マイナス金利解除の影響は?投資や生活に何か関係ある?

先日ニュースでマイナス金利の解除が報じられました。マイナス金利が解除されたとして、私たちの生活や投資に何か影響はあるのでしょうか?

結論から言うと、マイナス金利の解除は私たちの生活や投資に「関係します」。

ただ、日銀の発表は専門的すぎて、どこか自分たちの生活に繋げて考えることが難しいと言えるでしょう。マイナス金利が解除されたら具体的にどのような影響があるのでしょうか。

この記事では、マイナス金利解除による生活や投資への影響について具体的に説明します。

日銀やマイナス金利の解除とは?まずは基礎知識

まずはマイナス金利や日銀などについて基本的な知識を説明します。

日銀とは

日銀(日本銀行)は日本で唯一の発券銀行であり、中央銀行です。

よくテレビで取り上げられるため「一番偉い銀行」や「政府機関」のように考えている方もいらっしゃるようですが、政府機関でも、通常の銀行とも違います。日銀は日本の金融の政策や方向性を決める上で重要な役割を果たし、さらにお札を作る唯一の銀行になっています。

日銀は具体的に次のような業務を行っている銀行です。通常の銀行と比較すると、その特殊性がよく分かるはずです。

1.お札(日本銀行券)を発行する

2.銀行の銀行としての業務(銀行のお金を預かる業務)

3.国のお金の出し入れに対応する(政府の銀行としての業務)

4.物価を安定させるための金融政策

5.公開市場操作(金利などを調整する各種のオペレーション)

日銀は一般の方が口座を作りお金を預ける銀行ではありません。

発券や政府・銀行の銀行、各種の金融政策オペレーションを行う銀行です。

https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/outline/a02.htm

マイナス金利とは

通常、銀行にお金を預けると金利が付きます。金利が付くと預けた側が金利分を受け取れます。普通預金や定期預金などとして預けている口座にたまに金利分が入っていませんか。これが基本的な金利だと言えるでしょう。

マイナス金利はこの逆です。マイナス金利ではお金を預けている側が預かっている側に金利を払うことになります。

たとえばAがB銀行にお金を預けている場合、Aが金利を受け取るのではなく、AがB銀行に金利分を支払うわけです。通常の金利とは金利を払う側・受け取る側が逆になっている状態がマイナス金利です。

日本では長らくマイナス金利状態でした。ただ、一般の預金口座などすべてがマイナス金利の適用対象になるわけではなく、各金融機関が日銀に持っている口座のごく一部です。各金融機関がマイナス金利適用の口座を日銀に持っている場合、お金を預ける側であった銀行が日銀に金利を支払わなければいけません。

マイナス金利の解除とは

マイナス金利解除とは、日本で長らく続いていたマイナス金利状態を日銀が解除すること(解除したこと)です。

日銀は2016年にマイナス金利政策を発表し、以降ずっとマイナス金利政策が続いていました。

2024年4月に日銀が長らく続けていたマイナス金利政策を解除することを発表し、大々的にニュースに取り上げられました。

マイナス金利が解除されることは「良いことでは?」と思うかもしれません。「預ける側が金利を支払う」という状態が解除されることにより、今後の各サービスへの影響も懸念されている状況です。

日銀の政策は各所・各サービスに広く影響を与えることから、単純に「良いこと」という言葉では片付けられないところがあります。

マイナス金利が解除されるとどのような影響があるの?

日銀が各種のオペレーションなどを行うと資産運用・投資・借り入れ・商売・事業・物価など数々の物事に影響が出ることから、よくニュースで取り上げられます。

日銀の発言やオペレーションは生活や投資へ具体的にどのような影響があるのでしょうか。

マイナス金利解除による生活への影響

マイナス金利解除による生活への影響は2つあります。

・住宅ローンなど借り入れの金利上昇

・銀行預金の金利上昇

影響①住宅ローンなど借り入れの金利上昇

ローンなどの借り入れは日銀の政策の影響を受けます。特に今回のマイナス金利の解除では住宅ローン金利上昇の動きが出ています。不動産をこれから購入する方の場合、「金利が高くなってしまった結果、返済額が膨らむ」という影響を受ける可能性があるわけです。すでに住宅ローンを借りている方でも、金利タイプによっては引き上げなどの影響を受ける可能性があります。

ただ、現状は据え置きの銀行や様子見の銀行なども多いため、すぐに住宅ローン金利が大幅に上昇することは考えられません。長期的に見ると上昇の可能性があるという状況です。

金融機関によって現状のスタンスが異なるため、将来のことも考えて慎重に借り入れ先を決めるべきかもしれません。

影響②銀行預金の金利がアップする

マイナス金利が解除されると、銀行の預金の金利アップが期待できます。

「預金金利を上げます」と表明している銀行もあります。三菱UFJ銀行や三井住友銀行は、普通預金を今までの金利の20倍の金利にアップすると発表している状況です。大手の都市銀行や地方銀行などは、同じように預金金利アップの方向に動くのではないかと指摘されています。

預金の金利がアップすれば預ける側はお得になりますから、これは良い影響と言えるかもしれません。

マイナス金利解除による投資への影響

マイナス金利の解除は投資にとってネガティブな影響があると言われています。

ただ、投資先の企業・金融商品は多々ありますので、すべてにおいてネガティブ要因になるわけではありません。実際にネガティブな要因になるかどうかは投資先・金融商品によって変わってくると言えるでしょう。

マイナス金利の解除がネガティブ要因になる金融商品としては、株式が挙げられます。金利と株価は関係が深く、一般的に金利が上がれば株価は下がる傾向にあるのです。連鎖的に株式を含む投資信託への影響も考えられます。

株式や投資信託で資産運用している方は、今後の動向に注意が必要です。

最後に|マイナス金利解除の影響はネガティブとポジティブがある

マイナス金利解除には良い影響(ポジティブ要素)と悪い影響(ネガティブ要素)があります。

ただ、マイナス金利は長く続いていましたので、ネガティブ要素が本当に悪い影響だけなのか、ポジティブ要素が本当に良い影響だけなのか、すぐには判断できないところがあります。

今後の金融機関や各ローン、金融商品などへの影響も注視することが重要です。