個人事業主などが仕事をはじめる場合、仕事の拠点はどこにするか? が問題になります。
従来であれば賃貸物件やビルなどを借りて仕事のオフィスにしたものですが、現在はさまざまな仕事の形態があることから、仕事の拠点である事務所にもさまざまです。現在は一昔前には想像もできなかったバーチャルオフィスなども登場しています。
個人事業主などが仕事をはじめるときの拠点である事務所のタイプと、おすすめの事務所タイプを紹介します。これから「ひとりで仕事をはじめてみたい」という方や「副業で個人事業主になる」という方は、ぜひ仕事の拠点決めの参考にしてください。
目次
個人事業主など仕事をはじめる人の事務所タイプ
個人事業主など仕事をはじめる人が使える主な事務所には7つのタイプがあります。
- 自宅
自分の自宅を個人事業主などの仕事の事務所にする方法です。
自宅を仕事の拠点にしてはいけないというルールはありません。自宅の空き部屋を事務所にする。自分の部屋でそのまま仕事をする。書斎を事務所にしておく。このように、自宅の空いている部屋、使いやすい部屋でOKです。
- シェアオフィス
シェアオフィスとは、複数の人や法人などでシェアして使うタイプの事務所です。ひとつの部屋に複数の仕切りがあり、複数の人や法人がそれぞれのスペースを使う。一室を共有する。このようなタイプの事務所がシェアオフィスです。
次の紹介するコワーキングスペースは基本料や利用料などを払えば使えるため、喫茶店や漫画喫茶などに料金形態が似ています。対してシェアオフィスは、シェアしている法人や個人事業主で賃料もシェアするのが基本です。
共同で一室の事務所を使い、全員で賃料を割り勘する感じです。
- コワーキングスペース
コワーキングスペースとは、他の個人事業主などとスペースを共有するタイプの事務所です。
喫茶店を想像すると分かりやすいかもしれません。喫茶店に飲み物を注文すれば、好きな座席に座れる。コワーキングスペースがまさにこのタイプです。
事務所タイプのひとつではありますが、基本料などを払いスペースを利用できるタイプのオフィス/拠点の使い方がコワーキングスペースです。
- 賃貸オフィス
賃貸物件やビルの一室を借りるタイプの事務所です。
会社を起業する。個人事業主をはじめる。では、事務所はどうしよう?
こんなときに、「事務所」と言われて真っ先に想像するタイプの事務所ではないでしょうか。
- レンタルオフィス
レンタルオフィスとは、法人や個人事業主が事務所にできる専門の物件、あるいはスペースです。スペースを区切るかたちで複数のレンタルオフィスがあり、それぞれを法人や個人事業主が借ります。オフィス専門のスペースなので、セキュリティやサービスなどもしっかりしているところが特徴です。
たとえば、大部屋のレンタルオフィスがあったとします。室内は東西南北の4つのスペースで区切られており、それぞれ法人や個人事業主が自社・自身の事務所として借りていました。このようなタイプの事務所がレンタルオフィスです。
- バーチャルオフィス
実際の事務所を借りるのではなく、バーチャル(仮)の事務所を借りる方法がバーチャルオフィスです。
具体的には、建物に入居せずfax番号などを借りる方法が、このバーチャルオフィスになります。ネット上を探すと、さまざまな会社のバーチャルオフィスが見つかります。
- 親族や知人宅
自分の親族や知人宅も事務所にすることは可能です。
たとえば、知人と共同で仕事をする場合などは、自宅ではなく知人宅を事務所にする方法もあります。また、親族の自宅の部屋が余っているなどの場合は、実家や叔父の家など、親族のお宅の一室や一棟などを借りて事務所にすることも可能です。
仕事をはじめる人の事務所タイプはどれがおすすめ?
7つの事務所タイプもメリットとデメリットをそれぞれまとめました。
基本的に「自分が仕事をする上でメリットのある事務所」であり、「デメリットが少ない事務所タイプ」がおすすめです。メリットとデメリットをよく比較してみましょう。
事務所のタイプ | メリットとデメリット |
自宅 | 【メリット】
持ち家であれば賃料がかからない。賃貸物件の場合は賃料の一部を経費にできる。いちいち事務所を探さずに済み、仕事の合間に家事などもできる。いちいち事務所に通う手間や時間も必要ない。 【デメリット】 仕事と私生活を切り離しにくい。大きな設備を置くのは難しい。融資を受けにくい。 |
シェアオフィス | 【メリット】
仕事に使える機器がそろっている他、商談などに使えるスペースなどビジネス向きのサービスもそろっていることが多い。料金が安く、人脈も広げやすい。 【デメリット】 自分だけの固定電話などの設置が難しい。事務所を他人とシェアしているため、落ち着いて仕事ができない。機密や個人情報の扱いにも注意が必要(周囲に見えてしまうことがある)。融資や口座開設の際の信用度も基本的に低い。賃料もシェアしているため、移転の際にシェア仲間などとトラブルになることもある。 |
コワーキングスペース | 【メリット】
印刷機など仕事に必要な機器がそろっている。料金が安い。事務所の移転も楽々であり、柔軟に使える。人脈を広げたいときにもメリットがある。 【デメリット】 自分だけの固定電話などを設置できない。周囲に別の人たちがいるので、落ち着いて仕事ができない。周囲に人がいる関係上、機密や個人情報の扱いにも注意が必要(周囲に見えてしまうことがある)。融資の際の信用度も基本的に低い。 |
賃貸オフィス | 【メリット】
賃貸したフロアや室内を自社・自分だけで独占できる。融資などでも信用度が高い。賃貸したフロアや室内のインテリアに関しても自由度が高い。 【デメリット】 移転が大変である。また、賃料や保証金など、費用がかかる。 |
レンタルオフィス | 【メリット】
基本的に個室なので、他人を気にせず仕事ができる。仕事に必要な機器やスペース、サービスがそろっていることも多く、セキュリティも高めである。 【デメリット】 物販には使えない場合が多い。大きな機器なども持ち込みが難しいため、職種によっては使えない可能性がある。 |
バーチャルオフィス | 【メリット】
都心の一等地など、憧れの場所を事務所にできる。賃貸物件などのように、仕事スペース(物件内)の維持管理に苦心しなくて済む。 【デメリット】 原則的に実務のスペースがない。融資の際に信用度が低いことがある。 |
親族や知人宅 | 【メリット】
自宅ほどではないが、知り合いの家ということで、精神的に楽である。親族や知人の好意で賃料を安く、あるいは無料にしてもらえる可能性がある。 【デメリット】 自分の家ではないので自由に使えない。知人や友人に気をつかってしまう。大きな機器を使うスペースがないなど、職種によっては利用が難しい。仕事のことや事務所のことで親族や友人とトラブルになる可能性がある。 |
まとめ|事務所には厳しいルールなし!経費節約なら自宅がおすすめ
個人事業主の事務所などには「このような場所でなければいけない」という厳格なルールはありません。そのため、自宅を事務所にして仕事をしている人は少なくありません。私も行政書士としての仕事は自宅を活用していますので、パソコンなどがあればできる職種は自宅で十分だとも思っています。
さまざまな事務所タイプを紹介しましたので、「自宅はちょっと」という方は、メリットやデメリットを比較してみて別の事務所を考えてはいかがでしょう。職種や必要スペースなども考え、仕事やニーズに合った事務所を選んでください。