2025年に強化される金融所得課税とは?自分の税金も増えちゃうのと不安な方へ

2025年に金融所得課税(別名、富裕層ミニマムタックス、富裕層ミニマム税)がスタートします。

金融相特課税のニュースが頻繁に報じられているので「まさかまた税金が増えるの?」「自分の手取りがまた減るのか」と戦々恐々している方もいらっしゃることでしょう。

2025年にスタートする金融所得課税・富裕層ミニマムタックスとはどのような税金なのでしょう。一般家庭や資産運用をしている人の税金も増えてしまうのでしょうか?

こつこつと資産運用している人やFIREを目指している人に、金融所得課税・富裕層ミニマムタックスについてご紹介します。

2025年に金融所得課税が強化されても、ほとんどの人は税金が増えない(結論)

2025年に金融所得課税が強化されても、ほとんどの人は税金が増えない が結論です。

なぜほとんどの人は税金が増えないかと言うと、それは金融所得課税強化の別の呼び方を見れば分かります。

富裕層ミニマムタックス

富裕層ミニマム税

金融所得課税の強化はこのような別名で呼ばれています。

金融所得課税の強化は主にさまざまな金融資産を持っている富裕層向けの課税強化なのです。

「うちは預金しかない」「証券会社をちょっとだけ使っている」「FIREをこつこつ頑張っている」といった一般家庭向けの課税ではないので、安心してください。

金融所得課税の強化(富裕層ミニマムタックス)とはどのような税金か?

金融所得課税とは、資産運用で多くの利益を得ている富裕層に課税される税金です。

一般の人たち(個人事業主や会社員)と主に資産運用・投資で稼いでいる富裕層の不公平感を是正するために強化される税金でもあります。

金融所得課税の強化(富裕層ミニマムタックス)の背景とは?

以前から「投資で大金を儲けている富裕層は卑怯ではないか」という声がありました。

給料としてお金を稼げば所得税や住民税の対象です。

所得税は、給料が多くなるほど適用される税率も高くなってしまいます。所得税の最大の税率は45%です。住民税が加わると、55%もの税率になってしまいます。

たとえば給与で5,000万円稼いだ場合、その45%/55%は税金で持って行かれてしまうわけです。5,000万円稼いでも、そのうちの2,500万円くらいは税金であっさり消えてしまいます。

また、日本で給料をもらう場合、負担しなければならないのは所得税や住民税だけではありません。保険料や年金などにもお金を払わなければならないわけですから、「働いても半分も手元に残らない」とがっかりする結果になってしまいます。

税金でごっそり持って行かれる。

これが給与で生活している人たちの実情です。

では、資産運用や投資で稼いでいる人はどうでしょう。

現状、資産運用や投資の利益の税金は税率が一律20%になっています。資産運用・投資で5,000万円稼いでも税率は一律なので、1,000万円ほどの納税額になります。

会社員や個人事業主の所得税(お金をたくさん稼ぐほど税率が上がる)と比較してみてください。

会社員や個人事業主は「ズルい」と思うのではないでしょうか。所得税と金融所得課税では手元に残る金額に1,000万円以上の差が生まれてしまいます。

こうした納税額や感情面での不公平感を是正するために、長らく「税金を見直すべき」と言われていました。今回、そんな金融所得課税にメスが入るわけです。

金融所得課税の強化(富裕層ミニマムタックス)の対象は主に富裕層

金融所得課税の強化の主な対象は株式や投資信託、債券などを豊富に所持している富裕層です。

富裕層はすべて現金ではなく、こうした金融商品として資産を所有しているケースが多いと言えます。

その分だけ資産運用・投資の利益が多く、一律の税率だと、こつこつと毎日を生きている会社員・個人事業主よりも富裕層があまりに税金面で有利になってしまいます。

税金の強化の対象は主に富裕層なので、「ちょっと投資をやっています」「給料をもらっている平均年収くらいのサラリーマン」といったお宅にはほぼ影響はないと言えるでしょう。

税金が増えるのではないか? と不安になる必要は基本的にはありません。

金融所得課税の強化(富裕層ミニマムタックス)の仕組みを簡単に

金融所得課税の強化では、富裕層が金融所得から特別控除の額(3.3億円)を引いた金額に税率(22.5%)をかけ、その金額が所得税額を超える場合に申告と納税が必要になります。

追加で納税する税金=(所得金額の合計-特別控除の額3.3億円)×22.5%の税率-通常の所得税額

差額分を追加で納税させることで、サラリーマンや個人事業主などとの不平等感を是正するわけです。

特別控除の額である3.3億円を見れば分かりますが、控除の額からしてすでに一般家庭の範疇ではありません。投資で3.3億円など、一般家庭や普通にFIREを目指している人にはまず無理な金額です。明らかに「富裕層向けの税金です」という点が読み取れます。

個人向けの資産運用はむしろ非課税枠が拡大している

富裕層向けの資産運用の税金は強化され、今後は枠の大きな控除なども随時見直しされるだろうと言われています。ただ、個人向けの資産運用の税金は、むしろ軟化傾向にあります。政府が個人の資産運用、資産形成を推奨しているからでしょう。

個人向けの資産運用の方の動きとしては、2024年に見直しされた新NISAがあります。

2024年に見直しされた新NISAでは、旧NISAより資産運用で使える非課税枠が拡大しました。

旧NISA 新NISA
つみたて投資の非課税枠 40万円 120万円
一般/成長投資枠 120万円 240万円

このように、個人の資産運用/資産形成に使える新NISAは、非課税枠が拡大しています。

旧NISAより非課税枠が拡大したことで、より個人の資産運用に使いやすくなりました。

まとめ|「税金が増えちゃう?」と不安にならなくても大丈夫

金融所得課税の強化は富裕層向けの税金なので、一般家庭やFIREを目指している人、投資でちょっとお小遣いを稼いでいる人などは、特に「税金が増える」と怯えなくても大丈夫です。

個人/一般の資産運用に関しては、2024年に旧NISAが新NISAに見直され、かえって投資しやすい状況になっています。

これから資産運用やFIREをはじめたいと考えている人も、税金面は特に変わりません。資産運用などに興味のある人は、これからはじめてみてはいかがでしょう。