フリーランス・個人事業主が仕事に使う印鑑は何でもいいの?

フリーランスや個人事業主として仕事をするときに「仕事に関する印鑑はどうすればいいの?」と悩むことはありませんか。仕事に使い印鑑は自由なのでしょうか。それとも、フリーランスや個人事業主が仕事に使う印鑑にも実印のように規格が定められているのでしょうか。

フリーランスや個人事業主が仕事に印鑑を使うときによくある疑問について解説します。

フリーランス・個人事業主の印鑑問題

フリーランスや個人事業主として仕事をする際に「印鑑を求められたらどの判子を押せばいいのか」「フリーランスや個人事業主用の印鑑は必要なのか」と悩むことがあります。特にフリーランスや個人事業主をはじめたての頃はいろいろな疑問があり、印鑑もそのひとつではないでしょうか。

近年はフリーランスや個人事業主の仕事をネットでも受注でき、専門のサイトで受注した場合は特に印鑑を求められないことも多いことでしょう。しかし、仕事を続けているとどこかで「印鑑どうしよう」という問題に突き当たります。印鑑にはいろいろな種類があるので、こんなときはどの印鑑を使えばいいのかが問題です。

印鑑の主な種類については別記事にまとめました。フリーランス・個人事業主の仕事以外でも役立つ基本的な印鑑知識をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

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フリーランスや個人事業主の印鑑は何でもいいのか?【結論】

フリーランスや個人事業主の印鑑は基本的に何でもOKです。

なぜかと言うと、行政手続きや法的な手続きのように「認印はNG」「実印を使う」「この場合は認印でも良い」「判子不要」など、細かなルールが存在しないからです。また、印鑑登録のときのように印鑑に対する細かな規格・ルールも存在しません。そのため、フリーランスや個人事業主として仕事をする際は「基本的に印鑑は何でも良い」が結論です。

ただし、フリーランスや個人事業主にもいろいろな業種・有資格者・タイプ・状況の方がいますので、業種や考え方、状況に応じて印鑑を作り、使い分けをしている方も実際にいます。私も行政書士としての印鑑(士業印)がありますので、仕事の際に使うことがあります。

現状、士業などで仕事をしていない場合は、「困ったら作る」くらいの感覚で良いかもしれません。すでにお話ししたように、ネットで仕事を受注しているフリーランスや個人事業主の場合は、あまり印鑑を使う機会もなく、仕事に関する印鑑を用意せず仕事をしていることも珍しくない状況です。

重要な取引や契約には実印を使うケースもある

フリーランスや個人事業主の中には取引や重要な契約の際に印鑑を求められたら実印を使うケースもあります。

このあたりはケースバイケースで、あえて求められない場合は仕事用の印鑑を使う場合や、仕事に関しては実印を使うケースなど、個人事業主やフリーランスごとの考え方によって印鑑事情が違っているようです。

職種・資格・状況によっては別途印鑑が必要

フリーランスや個人事業主は特に事情がなければ、仕事用の印鑑を別途用意する必要はないと言えます。

しかしながら、資格や働き方、考え方によっては仕事用の印鑑が必要になることもあります。

フリーランスや個人事業主に仕事用の印鑑が必要になるのは次のようなケースです。

会社を設立したら会社の印鑑が必要になる

個人事業主やフリーランスとして仕事をしていて「会社を設立しよう」となったときは印鑑が必要になります。会社の印鑑です。

設立する会社の印鑑は手続きにも使うため、個人事業主やフリーランスから会社に切り替える際は用意しなければいけません。会社になる前にフリーランスや個人事業主をやっていたとしても、会社設立となると印鑑事情も変わってくるわけです。

士業など資格で仕事をする場合は士業印が必要になる

行政書士や司法書士などの士業で仕事をする場合は士業印が必要になります。

士業の中には士業印の登録が必要な資格もあります。士業印は角印や丸印などがあり、仕事の中で使い分けることになります。個人事業主やフリーランスとして仕事をする場合でも、士業資格を使って仕事をする場合は士業の仕事に使う士業印が必要です。

士業印に関してはサイズや登録など、士業ごとにルールがあります。個人事業主やフリーランスの仕事の中で士業資格を使う場合は、「印鑑はどれでもいい」ではなく、士業のルールに則った印鑑の準備が必要です。

士業資格の印鑑は他にも「職印」「先生印」「資格印」「資格者印」などと呼ばれることもありますが、基本的にはすべてこの士業資格の判子「士業印」を指します。

個人事業主も仕事用の印鑑を作ることも少なくない

個人事業主やフリーランスには特に印鑑のルールはありません。しかしながら、中には仕事用の印鑑を作成している方もいます。

たとえば私の知人に文筆業をしている個人事業主がいます。知人は仕事を受けるときや個人事業主として取引をするとき用に別途印鑑を作成し使っているそうです。

フリーランスや個人事業主は特に厳密な印鑑のルールがないのに、なぜこのように仕事用の印鑑をあえて準備して使っているのでしょうか。

理由は3つあります。

・実印だと効果が強すぎるから

・実印を押して悪用されたくないから

・仕事と私生活を分けたいから

実印は印鑑登録をし、印鑑証明書を発行してもらえる強い力を持った印鑑です。ローン契約など重要な契約や取引では実印を求められるケースが多いと言えます。

実印は強い力を持った印鑑だからこそ、無暗に押すと怖いと考える方は少なくありません。日常生活を振り返ってみると、郵便や荷物の受け取りの際に実印を押す方はあまりいないのではないでしょうか。

実印は効力の強い印鑑だからこそ「実印で」という手続き以外では仕事・私生活共に使わないというスタンスのフリーランス・個人事業主は少なくありません。ただ、誰でも買えてしまう三文判だとそれはそれで恰好がつかないので、仕事用にちょっと洒落た判子を用意しておく方もいます。

また、仕事と私生活を分けたいという方もいます。郵便や荷物の受け取りの際は苗字の三文判を使い、仕事用には変わった字体の仕事用の印鑑を使うなど、仕事と私生活を分けるために仕事用印鑑を作って使い分けている方もいるようです。

このあたりはフリーランスや個人事業主の「印鑑に関する考え方」によるところです。

フリーランスや個人事業主はどんな印鑑を使っているのか

仮にフリーランスや個人事業主の仕事用として印鑑を作るとしたら、どのような印鑑が良いのでしょうか。

フリーランスや個人事業主の仕事に関しては特に印鑑のルールがないため、結論としては「何でもいい」になります。しかし、印鑑を押した場合は取引先や仕事のクライアントも見るわけですから、あまり奇抜なデザインだと「この人に仕事を任せて大丈夫か」と不安になってしまう可能性があります。

フリーランスや個人事業主の印鑑としてよく使われるのは、次のようなデザインです。

・苗字

・苗字+名前

・屋号

デザイン関係の仕事をする方に関しては、判子についてもデザインセンスの見せどころと言えるかもしれません。2種以上の仕事をしている方は、業種によって違う判子を使い分けるという方法も良いでしょう。

私生活の印鑑が苗字の場合は字体を変える。屋号にする。このように、私的な印鑑と間違えないような工夫も必要です。

最後に

フリーランス・個人事業主の印鑑事情についてお話ししました。

フリーランスや個人事業主の仕事をする際の印鑑は「特に決まっていない」が結論です。仕事関係には実印を使う方もいれば、実印は基本的に可能な限り使わず仕事用の印鑑を準備している方など、さまざまです。ただ、士業など資格を使って仕事をする方の場合は士業印が必要になるため、注意してください。