内職や在宅ワークは同じものとして語られがちですが、実は違ったものだとご存じでしょうか。
在宅ワークと内職では法律が違う他、賃金にも違いがあります。
この記事では在宅ワークと内職の違いについて現職の士業が分かりやすく解説します。
目次
内職と在宅ワークの主な違いは4つ!
内職と在宅ワークには主に4つの違いがあります。
- 仕事をする方の立場
- 法律
- 賃金の補償
- 具体的な仕事内容
内職と在宅ワークでは仕事をする方の立場が違う
内職と在宅ワークでは【仕事をする方の立場】が違います。
在宅ワークの方の立場は基本的に個人事業主です。対して内職の方の立場は家内労働者です。
- 個人事業主とは / 個人で反復・継続して事業を営むこと。基本的に税務署に開業届を提出している
- 家内労働者とは / 自宅を職場にして、仕事の委託者から素材や部品を提供してもらい、組み立てや製造を行う人のこと。個人で仕事をする方もいるが、家族ぐるみで仕事をする方もいる
なお、内職や在宅ワークはよくフリーランスとも混同されます。
フリーランスとは「特定の企業に所属せず、個人の資格や技術などで仕事を請け負う人のこと」です。フリーランスは主に単発案件を受注するところが特徴になっています。
個人事業主は反復・継続して仕事を受けるところや、開業届を提出しているところが特徴です。フリーランスと個人事業主は似ているためよく混同されますが、厳密に言うと違います。
フリーランスと家内労働者を比較しても、仕事をする方の立場が違います。
この他に、自営業との違いも問題です。自営業・フリーランス・在宅ワーク・個人事業主・家内労働者はそれぞれ特徴が違っています。
内職と在宅ワーク、個人事業主、自営業、フリーランスなどの違いをまとめました。
仕事の特徴/仕事をする方の立場 | |
内職 | 製造や組み立てなど自宅で行う仕事。家内労働者。 |
在宅ワーク | 自宅で仕事をする形態。個人事業主。あるいは、会社員の在宅勤務形態。在宅ワークをしている人には個人事業主の人と会社員の人がいる。 |
個人事業主 | 個人で反復・継続して事業を営むこと。税務署に開業届を提出している。個人で仕事をしている在宅ワークの人は個人事業主に該当する可能性がある。 |
家内労働者 | 仕事の委託者から素材や部品を提供してもらい、自宅で組み立てや製造の仕事をすること。内職は家内労働者の一種。 |
フリーランス | 特定の企業に所属せず、個人の資格や技術などで仕事を請け負うこと。開業届を提出し、個人事業主と同じ意味で使っていること、使われることがある。 |
自営業 | 個人で事業を営む人・家族などのこと。個人事業主の場合と法人の場合がある。 |
副業 | 本業以外で別の仕事をすること。ダブルワークなど。 |
会話の中で「自分は自営業(フリーランス、個人事業主など)なんだ」と使うことがあります。
自営業という言葉を使っていてもフリーランスの場合もありますし、フリーランスという言葉を使っていても個人事業主に該当する場合もあります。
こういった会話でそれぞれの言葉が使われる場合はあまり厳密に違いを考える必要はありません。
内職と在宅ワークでは適用される法律が違う
内職と在宅ワークでは適用される法律も違います。
内職には家内労働法という法律があります。対して在宅ワークの場合は、適用される専用の法律は現状ありません。
- 内職 / 家内労働法。
- 在宅ワーク / 専門の法律なし
家内労働法とは家内労働者(内職をしている人や、仕事を手伝うその家族)、を保護するための法律です。
家内労働(内職)の賃金や定義、終業時間など、さまざまなルールを定めています。
このように、内職と在宅ワークでは法律に違いがあります。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/jirei_toukei/chingin_kanairoudou/toukei/kanai-law.html
内職と在宅ワークでは賃金の補償が違う
内職と在宅ワークでは賃金の補償に違いがあります。
内職には最低賃金の補償があります。また、すでにお話ししたように、家内労働法の保護対象です。
対して在宅ワークには最低賃金の補償はありません。個人で在宅ワークの仕事をしている場合、在宅ワークの人を守ってくれる最低賃金のルールも、専用の法律もないわけです。
在宅ワークの人が個人事業主の場合、困ったことがあればフリーランス協会などに相談できます。
【フリーランス協会】
【フリーランス・トラブル110番】
https://freelance110.mhlw.go.jp/
内職と在宅ワークでは具体的な仕事内容に違いがある
内職と在宅ワークでは仕事内容にも違いがあります。
- 内職 / 手作業や組み立て、製造、細かな作業が多い
- 在宅ワーク / パソコンなどを使った作業が多い
仕事形態 | 仕事内容 |
内職の主な仕事内容 | 商品へのシール貼り、材料を受け取って小物を作る、部品の提供を受けて組み立てる、部品や小物などの袋詰め、アクセサリーなど装飾品づくり、ガチャガチャの梱包、ポケットティッシュにチラシを入れる、ダイレクトメールの封筒詰めや宛名書き、文具や箱の組み立て、ワイヤーや紙などでの造花作り、部品からはみ出した部分を切ってキレイにする、裁縫、ペットの小物づくり など |
在宅ワークの主な仕事内容 | 執筆、システムの管理、資格を使った仕事(士業の仕事など)、オペレーター、データ入力、秘書・事務の業務、テレマーケティング、文字起こし、翻訳、校正や編集、オンラインでの語学教師や塾講師、趣味の講師、データ分析、配信、ナレーション、動画作成、通訳、ホームページ作成、プログラマー、デザイナー、イラストレーター、作家、漫画家、画像作成・編集 など |
家でできる仕事を掲載しているサイトでは、内職と在宅ワークに分けて案件を掲載していることがあります。
在宅ワークにはどのような仕事があるか。内職にはどのような案件が掲載されているか。大体の内容をチェックすることで、どのような仕事内容が在宅ワーク・内職になるのか、大まかに把握できるはずです。
内職と在宅ワークの違いまとめ
内職と在宅ワークはよく似ており、混同されて使われることも少なくありません。
この他にフリーランスや副業などさまざまな仕事に関する言葉があるため、混乱する方もいらっしゃることでしょう。
内職と在宅ワークでは、厳密に言うと4つの違いがあります。
普段の会話では厳密に使い分ける必要はありませんが、仕事を探したいときは言葉を使い分けた方が、よりニーズに合った案件を探しやすくなります。
基本的なポイントだけでもおさえておくと便利です。