FIREとは、
資産運用の利益を生活費にし、早期に仕事をリタイアすること
です。
多くの方が仕事をするのは「仕事で収入を得ないと生活できないから」ではないでしょうか。
そう考えると、生活費さえ賄えれば、あえて仕事を頑張る必要はないわけです。資産運用の利益で生活費分を賄えれば、生活のために仕事をする必要もなくなり、仕事を30歳や40歳、50歳などの若さでリタイアすることも可能です。資産運用によって生活費を得るシステムの構築と早期リタイアを同時に達成するのがFIREです。
FIREには5つのタイプがあり、それぞれ必要資金や達成の難易度が変わってきます。FIRE達成間近の行政書士が、FIREの5つの種類について解説します。
目次
FIREとは?サイドFIREなど5つの種類の前に
FIREとはすでにご説明した通り、資産運用で生活費を得て暮らし、仕事を早期リタイアすることです。
生活費については、次のような仕組みで賄うところがFIREの特徴になっています。
- まずは毎月、毎年の生活費を試算する
- 年の生活費を25倍ルールで計算する
- 25倍ルールで算出した年の生活費を準備する
- 準備した資金を4%で運用し、その運用分を生活費にする
FIREは「25倍ルール」と「4%ルール」で資産運用します。
たとえば年の生活費が200万円であれば、この200万円を25倍します。
200万円を25倍すると5,000万円です。給与や資産運用の利益などで5,000万円をとにかく準備し、その5,000万円を4%で運用します。5,000万円の4%はちょうど年あたりの生活費である200万円です。
25倍ルールで準備した資金を4%で運用すれば、年間の生活費と同等になります。結果、準備した資金を切り崩すことなく、運用の利益で生活できるわけです。
これがFIREの基本的な仕組みになっています。
サイドFIREなど5つのFIREの種類
FIREは「趣味程度で仕事をするか」「生活様式」などの違いで5つの種類に分かれます。
ただ、種類は違っても、基本的なFIREの仕組みは同じです。
FIREの5つの種類は私が達成を目指しているサイドFIREなど、次の5つです。
- ファットFIRE
- リーンFIRE
- コーストFIRE
- サイドFIRE
- バリスタFIRE
① ファットFIRE
ファットFIREとは、「FIRE達成後は一切仕事や副業、アルバイトなどをせず、資産運用の利益だけで“裕福(ファット)”に暮らすタイプのFIRE」です。
多くの方がFIREと言われて最も想像しやすいのが、このファットFIREではないでしょうか。また、FIREを目指す方の多くが「こうなりたい」と思うFIREタイプではないでしょうか。
ファットFIREの特徴は、資産運用で潤沢な生活費を賄えている点です。慎ましやかな生活をしなくても資産運用の利益で生活でき、さらに趣味やレジャーにも回せるだけの潤沢な資金があります。まさに働かなくても生活できる資産家や富豪、富裕層です。
ファットFIREのメリットとデメリット
ファットFIREのメリットは、達成後に生活費の心配をせず悠々自適に暮らせることや、もう仕事に煩わされる必要がないことです。仕事をしなくても悠々自適に、趣味やレジャーに回せるお金があること、そして仕事と無縁に好きに生活できることは、大きなメリットだと言えるでしょう。
ファットFIREのデメリットは、FIRE種類の中でも最も資金が多く必要になる点です。生活費を賄える資産運用や資金だけでなく、レジャーや趣味を悠々自適に楽しめるくらいの資金・資産運用が必要になりますので、その分だけ準備が大変です。
FIREを達成している方は少なくありません。しかし、ファットFIREを達成している方は、さほど多くないかもしれません。FIREの中でも難易度の高い種類がファットFIREです。
② リーンFIRE
リーンFIREとは、「資産運用で生活費を賄い、その生活費を捻出するシステム内で慎ましやかに生活するタイプのFIRE」のことです。FIREと言われると多くの方はファットFIREを想像するかもしれませんが、一般的にFIREと言えば、このリーンFIREという種類を指します。
リーンFIREも準備した資金を資産運用し、その資産運用の利益で生活するという点は同じです。ただ、ファットFIREと異なり、趣味やレジャーにかける潤沢な余剰資金があるわけではありません。
準備した資金が生み出す利益(生活費)の範囲内で慎ましやかに生活するのがリーンFIREです。
リーンFIREのメリットとデメリット
リーンFIREのメリットは、達成後は仕事をしなくても良いという点です。
仕事の人づきあいやストレスなどから解放され、さらに「仕事を失うかも」といった心労もなくなります。リーンFIRE達成後は完全に仕事と縁を切りますので、仕事関係のストレスからすべて解放されることがメリットです。生活費のために仕事をする必要はありません。
リーンFIREのデメリットは、急な出費に注意が必要なことや、生活が慎ましやかになる点です。
生きていると冠婚葬祭や病気など、急な出費が必要になることも少なくありません。まとまったお金が必要になると、リーンFIREの生活費捻出の仕組みが崩れてしまう可能性があります。そのため、資産運用に必要な資金の他にいざというときの資金を貯めておくなど、備えが必要になると言えるでしょう。
また、リーンFIREはファットFIREより贅沢な暮らしはできません。旅行や収集系の趣味を持っている方には、あまり趣味にお金をかけられず、窮屈な気分になるかもしれません。
ただ、リーンFIREは慎ましやかな生活を基準にして準備しますので、ファットFIREより達成しやすく、難易度も低くなっています。
③ コーストFIRE
コーストFIREとは、「資産運用で必要な生活費は得つつ、趣味として仕事をする種類のFIRE」です。
FIREを達成すると多くの方は「仕事は辞めるもの」と思うかもしれません。FIREの種類の中には達成後も仕事を続けるタイプがあり、そのタイプのひとつがコーストFIREです。
コーストFIREの特徴は、資産運用で生活費は賄えるため、生活費自体には困っていないところや、生活費のために働くわけではないところが特徴です。生活のためではなく、あくまで趣味として仕事をします。
コーストFIREのメリットとデメリット
コーストFIREのメリットは、生活のことを考えずに自分の好きな仕事ができることです。
通常、仕事は生活のためにします。コーストFIREはすでに生活費がありますので、あくまで趣味、自分の楽しむ範囲で仕事ができます。資格を活かすのもよし。週1日だけ知人の事務所や会社を手伝ってもよし。仕事を趣味や体力維持、ボケ防止、リフレッシュなどの目的でできる点がメリットだと言えるでしょう。
趣味程度でも仕事をしていることは確かなので、その分の収入を自分のお小遣いなどとして使える点もメリットです。
ただ、仕事をしている以上、確定申告など税金面の手間が発生する可能性があります。働き方や税金のことなど、よく考え、調べておく必要があります。
コーストFIREの難易度はリーンFIREと同じくらいです。
④ サイドFIRE
サイドFIREとは、「資産運用でメインの生活費を賄いつつ、一部の必要資金を仕事で稼ぐ」というFIRE種類です。つまり、何らかの仕事を無理のない範囲で続けることを前提にしているFIREになります。
コーストFIREは趣味として仕事をしますが、サイドFIREは資産運用である程度仕事をしつつも「今年は支出が多く、不安だな」の不安の部分などを仕事で稼ぐわけです。とは言えフルタイムで仕事をするわけではありません。あくまで支出が多く足りない部分や、不安だなという部分を仕事で稼ぐタイプのFIREです。
私が目指しているのが、このサイドFIREです。
サイドFIREのメリットとデメリット
サイドFIREのメリットは、急な支出に強いところです。
FIREはメインになる生活費は基本的に資産運用で賄います。ただ、急にまとまった資金が必要になると、必要資金のためにFIRE後の生活が破綻するリスクがあります。
サイドFIREは「不安だ」「足りなくなりそうだ」というところを無理のない範囲で仕事をして補填しますので、FIRE後の生活が破綻しにくくなるのです。
ただ、サイドFIREはお金の補填が必要な範囲内で仕事をするため、仕事と完全な縁切りができません。「仕事を完全に辞めたい」という方にとっては、あまり魅力的に感じられないFIREかもしれません。
なお、サイドFIREは無理のない範囲で仕事をしますので、リーンFIREやファットFIREより、格段に達成の難易度は低くなります。30代や40代など、若い層でも達成しやすいFIRE種類だと言えるでしょう。
⑤ バリスタFIRE
バリスタFIREとは、「資産運用で大部分の生活費を賄いつつ、足りない分を仕事の収入で賄うFIRE種類」です。
たとえば、月あたりの生活費として20万円かかるとします。資産運用で賄えるのは、月あたりの生活費の16万円でした。この場合の残り生活費4万円を仕事の収入で賄うのがバリスタFIREです。
FIREの中でも生活費を仕事である程度賄うことが前提のFIREがバリスタFIREです。
バリスタFIREのメリットとデメリット
バリスタFIREのメリットは、生活費の変化に柔軟に対応できるところです。また、人にとっては仕事をすること、仕事で生活費を稼ぐことが生活に一部になっていることもあるため、仕事と完全に縁切りしないところもメリットです。
完全に仕事を辞めてしまうタイプのFIREは、物価上昇による生活費の負担増などに対応しにくいというデメリットがあります。対してバリスタFIREなら生活費の大部分は資産運用でどうにかできているので、後は仕事で柔軟に稼げば、こうした世の中の変化にも対応しやすい点がメリットです。
それに、「朝7時に起きて18時に帰宅する」という生活が出来上がっており、「その方が生活しやすい」という方もいます。こうした方の場合は、今までと同じような仕事、生活ができるという点でバリスタFIREにはメリットがあります。
バリスタFIREは5種類のFIREの中で最も達成しやすい種類のFIREです。
まとめ|30代や40代が目指すならどのFIRE種類がおすすめ?
FIREの5つの種類について解説しました。
- FIREは仕事をリタイアするから多額のお金が必要だ
- FIRE後は一切仕事をしない
- FIREは富裕層がするもの
などの印象を持っている方もいらっしゃるようですが、FIREの種類選びや資産運用の工夫次第で、若い世代やサラリーマンでも十分達成できるのがFIREです。
FIREに興味があるなら情報を集め、ご自身で達成しやすいFIREの種類選びからはじめてみてはいかがでしょう。