個人事業主は仕事と仕事の合間にすき間時間を作りやすく、自分の仕事のスケジュールを柔軟に立てやすい業態です。また、会社勤めのように終業時間まで必ず働かなければならないという縛りはないため、日によっては「今日はキリの良いところで終了」と早い時間で仕事を終わらせることもできます。そういった意味で個人事業主や投資や副業をしやすい環境にあると言えるでしょう。
個人事業主の中には「資格一本でやっているから」という方もいます。ですが、時間を柔軟に使いやすいのですから、むしろ収入アップやFIRE達成のためにも積極的に副業することをおすすめします。個人事業主の副業にはFIRE達成の近道になることや収入アップ以外にも意外なメリットがあるのです。このメリットのためにあえて副業をしている個人事業主も少なくありません。
今回の記事では個人事業主が副業をするメリットのひとつである 経費 についてお話しします。
目次
個人事業主の「副業」とは何か?
経費についてお話する前に、まずは個人事業主の「副業とは何か」について説明しなければいけません。副業について理解していないと経費についても分からなくなってしまうからです。
副業とは本業以外で収入を得る仕事のことです。本業が士業だったとします。本業である士業以外で収入を得れば、その収入減になった仕事は副業です。ただし、副業について明確な定義は存在しないため、副業の範囲や副業に該当するかどうかはよく問題になります。
分かりやすく事例で見てみましょう。
事例①個人事業主が不用品をリサイクルショップに売却した
個人事業主として仕事をしていたある日、自宅を掃除していたら服や家電などいらないものがたくさん出てきました。捨てるよりはお金になった方がいいと思い、リサイクルショップに売却しました。幸いにも納得できる額で売れ、臨時収入になりました。
なお、リサイクルショップはごく稀に使う程度です。定期的に売却しているわけではありません。
事例②個人事業主と掛け持ちでコンサルタントをしている
個人事業主として資格を使って仕事をしています。個人事業主の仕事用として事務所があり、本業の場合はそちらで仕事をしています。個人事業主の仕事とは関係なく、副業で時折コンサルタントをしていました。コンサルタントは自宅のパソコンとネット回線でやっています。
個人事業主の収入とは関係なく、コンサルタントの仕事で月数万~10万円の収入を得ています。
副業の判断は定義がないからこそ人や会社によって違ってくることがあります。しかし、一般的に事例①を副業だと考える人はほぼいないのではないでしょうか。
事例①が副業であれば遺品整理なども副業になってしまうかもしれません。中古を安く仕入れて、その商品を中古ショップに売り差額で稼いでいるなどの事情がなければ事例①を副業と言ってしまうのは難しいのではないでしょうか。
対して事例②を副業だと判断する人は多いのではないでしょうか。メインの仕事は個人事業主ですが、コンサルタントがサブとしての仕事になっています。
個人事業主はもともと確定申告をしますが、副業をしている場合は副業の収入も含めた税金や手続きを考えなければいけません。
副業で収入を得るためには経費がかかる
確定申告などの税金手続きでは、税金を計算する際に経費を差し引ける決まりになっています。
事務所で個人事業主をしている場合は仕事に関する支出を経費として売上から差し引けるのです。個人事業主やフリーランスとして仕事をしている方にとっては説明するまでもない知識ですが、経費を多く計上すればその分だけ税金計算のもとになる金額が少なくなります。
結果、税金の額も低くなるわけです。経費をしっかり計上することは個人事業主やフリーランスにとって基本的な節税方法ではないでしょうか。この考え方は個人事業主の副業でも有効です。
個人事業主の副業の経費は計上できる
副業であっても収入を得るためには機器の購入など仕事のための支出があるわけですから、副業で支出した分は経費として計上できるという理屈になります。
経費として計上できるかどうかは、本業にしている個人事業主の考え方と同じです。以下のような経費を計上できます。
・副業で収入を得るために必要な支出
・副業で使った消耗品の費用
・副業の宣伝や広告費
・副業の情報通信料
・副業の外注費用
・水道光熱費の一部
・火災保険料の一部
・家賃の一部 など
経費は細かく決まっているわけではなく、副業をする上で必要だった支出や収入を得るために必要な支出について「認められる可能性がある」に留まります。経費として計上したにも関わらず税務署から「副業との関連性が薄い」と指摘されて経費の計上が認められないこともありますので注意してください。このあたりの事情も個人事業主の本業と同じです。
また、個人事業主として事務所で仕事をしていて、仕事が終わった後にまったく別の仕事を副業として自宅でしていた場合は、自宅の家賃や電気料なども経費として認められる可能性があります。
自宅である以上、生活の場でもありますから、家賃が全額認められることは基本的にないと考えた方がいいでしょう。自宅を事務所にしている場合は適切な割合で按分し、経費計上する必要があります。
個人事業主の副業で経費計上できない支出
個人事業主が本業と別に副業収入を得ていた場合に計上できない経費も、個人事業主の経費と考え方は同じです。
副業に直接関係のない支出は経費として計上できません。
たとえば、自宅で副業の仕事をしていて、本を購入したとします。副業に使う専門書籍などは経費として認められる余地がありますが、個人的に楽しみたい漫画本などは基本的に経費にできません。
自宅で副業をしていると、家庭の支出も経費に計上しそうですが、家庭の食費なども副業関係の支出ではありませんからNGです。
次のような支出は経費にできません。
・生活費
・医療費
・住民税や健康保険料
・個人の趣味のもの など
副業で支出した際も領収書やレシートの保管を忘れないようにしましょう。
経費に計上できるか判断が難しい場合は税理士などの専門家に確認しておくことをおすすめします。
個人事業主が積極的に別の仕事(副業)をするメリット
個人事業主の中には最初からさまざまな業種を兼業している人もいますが、「資格一本でやっている」「ひとつの業種に専念している」という人も少なくありません。個人事業主も副業、要するに収入を得られる別の仕事を一緒にすることで収入を増やせるというメリットがあります。
仕事をするためには支出を免れることはできません。増やした仕事の分についても仕事関係の支出を経費として計上できる可能性があるのです。
事務所を構えて仕事をしている人が自宅で副業をすると、自宅の家賃や光熱費なども経費として計上できる可能性があるため、節税方法として利用できます。
まとめ
個人事業主もすき間時間に別の仕事をすることで、経費による節税と収入増加が同時にできる可能性があります。
節税には控除などの利用も重要ですから、収入アップと節税のために使える控除なども併せてチェックしておきましょう。
経費や副業、節税などについて不安なことや疑問があれば、実際に副業をはじめる前あるいは疑問が出た段階で税理士へ確認しておくことをおすすめします。
副業を始めて、自宅を事務所として開業すると、自宅の水道光熱費や情報通信料・火災保険料等々の一部を事業経費として計上できるようになるので、税金的にお得。