日本では基本的に「プラスを受け取ると税金がかかる」仕組みになっています。
代表例は贈与。ある人から「お金をあげる」と言われて多額の現金を受け取ったとします。贈与とはプラスを受け取ることですから、そのプラスに対して基本的に贈与税が課税される仕組みです。給与を受け取ると所得税。相続で遺産を受け取ると相続税。このように、プラスの性質に合わせてそれぞれの税金が課税される仕組みになっているわけです。しかし、中には税金がかからない例外的なものもあります。
例外の代表例は宝くじの当選金です。宝くじの当選金は税金がかからないプラスになっています。ただし、例外のさらに例外で、宝くじの当選金に税金がかかるケースもあるのです。
この記事ではFIREや早期リタイア、資産運用に関する豆知識として宝くじの当選金と税金について取り上げます。FIREや早期退職の準備に「宝くじを買ってみるか(当たったらラッキー)」と思っている方は参考にしてください。
目次
宝くじの当選金には原則的に税金はかからない
サマージャンボや年末ジャンボなどの宝くじは基本的に税金がかかりません。
たとえば宝くじで6億円当たったとします。6億円もの大金ですから「かなり税金がかかるのではないか」と、金額だけ見ると怖くなってしまうかもしれません。
年末ジャンボなどの当選金は「税金がかからない」と当せん金付証票法で決められているため、当選金額が高額でも税金に不安を覚える必要はありません。実際、法律の条文にははっきりと次のように記載されています。
第十三条
当せん金付証票の当せん金品については、所得税を課さない。
引用: https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000144
法律で「所得税を課さない」と決めているのですから、宝くじで高額当選しても納税の必要はありません。宝くじで6億円当選すれば、6億円すべて自分のものにできるルールです。
FIRE達成を目指していてたまたま購入した宝くじが当選すれば、一気にFIREを達成することも夢ではありません。税金もかかりませんから、会社や個人事業主の報酬・売り上げなどのように「税金が引かれて手元にあまり残らない」と悩む必要もありませんよね。
宝くじの当選金が非課税になっている理由
宝くじの高額当選は急に大きな財産が転がり込んでくるラッキーな出来事です。日本の税金を考えると「急にラッキーな出来事で多額の財産を受け取ったのだから税金を払え」と言いそうですよね。しかし、宝くじの当選金は非課税。これには事情があります。実は宝くじ、購入時に税金を払っているのです。
宝くじは購入時に40%の住民税を払っています。宝くじは購入時に税金を払っているからこそ、当選金への課税は行われていません。
購入時の住民税は購入した自治体に入る仕組みです。自分の住んでいる自治体や生まれた自治体で宝くじを買えば、ちょっとしたふるさと納税ができてしまいますね。
すべての懸賞やくじの当選金は非課税なのか?
宝くじの当選金は原則的に非課税ですが、他のくじや懸賞などの賞金も同じとは限りません。
宝くじ以外の懸賞・くじなどの賞金・当選金は次のような取り扱いになっています。
・競馬の払戻金→一時所得として課税
・競輪の払戻金→一時所得として課税
・懸賞などの賞金品→一時所得として課税
・くじや福引の賞金品→一時所得として課税
・埋蔵金発見者の報労金→一時所得として課税
・遺失物取得者が受け取る金品→一時所得として課税
宝くじ以外は以上のような取り扱いがなされています。基本的に非課税ではなく一時所得として税金がかかるというルールです。宝くじのような懸賞やくじで当たったからといって一律に非課税になるわけではなく、宝くじは例外的に非課税扱いであると考えた方が良いかもしれません。
宝くじの当選金など非課税所得とは
宝くじの当選金など一部の所得については非課税所得(税金のかからない所得)になっています。
宝くじの当選金以外の主な非課税所得について補足として見てみましょう。
・非課税口座(NISA)口座で行う投資の利益
・損害賠償
・損害保険金
・通常の生活に必要な動産の売却利益 など
通常の所得(プラス)は税金の対象です。贈与や相続などで財産を受け取っても課税対象になります。ただ、これらの所得(プラス)については受け取る財産の性質や制度の趣旨から非課税扱いです。
非課税所得は国税庁のサイトに一覧がまとめられています。
宝くじの当選金は本当に非課税なのか?
宝くじの当選金は基本的に非課税です。すでにお話しした通り、6億円当選すれば6億円満額自分のものになります。所得税などで引かれてしまうことはありません。
ただ、宝くじが当選してもケースによって税金がかかることがあります。宝くじの当選金はあくまで「当選金の受け取りは非課税」と意識して課税関係を考えることが重要です。
宝くじの当選金で買い物をすると税金がかかる
宝くじの当選金を受け取ると「車を買おう」「欲しかった家電を買おう」「家を買おう」など、今まで欲しかったものを購入するケースも少なくありません。
宝くじの当選金で商品を購入すると、消費税などの税金がかかります。税金がかからないのはあくまで当選金を受け取るときだけ。当選金を買い物に使うと普通通り税金がかかってしまいます。
宝くじの当選金で贈与税が発生する可能性がある
宝くじの当選金を受け取ると「家族にも分けてあげよう」と考える方がいます。宝くじの当選金を家族や親族、友人など誰かに渡した場合は贈与税の対象になる可能性があります。
贈与は年110万円まで贈与税はかかりません。110万円までの贈与なら税金の申告も必要ありません。ただ、それ以上の金額になると原則的に贈与税の課税対象になります。「親に生活費を・・・」などと考えてお金を渡すと、贈与税の納税が問題になることがあるわけです。
宝くじの当選金で相続税が課税さ
宝くじの当選金を使わずに「子どもや孫に残しておこう」と預金しておいたとします。この場合も税金がかかる可能性があります。
基本的にお金を預金に入れただけでは税金がかかることはありません。しかしながら、預金につく利息については税金の対象になります。また、子どもや孫に預金を下ろしてお金を渡す際は、金額によっては贈与税の課税対象です。仮に子どもや孫が銀行口座に預けられた宝くじの当選金を相続する場合は相続税の課税対象になる可能性があります。
宝くじの当然金が非課税でも、贈与や相続の際の税金まで非課税になるわけではありません。
宝くじの当選金で資産運用しても税金がかかる
宝くじの当選金をFIREの資金にする場合、税金がかかります。
たとえば、当選金を預金口座に入れたとします。この場合は預金利息に税金がかかるわけです。当選金を株式などに投資すると利益に対して税金がかかります。
最後に
宝くじの当選金は「法律で決まっているから」「宝くじを買うときに税金を納めているから」という理由で非課税になっています。ただ、その後に物を買ったり、投資に使ったりした場合は話が別です。贈与や相続によっても税金がかかる可能性があります。
宝くじが当たると「FIREを一気に達成できる」と思うかもしれません。ただ、「自分のFIRE資金だけでなく家族にもちょっとあげよう」となったら話は別。仮に宝くじが当たったら、可能な限り税金で金額が減らないように有効活用したいですね。