日本の2040年問題とは?簡単かつわかりやすく解説

日本では「2040年に大変なことが起こる」「2040年問題だ」と盛んにニュースやネット記事が取り上げています。

2040年問題。

何やら大変な響きですが、「具体的に何が起こるのかよく分からない」という方もいらっしゃることでしょう。ただ大変そうという意識だけある方や、2040年問題というワードだけご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、2040年問題とは何か? を簡単かつわかりやすくご紹介します。

日本の2040年問題とは?

日本の2040年問題とは、「2040年に団塊ジュニア世代が65歳以上のシニア層になることにより、高齢者の人口がピークを迎える問題」のことです。

また、高齢者人口が過去最高になることで「サービスの維持や人手不足、インフラの維持が困難になる問題」のことでもあります。

団塊ジュニア世代がシニア層になることで、日本人口の30%以上が高齢者になってしまいます。

日本の3人に1人は高齢者になってしまうわけです。

高齢者人口がピークを迎える。

そのために、人手不足やサービスの維持、インフラの維持が困難になる。

これが「大変だ」と言われている日本の2040年問題です。

日本の2025年問題とは何が違うの?

日本のニュース媒体やネット記事では2025年問題も盛んに取り上げられています。

2025年問題と2040年問題は何が違うのでしょうか?

■2040年問題

団塊ジュニア世代がシニア層になることにより、高齢者の人口がピークを迎える問題→高齢者人口がピークを迎えることにより、サービス・インフラの維持が困難になる、人手不足になる

 

■2025年問題

団塊世代がシニア層になることにより、高齢者の人口が激増する問題→高齢者が一気に増えることにより社会保障の負担が増える、社会保障の維持が困難になる

このように2025年問題と2040年問題には違いがあります。

どちらも高齢層が増えることに関する問題なのですが、2025年問題が「団塊世代」なのに対して、2040年問題は「団塊ジュニア世代」です。

2040年問題と2025年問題は似ていますが、具体的な問題点・意味が違っています。

2040年問題の「問題点」とは?

ここまでで2040年問題の問題点には軽く触れました。

ただ、2040年問題はさまざまな分野・業種・生活に影響してくる問題なので、「何が問題なのか?」についてもう少し詳しく説明して行きます。

問題点①自治体の人口減・税収のマイナス

2040年に高齢者が過去最高の人口になることで、各自治体の労働人口が減り、税収のマイナスに繋がるという問題点があります。

人口が多くても、その大部分が高齢層では働き手が足りなくなってしまいます。働き手が足りないということは単純に今まで通りのサービスを提供できなくなるということです。働き手の給与などから納められる税金も減ってしまいます。結果、各自治体の働き手不足、そして税収不足になってしまうわけです。

公的なサービスは税金によってまかなわれているため、税金が減ることで公的なサービスに回すお金も少なくなってしまいます。結果、自治体などの公共サービスについても品質低下・人手不足・予算不足になってしまいます。

問題点②育児や教育関連サービスへの打撃

2040年問題で少子高齢化がさらに深刻化することにより、育児や教育関連サービスへの影響が問題になります。

子供の数が少なくなると、子供を預かっているサービス(保育園など)が不要になる、あるいは数を減らすことになります。

加えて、学校などの教育機関も、2024年現在より少ない数で対応可能です。小学校や中学校、高校などの統廃合が進み、私大の数もかなり減少すると予想されています。

問題点③医療・介護も人手不足になる

高齢になると病気・怪我のリスクが高くなります。そのため、高齢者人口がピークに達する2040年は病院などの医療機関の人手不足が不安視されています。病院などの医療系の仕事は現在も人手不足です。それが2040年に向かってさらに加速すると言えるでしょう。

高齢者が増えると、介護サービスにもさらに人手が必要になります。すでにいろいろな業種で働き手不足状態になっている日本は、人材の奪い合い状態です。介護分野で「もっと人材が必要だ」「働き手が足りない」と騒ぎになっても、それは他の業種でも同じことです。

介護分野での人材・働き手はさらに不足し、高齢者人口がピークに達する2040年には、より深刻な状態に陥ると考えられます。

問題点④インフラや公共施設にも影響

ガス・水道・電気などのインフラを維持するためにも人手やお金がかかります。2040年問題では「生活に必要なインフラの維持が難しくなるのではないか」と指摘されています。加えて、インフラの料金も2024年現在より高額になるのではないかと指摘されているのです。

特に問題視されているのは水道料金です。高齢者人口が増え、さらにその高齢者が亡くなる。そうすると、水道を供給するための費用が高くなり、水道料金自体もかなり上がってしまいます。水道管の老朽化も指摘されており、水を供給するためにも修繕が必要です。

水道管の修繕のため。そして、水の安定供給のため。水道料金はさらに高くなるだろうと問題視されています。

また、2040年問題では公共施設の維持も問題点です。

日本には自治体の役場や自治体で運営しているいろいろな施設などがあります。こうした公共施設の維持管理が2040年頃にはかなり困難になると予想されています。

公共施設の維持管理には人口・税金(費用)・働き手・使ってくれる人・管理する側である自治体の人員なども問題になってくるからです。

問題点⑤さらに深刻化する空き家問題

2024年の日本の空き家率は13.8%と過去最高になっています。

空き家の原因のひとつが少子高齢化です。空き家がたくさんあっても住んでくれる人が多数いれば、空き家は増えません。住む人が少なくなると、それだけ空き家も増えてしまいます。

2040年は高齢層の人口、つまり近いうちに相続を迎える人の人口が過去最高になるということです。また、人口も減少し続け若い世代も少なくなりますから、それだけ住居を必要とする人が少なくなり、空き家が増えると考えられます。

2040年は空き家のさらなる増加も問題視されています。

問題点⑥防犯上の問題もある

2040年は空き家が増えることにより、犯罪率の増加も問題視されています。

空き家が犯罪の温床になる可能性は以前から指摘されていました。空き家の増加。人口減少などにより「犯罪の温床になりそうな場所がたくさんある」「人の目が少なくなる」ことにより、犯罪が起きやすい環境になってしまうわけです。

さらに、災害時の避難場所も問題になります。

災害時に避難する場所は常に確保し、維持しなければいけません。自治体や地域にお金がない、人手がないということは、避難場所の維持も困難になるということです。いざ災害となったときに「避難場所に草木が生い茂り、避難できなかった」と問題になる可能性があります。

2040年問題/2025年問題以外の「〇〇年問題」もある

日本では2025年問題や2040年問題が盛んに取り上げられますが、2025年/2040年問題以外にも「〇〇年問題」があります。

現状すでに日本は少子高齢化。経済や税金、働き手不足など問題が山積みです。そのため、5年刻みに何らかの「〇〇年問題」が提唱されています。

物流の「2024年問題」

今年2024年に話題になったのが「物流が困難になる」「物流が滞る」という2024年問題です。

2024年の働き方改革により、時間外労働に対する上限規制が物流分野(荷物を運ぶドライバーなど)に適用されました。そのため、1日に運べる荷物の量が今までより少なくなってしまいました。結果、物流に影響が出てしまうと問題になりました。

2025年問題の次の段階「2030年問題」

2024年問題、2025年問題の次にやってくるのが2030年問題です。

生産人口の減少や人手不足がさらに深刻化し経済に大きく影響するなど、2030年の日本の諸問題を総括した呼び名です。

2030年は2024年よりさらに高齢化が進行し、各業界で働き手が足りず人材確保に困る可能性があります。また、働き手がいない、確保が難しいということは、日本経済にも多大な影響をもたらすと言えるでしょう。

2024年問題や2025年問題から地続きになっているのが2030年問題です。

2030年問題の後に「2035年問題」

2035年問題とは、医療や介護の人材の著しい不足のことです。

すでに日本は少子高齢化で、医療や介護の人手が足りないと度々問題になっています。2035年にはさらに医療や介護の人材・働き手が足りなくなり、介護や医療のサービスに影響が出てしまうと言われています。

日本の人口も減り、高齢化も進むため、経済成長や医療・介護以外の分野における人手不足・人材確保も課題になるのが2035年問題です。

経済成長の停滞や地域格差の拡大なども問題になっています。

2040年問題の後には「2045年問題」

2040年問題の後には今度2045年問題があります。

2045年問題とは、最近何かと話題になっているAIが関係している問題です。

働き手不足などを補うためにAIを有効活用して行った結果、いずれかの時点でAIが人間を超えてしまうと予想されています。AIの技術特異点(シンギュラリティ)、要するに人間の仕事・技術・知識・効率などを超えてしまう結果、現在では予想もつかないような事態に発展すると考えられているのが2045年問題です。

よく「いずれAIに仕事を奪われる」という話を耳にします。AIが発展した結果、仕事を奪われるどころか「どうなるかちょっと分からない事態」になると言われています。

AIによる予測不可能な事態が起こってしまう。現在の仕事のかたちや雇用のかたち、世の中の仕組みががらりと変わってしまう。働き方や生活の価値観も変わってしまう。専門家の予想では、それが2045年あたりです。

2024年にも何かと問題や話題になっているAI。そのAIを中心に大改革が起きそう。これが2045年問題です。

2025年問題や2040年問題と繋がる「2054年問題」

2054年問題とは、2054年に起こり得る日本社会の諸問題のことです。

2054年の日本は75歳以上の高齢者の人口が全体の25%以上になると予想されています。日本の3人に1人は75歳以上になっているわけです。町を歩けば高齢者ばかりで、若い人たちの姿をほとんど見かけないという自治体も出てくるかもしれません。

75歳以上の割合が増えてしまい、仕事やサービス、経済、そして社会自体が成り立たなくなる可能性があるのが2054年問題です。

2025年問題や2040年問題などと地続きになっている問題であり、さらに深刻化した2025年/2040年問題だと言えるかもしれません。

まとめ|日本の未来には課題が山積み!今すべきことは?

日本では少子高齢化・空き家・人口減少・働き手不足など、問題が山積みです。

そうした問題は5年ぐらいの区切りで「〇〇年問題」になっています。2025年問題、2040年問題、2054年問題と時系列で問題を追っていくと、時系列と共に問題が深刻化していることが分かります。日本の課題は山積みです。

こうした社会全体の問題の場合、個人でできることには限りがあります。

・資産運用で老後の生活に備えておく

・老後にもできる無理のない仕事について考えておく

→士業など自分のペースで仕事ができる資格の取得など

・日本の経済や社会問題のニュースに目を光らせておく

個人でできることには限りがありますが、可能な限り今後の生活・人生を見据え行動すべきではないでしょうか。個人でできる資産運用などをはじめてみてはいかがでしょう。