FIREはやめとけと言われる理由

FIREで悠々自適な早期リタイア生活をしたくても「FIREはやめとけ」という言葉を耳にすると不安になってしまいますよね。

「FIREはやめとけ」と言っている方々はどのような理由から「やめた方がいい」と言っているのでしょうか。逆に考えると「やめとけ」と言われる理由に対処できれば、FIREでの早期リタイア生活をより安定したもの、より良いものにできるのではないでしょうか。

FIRE達成を目指す行政書士が FIREはやめとけと言われる理由 について解説します。FIREを目指している方、これからFIREに向けて頑張ろうとしている方はぜひ参考にしていただければと思います。

FIREやめとけと言われる理由とは

「FIREやめとけ」と言っている方たちは何も根拠なしに「やめとけ」と言っているわけではありません。FIREやめとけと言っている方たちの多くは実際にFIREに挑戦した、あるいは達成した方たちのようです。

自分が実際にFIRE達成・挑戦してみて実感したからこそ、これからFIREを目指す方やFIRE達成を頑張っている方に「やめとけ(経験からの一言)」と言っているわけですね。

「やめとけ」という言葉を適当に流さず、FIRE達成・挑戦の際の参考にして行くことが重要ではないでしょうか。「やめとけ」と言われるなら理由を知って、逆にFIRE達成・挑戦に必要な知識にしてはいかがでしょう。

FIREやめとけと言われる理由は5つあります。

・ハードルが高い

・4%の資産運用の破綻リスクがあるから

・FIRE後の生活費では足りない

・一度FIREすると再就職が大変である

・FIREの生活に物足りなさを感じる

FIREとは?まずは早期リタイアについてのおさらい

FIREとは早期リタイアの一種です。ただ、早期リタイア=FIREというわけではありません。

早期リタイアとは基本的に「相続や投資の成功などで働かなくても生活できる人が早々に仕事を辞めて悠々自適の生活を送ること」を意味します。早期リタイアは相続や投資、仕事などで大きな資産を手に入れた人しかできなかった生活スタイルなのです。

しかし、近年、日本で注目されている「FIRE」は、一般的なサラリーマンや個人事業主でも、計画を立てて行えば達成できる新たな早期リタイアのかたちです。

FIREでは資金を準備し、その資金を資産運用することで「早期リタイア」と「リタイア後の経済的な自立」を両立させる方法になります。

FIREの25倍・4%ルールとは

FIREでは「25倍ルール」で資産運用の資金を準備し、「4%ルール」で運用します。

FIREではまず、年間生活費の25倍の額を準備します。年間の生活費が300万円なら、その25倍ですから7,500万円です。

FIREの資金を準備できたら、次はリタイア後の資産運用の仕組みを作ります。FIRE後は25倍ルールで準備した資金(7,500万円)を年4%で運用します。年4%で運用すると、年間300万円になりますので、その資産運用の利益を生活費に充てるという仕組みです。

この仕組みでFIRE後に生活すれば、資産運用のために準備した7,500万円を切り崩す必要はありません。自分は仕事をやめ、お金に働いて生活費を捻出してもらう。これがFIREの早期リタイア&経済的自立の仕組みになっています。

FIREやめとけと言われる5つの理由

FIREの25倍ルールと4%ルールで資産運用すれば、リタイア後も問題なく生活できると言われています。しかし、本当にすべての方が問題なく暮らせているのなら、「やめとけ」という言葉や感想、経験談は出てこないことでしょう。

ここからは、「FIREはやめとけ」と言われる5つの理由について詳しく見て行きます。なぜ一部のFIREの経験者や挑戦者は「やめとけ」と言うのでしょうか。

FIREの資金準備はハードルが高い

FIREでは資産運用のための資金を25倍ルールにもとづいて準備しなければいけません。資金準備をしっかり行わないと、FIRE達成後の生活費を捻出できないからです。

ただ、FIRE達成までに準備しなければならない資金は個人や生活状況によるとはいえ、かなりの額になります。サラリーマンの生涯年収は2.2億円~2.7億円と言われている現在、数千万円から1億円近い額を準備するのは大変です。だからこそFIREの資金準備の段階で挫折する、あるいは必要資金を計算した段階で諦める方も実際にいます。

家族がいればなおさら資金準備は困難なものになるでしょう。住宅ローンなどを抱えていると、計算した時点で「無理だ」と諦めてしまうのも、頷ける話かもしれません。

仮にできるとしても、計画性や節約、お金の使い方の見直しを迫られることでしょう。私もFIRE達成を目指しているひとりですが、FIREを目指す前と今ではお金の使い方も違いますし、出費や収入に関する考え方も変わりました。

お金のことを見直さなければならない。節約という我慢も必要。資産運用のための勉強も必要。それでもハードルが高いと感じ、FIREを「やめとけ」という声や体験談に繋がっているようです。

4%の資産運用の破綻リスクがあるから

FIREを達成した後は年4%で資産運用し、資産運用の利益を生活費に充てます。年4%で利益を出し続ければ準備資金を切り崩すことなく生活を続けられます。

FIRE達成後の生活は「年4%の利益を出し続けられる資産運用」が前提になっているのです。この前提が崩れてしまうと、FIRE後の生活も崩れてしまいます。

資産運用では金融商品の相場が上下することは当然で、世界や各国の状況がそれぞれ資産運用に影響を与えます。そのため、資産運用の考え方やリスク許容度によっては4%ルールが崩れてしまうこともあり得るわけです。

ただ、リスクやポートフォリオを工夫して実際に年4%での生活を続けている方もいるわけですから、「破綻するだろう」と考えるのではなく、「破綻しないように工夫しよう」の方に考えを切り替えた方が良いかもしれません。

FIRE後の生活費では足りない

FIRE後に年4%の資産運用益で生活していても、物価上昇などの事情から生活が破綻するケースがあります。

FIREでの4%ルールはあくまで2010年代~現在(2023年7月)は使えている方法です。しかし、物価上昇や増税などが問題になっている今、いつまでこの方法が使えるか分かりません。今後FIRE達成を目指すなら、生活費の考え方や4%ルールに修正を入れるべきかもしれません。

すでにFIREを達成した方の中には物価上昇や相場の影響により、4%ルールが破綻している(このルールでは暮らしていけない)ケースがあります。

この「FIREやめとけ」という理由を踏まえて、FIRE後の生活や資産運用、物価についてよく考える必要があると言えるでしょう。

一度FIREすると再就職が大変である

FIRE後の生活が大変なら再就職するという方法もあります。ただ、FIREで一度早期リタイアした後の再就職は容易ではありません。「年齢」と「ブランク」が関係してくるからです。

早期リタイアした後に再就職する場合、再就職する際の年齢は早期リタイア年齢よりも高くなっています。したがって、「働きたいのに年齢が原因で雇ってもらえない」「年齢を重ねて体力がついて行かない」という事態になってしまうことがあるのです。年齢を重ねてから就職しなければならないため、FIREを「やめとけ」と言いたくなる気持ちも分かります。

また、早期リタイア後に再就職する場合、仕事にブランクが発生します。仕事のブランクが痛手になるかどうかは業種や会社などにもよりますが、場合によっては再就職の際にマイナスになる可能性もあるわけです。

FIRE後に仮に4%ルールの破綻により働かなければならなくなったときに就職が難しいという理由から、FIREは「やめとけ」と言われることがあります。

FIREの生活に物足りなさを感じる

FIREを達成しても、FIRE後の生活に物足りなさを感じてしまう方もいるようです。

今まで仕事をして生活リズムを作っていた方や、仕事に生きがいや楽しさを感じていた方にとっては、FIRE達成後に仕事をしなくていい環境になってしまうと、物足りなさや、空虚さを感じてしまうかもしれません。

FIRE達成後に物足りなさを感じるだろうと予想される方は、今から趣味を作っておくことが対策になります。別の生きがいや楽しさを見つければ、「仕事をしなくて良くなったら物足りない」という気持ちを抱かずに済むはずです。

また、FIREには「無理のない範囲で仕事をしながら早期リタイアする」という方法もあります。たとえば、週に3日数時間くらい生きがいのために働くといったFIREの方法です。こういった方法を検討すれば、生きがいや物足りなさ対策になるはずです。

最後に

「FIREやめとけ」と言われる理由について解説しました。

FIREやめとけと言っている方たちの中には実際の体験者・FIRE達成者も少なくありません。だからこそ、「やめとけ」と言われる理由にも納得できるところがあるかもしれません。

ただ、実際にFIREをどのように達成するか、FIRE達成後にどうなるかはケースバイケースです。FIREで早期リタイアしたいと考えるなら、こういった「やめとけ」と言われる事情も考慮した上で対策し、自分なりの計画を立てるべきではないでしょうか。

FIREの経験がある方も、その経験はあくまで「自分のもの」でしかありません。FIREを目指している方は、FIRE達成後の生活に何らかの魅力を感じていることでしょう。それなら、FIREは「やめるべき」と考えるのではなく、ネットにある「やめとけ」の理由を活かして、より良いFIREを目指すべきではないでしょうか。