターゲットにしている詐欺です。
副業詐欺は「空き時間を使ってお金を稼ぎませんか?」「ネットで簡単に副業しませんか?」などと勧誘を行い(あるいは広告を出して)副業したい人を誘導します。誘導後に、
・副業の案件を回すためには、まずはうちの教材(有料)で学習してもらわなければならない
・うちの副業サイトに登録して仕事をするためには登録料が必要である
などとお金をだまし取るタイプの詐欺になっています。
フリーランスや個人事業主も案件があれば仕事をしたいことでしょう。特に駆け出しのフリーランスや個人事業主は喉から手が出るほど実績や案件が欲しいはずです。結果、こうした詐欺に騙されてしまい、「若い頃にやられた」「駆け出しの頃、煮え湯を飲まされた」と苦い記憶になってしまうことも少なくありません。
個人事業主やフリーランスはこの手のタイプの詐欺にも注意が必要です。
まとめ|個人事業主やフリーランスは自衛が大事
個人事業主やフリーランスが仕事を続けるためには、自分の身は自分で守るしかありません。
中には「法律や金融のことはよく分からないから」と言う方や、「自分はSNSを使い慣れているから詐欺になんて引っかからない」なんて言う方もいらっしゃいます。
自分の身は自分で守らなければならない以上、分からなければ知識や情報を集めようとする努力が必要ではないでしょうか。また、詐欺もどんどん巧妙化していますので、甘く見ず、自衛意識をより強くすることも重要ではないでしょうか。
ご紹介したサイトをぜひ情報収集の足掛かりに利用してください。