法人を設立してビジネスをスタートすると、どうしても資金が必要になります。
そんなときに助かるのが、銀行などの金融機関の融資です。
ただ、銀行など金融機関の融資は、申し込んだからといって必ず貸してもらえるわけではありません。金融機関側に必要書類をそろえて申し込み、審査をパスしたら融資実行という流れになっています。そのため、融資を受けられるかどうかは金融機関側の審査次第であり、審査落ちというケースも決して少なくはありません。
創業時の融資をスムーズに受ける方法はいくつかありますが、そのうちのひとつが 行政書士など士業のサポートを受ける という方法です。
この記事では創業融資で行政書士のサポートを受けるメリットについて解説します。
目次
創業融資をスムーズに受ける方法とは?
創業融資をスムーズに受ける代表的な方法をまずはご紹介します。
- まずは銀行の法人口座を開設し、法人口座を作った銀行に融資を申し込む
- ネット銀行の融資に申し込む
- 融資の審査対策をしてから申し込む
- 実績や法人の設立年数、ビジネスの目的や内容など、審査で重視されるポイントを確認する
- 士業に相談しながら融資の申し込みを進める
融資を受けるためにも、まずは法人口座を開設するという流れがスムーズです。
銀行の中には法人口座の開設が融資の基本的な条件になっているところも多く、ネット銀行などの中には法人口座を開設し、それからそのまま融資を申し込むという流れになっているところもあります。
ネット銀行の融資は申請しやすく、ネットでの手続きで完結するものも少なくありません。ネット銀行はメガバンクや地方銀行と比較して融資の審査難易度がかなり低いので、「まずは法人口座が欲しい」「とにかく融資が必要」という場合は、ネット銀行がおすすめです。
ネット銀行のおすすめ法人口座については別記事にまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
融資をスムーズに受けたいときは審査対策をすることも重要です。
ただ、審査対策や融資のことなど、多くの経営者は「よく分からない」というケースが多いです。そこで行政書士など士業の出番というわけです。
創業時の融資で行政書士のサポートを受けるメリット
創業時の融資をスムーズに受けたいときは、行政書士など士業への相談がおすすめです。
行政書士に相談することで6つのメリットがあります。
- 融資の銀行選びや必要書類の準備などもサポートしてもらえる
- 法人口座の開設など創業融資をスムーズに受けるための順序をアドバイスしてもらえる
- 創業融資の審査対策など、プロの経験や実務面からアドバイスを受けられる
- 補助金や助成金など行政書士の視点から資金調達についてもアドバイスしてもらえる
- 創業間もない法人がやっておくべきことについてもアドバイスを受けられる
- 士業繋がりで別の士業や銀行の担当を紹介してもらえる
6つのメリットについて順番に説明していきます。
融資の銀行選びなど準備についてもサポートを受けられる
融資では審査の難しさが取り上げられがちですが、審査以前に銀行選びがかなり重要になってきます。
銀行によって融資の審査難易度がかなり変わってくるからです。
士業の感覚としては、メガバンクの融資審査はかなり難易度が高く、創業して間もない法人だと、即座に審査落ちということも珍しくありません。メガバンクは多くの大企業、老舗と取引がありますから、そういった法人と比較すると、どうしても設立間もない会社は不利になりがちです。
メガバンクの次は都市銀行からの融資がやや難しく、比較的柔軟に対応してくれるのが信用金庫や地銀です。最も融資を簡単に受けられるのがネット銀行ですが、ネット銀行からの融資や法人口座開設には、あまり社会的な信用力がありません。
地銀や信用金庫に関しては、規模の大きさなどにより、地銀・信用金庫によってかなり融資の難易度が変わってきます。地域によっても異なります。
行政書士は銀行とやり取りする機会がかなり多いので、ここに書いている以上の事情や融資難易度の違いなどもよく把握しています。また、行政書士は法人の設立に関わることも多いですから、プロの目から見て「現状で融資を受けられるならどの銀行が良いか」を選定・見抜くのが得意です。
法人設立後すぐに融資を受けたいと思っているなら、設立の段階から行政書士にサポートしてもらい、そのまま実情に即したおすすめの銀行をアドバイスしてもらえます。
スムーズに進めるための順番についてもアドバイスを受けられる
銀行の融資を受けたい場合は、先にやっておくとスムーズなことがいくつかあります。
- 必要書類の準備
- 法人の現状の整理、把握(財務状況やビジネスの売上など)
- 法人口座の開設
融資とはつまり金融機関からお金を借りるということです。
たとえば経営者の方がお金を貸す場合、「ビジネスや財務、売り上げなどを把握していない」「現状があやふやな状況である」「お金を受け取る準備ができていない」「手続きにもたつく」……このような人(会社)にお金を貸したいと思うでしょうか。不安ではありませんか?
融資を申請する前に、まずは法人の現状把握や資金の受け皿になる法人口座の開設など、やるべきことがあります。
行政書士は法人設立に関わることが多いので、その流れで創業時にスムーズに融資を受けるために必要な流れや準備などもサポートできますので、スムーズに融資を受けやすくなります。
融資の審査についてプロの経験からアドバイスを受けられる
融資を受けるためには必ず審査があります。
創業間もない法人が特に不安になるのは「融資の審査にパスできるか」ではないでしょうか。
審査では厳しくチェックされるポイントと、あまり気にされないポイントがあります。金融機関によって融資の審査基準はかなり違っている他、重視するポイントも違っています。
たとえば大きな銀行であれば創業からの年数や業績、歴史、実績などを重視しがちです。対してネット銀行や地銀などは、こういったポイントはそこまで気にしないことが多いです。
また、地銀はエリア内の法人に対して柔軟ですが、ネット銀行は特にそのようなことはありません。対面で話を聞いて審査に活かしてくれるかなども、銀行によって異なります。
行政書士はエリア内の銀行について熟知していますので(何と言ってもやり取りが多く、法人設立や資金調達に関わることが多いため)審査についても銀行ごとに適切なアドバイスを受けられるというメリットがあります。
補助金や助成金など他の資金調達方法についてもアドバイスを受けられる
行政書士は補助金や助成金のプロです。
融資以外にも補助金や助成金などで資金調達できる可能性もありますので、融資以外に使えそうな方法、申請できる補助金についてもアドバイスを受けられるというメリットがあります。
補助金や助成金は次々と新しいものが出てくる他、今まで行われていたものが廃止になることもあります。申請条件をチェックするだけでも面倒ですが、申請の準備や手続きはさらに面倒なところが特徴です。
行政書士に融資を相談することで、「他にも使える補助金がある」と紹介してもらえる他、融資のサポートと同時並行で補助金申請などのサポートも受けられるというメリットがあります。
創業間もない法人がやっておきたいことについてもサポートしてもらえる
創業間もない法人の場合、融資以外にもやっておいた方が良い手続きや準備があります。
たとえば財務状況やビジネスの目的をまとめたり、業績についてまとめたりするなど、細かなポイントですが、先にやっておくと融資以外のときにも役立ちます。
この他にも現段階でできる手続きや、やっておいた方が良いことを、行政書士の視点でアドバイスしてもらえるところがメリットです。
別の士業や銀行の担当なども紹介してもらえる
行政書士をはじめとして、士業は横繋がりが強いという特徴があります。
なぜかと言うと、士業ごとにできる仕事とできない仕事があるからです。
たとえば法人の税務に関する相談があった場合、税金関係は行政書士ではなく税理士の管轄ですから、すぐに知り合いの税理士に「こういった悩みを持っている経営者がいるので、相談に乗ってあげて欲しい」と連絡するわけです。このようなケースはよくありますので、自然と士業同士の横繋がりが強くなるわけですね。
行政書士に創業期の資金調達について相談することで、税理士や社労士、司法書士など、他の士業との橋渡しをしてもらえるというメリットがあります。
また、行政書士は銀行とよく連携して仕事をする関係業、銀行の担当を紹介してもらえることも少なくありません。融資を受ける前に銀行との繋がりができますので、法人口座の開設や融資の際にプラスに働くことが多くなります。
士業に融資の相談をするときの注意点は3つ
行政書士など士業に融資の相談をするときは3つのポイントに注意する必要があります。
- 行政書士など士業がすべて代わって手続きしてくれるわけではない
- 行政書士など士業がサポートしたからといって融資審査が甘くなるわけではない
- 日本政策金融公庫を利用するという方法もある
行政書士などの士業に依頼しても、創業融資や法人口座開設の手続きをすべて丸ごとやってもらえるわけではありません。あくまでサポートやアドバイスですので、手続きの中心は経営者です。
行政書士などの士業が書類の記載から手続きの代理、融資選びから融資の申し込みなど、全部丸ごとやってもらえるわけではないという点に注意してください。
(たまに勘違いされている方がいらっしゃいますので念のため)
また、こちらについても勘違いしている方がいらっしゃいますが、行政書士など士業が関与したからといって、銀行の審査が激甘(顔パス)になるわけではありません。銀行は銀行でビジネスですので、審査は別問題ということです。
創業融資の場合、いきなり銀行の融資を狙うのではなく、日本政策金融公庫を使うという方法もあります。行政書士への相談の場合、補助金や日本政策金融公庫など、他の資金調達方法についても可能な限りアドバイスいたします。
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/sogyoyushi.html
創業時の融資は行政書士にサポートを受けられる!メリットとは?|まとめ
行政書士に創業融資のサポートを受けるメリットについてお話ししました。
これは創業融資に限った話ではありませんが、融資や各種の手続き、助成金などは、やはりプロにサポートを受けた方がスムーズです。
創業期は特に忙しく、従業員をあまり雇っていないという法人も多いことでしょう。実際、経営者が代表・経理・社員をかね、少数でやっていることも珍しくありません。
そこに「融資の申し込みをしないと」「銀行選びをしないと」となると、ビジネスに専念できないどころか、パンクしてしまいます。行政書士などの士業にサポートしてもらえることがあれば、プロをどんどん使ってしまった方がスムーズですし、ミスも少なく、負担も軽減できます。
身近に行政書士がいれば、ぜひ相談してみてはいかがでしょう。
