資格があると転職しやすくなりますし、フリーランスや個人事業主として働いている方はより幅広い仕事を受けられるようになります。資格に合格するということは相応の知識と根気も必要ですから、業務や転職先に直接関係なくても「こんな資格を取れています(取れるほど知識があります、根気があります)」という良いアピールになることでしょう。
ただ、資格試験の系統によっては難易度が高いのが困りもの。たとえば私が取得している行政書士などは、合格率も低めで難易度の高い法律系資格として知られています。仕事や転職のアピールに使いたくても、難易度が高すぎると今度は「仕事をセーブして勉強しなければならない」となってしまいます。アピールポイントとして難関資格は強いのですが、仕事や家事の片手間に取得するのは難しいのが悩みどころです。
資格の中には自宅で受験でき、さらに難易度もそう高くないものがいくつかあります。自宅で受験できるタイプの資格は勉強と資格試験をすべて仕事や家事の片手間にできるので、おすすめです。
法律系や医療系、ペット系など、自宅受験で取得できる難易度低めの資格をご紹介します。
目次
自宅で受験できるおすすめの資格【医療系、法律系】
医療系や法律系の資格試験は一般的に難易度が高い印象があるかもしれません。医療系や法律系の資格試験の中にも比較的難易度が低く、自宅で勉強から受験までできるものがあります。
医療系や法律系の資格は個人事業主だけでなく会社員も評価を得られやすく、転職などにも役立つのでおすすめです。
自宅で受験できる医療系の資格
医師や薬剤師、看護師などの資格は専門の学部・学校機関に通わないと取得できません。しかし、医療事務であれば自宅で独学し、在宅試験で取得可能です。
医療事務は医療機関の事務の資格です。医療機関の事務は通常の事務とは異なる知識が必要になるため、そうした医療事務の知識を問われる資格試験になります。
医療事務を取得することで、病院などの医療機関の窓口・事務部・経理などに採用されやすくなります。また、あらかじめ医療事務の資格を持っておくことで、そうした転職先を探しやすくなることでしょう。在宅で挑戦できる、かつ、あまり難易度の高くないおすすめの資格です。
医療事務の他には調剤薬局事務や歯科助手、歯科医療事務管理士なども在宅で勉強でき、在宅で受験できる医療系資格になっています。調剤薬局事務は医療事務の調剤薬局版のような資格です。調剤薬局の事務も通常の事務とは異なる知識が必要になるため、資格試験では調剤薬局の事務や会計、書類作成などに必要な知識を問われることになります。歯科医療事務管理士は医療事務、調剤薬局事務の歯科医院版だと考えれば分かりやすいはずです。
歯科助手は専門的な学校を出なければならないと誤解している方もいらっしゃるようですが、実は在宅で受験できる資格です。歯科助手は歯科医院の歯科医師のアシスタントの資格で、女性に人気の資格として知られています。歯科助手資格も転職に役立つので、転職を考えている方やフリーランスと歯科医院への勤務の両立などを検討している方にはおすすめです。
資格名 | 資格の概要 |
医療事務 | 病院など医療機関の事務に関する資格 |
調剤薬局事務 | 調剤薬局の事務に関する資格 |
歯科助手 | 歯科医師のサポートを行う資格 |
歯科医療事務管理士 | 歯科医院の事務や会計、窓口対応などに関する資格 |
自宅で受験できる法律系の資格
行政書士や司法書士、司法試験(弁護士や検事、裁判官などになるための試験)に関しては、原則的に在宅での受験はできません。法律系の資格試験は試験会場に足を運ぶタイプが基本で、在宅受験できるものはほとんどないと言えるでしょう。
ただ、一部の法律に関係してくる資格試験については在宅受験が可能です。
代表的なものに終活アドバイザーや相続鑑定士などの資格があります。どちらの資格も相続の知識を必要とするから、相続に関する法的な知識も関係してくる資格です。
終活アドバイザーや相続鑑定士などは士業やFPと一緒に取得しておくとアピールできる他、葬儀会社や金融機関などでも役立つ資格になっています。
資格名 | 資格の概要 |
終活アドバイザー | お墓や相続、葬儀など終活の資格 |
相続鑑定士 | 士業と相続人の橋渡しを行うなど、相続のサポートをする資格 |
自宅で受験できるおすすめの資格【介護系】
介護系の資格には自宅受験可能なものが多数あります。また、難易度も全体的に低めになっていますので、「介護業界への転職を考えている」「自分の家族の介護に活かしたい」という方には特におすすめです。
また、資産運用や法律系、医療系、料理系などの資格で仕事をしたい方、個人事業主として活かしたい方にも介護系の資格全般はおすすめになります。
たとえば医療系に勤めている方が介護系の資格を取れば仕事に直接活かせる機会もあるはずです。
医療系の仕事にとって介護は極めて近しい隣接業界だと言えるでしょう。料理系や栄養系の資格を持っている方も、人間の体や食事、健康という点で介護系とは繋がりがありますから、介護系の資格を活かしやすいと言えるでしょう。
法律系の仕事をしている方や個人事業主をしている方の場合も、介護は相続や後見などと繋がってきますので、意外と身近な分野です。介護の実情を知るため、知識を深めるために介護系の資格を取るのも良いでしょう。
自宅で受験できるおすすめの介護資格には次のようなものがあります。
資格名 | 資格の概要 |
介護事務 | 介護の事務や介護報酬、ケアマネージャーのサポートに関する資格 |
准サービス介助士 | 身体に不調を抱える方や高齢の方の介助に関する資格 |
認知症介護士 | 認知症の方への対応やサポートに関する資格 |
レクリエーション介護士
(2級) |
高齢の方や介護施設でのレクリエーションに関する資格 |
音楽健康指導士 | レクリエーションへの音楽活用や、音楽を使った認知症予防など、介護を要する方や現場の音楽に関する資格 |
介護予防健康アドバイザー | 高齢や不調の方の介護予防や健康、身体維持に関する資格 |
高齢者傾聴スペシャリスト | 高齢の方との会話やコミュニケーションに関する資格 |
介護口腔ケア推進士 | 介護を要する方のお口のケアに関する資格 |
看取りケアパートナー | 看取りに必要な知識やスキルに関する資格 |
自宅で受験できるおすすめの資格【料理系、栄養系】
料理系や栄養系の資格にも自宅で受験でき、かつ、比較的難易度が低いものが多いという特徴があります。
料理や栄養の知識があるとご自身の生活(食事)にも活かせます。個人事業主やフリーランスは働いた分だけ自分の収入になりますから、無理して仕事をしてしまう方も多いと言えるでしょう。そんなとき、栄養や料理の面から自分の体調を整えられるのは、大きなメリットではないでしょうか。
また、別の業種で仕事をしていても、料理系や栄養系の資格を副業として使うことも可能です。たとえば有資格者としてSNSで料理の写真や知識を発信するという使い方もできる他、ネットで料理や栄養の記事を書いて集客することも可能です。
単独で稼ぐこともできますが、他の資格と併せて使ったり、自分の体の調整に使えたりするところが料理系や栄養系の資格の魅力ではないでしょうか。
自宅で受験できる料理系や栄養系の資格には、スポーツ栄養プランナーや薬膳コーディネーターなどがあります。また、介護の現場で役立つ資格でもある介護食コーディネーターなどもあります。
資格名 | 資格の概要 |
介護食コーディネーター | 介護を要する方の食事や料理、献立に関する資格 |
スポーツ栄養プランナー | スポーツをする方の栄養や料理に関する資格 |
薬膳コーディネーター | 体のトラブルを改善し、不調を未然に防ぐ薬膳食の資格 |
離乳食・幼児食コーディネーター | 子供の離乳食や幼児の食事、栄養、献立などの資格 |
妊産婦食アドバイザー | 妊娠時の食事や栄養などに関する資格 |
離乳食アドバイザー | 子供の離乳食に関する資格 |
幼児食アドバイザー | 幼児期の栄養や食事に関する資格 |
学童食アドバイザー | 学童の食事や献立、栄養などに関する資格 |
野菜スペシャリスト | 野菜や果物の栄養、有効活用に関する資格 |
発酵食品ソムリエ | 発酵食品の知識や料理に関する資格 |
UCCドリップマスター | コーヒーの淹れ方や知識についての資格 |
スイーツコンシェルジュ | お菓子の知識や作り方などを学べる資格 |
作りおき料理コーディネーター | 料理の中でも作り置きに特化した資格 |
食事は体づくり、健康維持、生活の基本です。食について興味のある方も少なくありません。そのため、料理系や栄養系の資格は取引先やクライアントとの話題作りにも役立ちます。
個人事業主やフリーランスの方の場合、こうした商談の際の話題作りに利用できる資格を持っていると便利です。意外な話題から話が盛り上がり、仕事や受注に繋がることがあります。
自宅で受験できるおすすめの資格【ペット系】
犬や猫などペットに関する在宅で取得できる資格もいくつかあります。
ペットに関する資格は副業でライターをしたい方などにおすすめです。ペット記事を扱っているメディアなどで執筆に携われる可能性がある他、自分の知識を活かしてブログを公開してもいいでしょう。ご自身に愛犬や愛猫などがいれば、ペット写真と併せて記事を投稿し、宣伝や集客などに活用する方法もあります。
SNSでもペットネタは人気がありますので、上手く資格を活用することで別業種の宣伝広告に使うことも可能です。また、日本では犬猫を飼っているお宅も多いわけですから、資格を持っていることで取引時や営業の話題作りにも活用可能です。
在宅で取得できるペットに関する資格には、愛犬飼育スペシャリストなどがあります。
資格名 | 資格の概要 |
愛犬飼育スペシャリスト | 犬と楽しく暮らすための、犬への理解や飼育に関する資格 |
愛猫飼育スペシャリスト | 猫と楽しく暮らすための、猫への理解や飼育に関する資格 |
愛犬飼育スペシャリストや愛猫飼育スペシャリストは在宅で気楽に取得できるため、趣味で資格を取る方も少なくありません。犬猫好きを中心に「仕事とはまったく関係ないが取得した」「犬(猫)好きなので取った」という方も多い資格になります。
自宅で受験できるおすすめの資格【心理系】
自宅で受験できる主な心理系の資格は、子供の心理や育児に関する資格試験です。
たとえばすでに保育士や教員免許などの資格を持っており、同業種の別に企業や団体、園などに転職したいと考えている方の場合はこういった資格を活かせることでしょう。
また、心理に関する仕事をしている方が独立開業する場合、こういった子供の心理や育児に関する資格を取得しておくとアピールポイントが増える他、仕事の幅が広がるというメリットがあります。
ご自身にお子さんがいる方の場合、子育てなどにも活かせる資格です。
在宅で取れる心理系の資格には子育て心理アドバイザーなどがあります。
資格名 | 資格の概要 |
子育て心理アドバイザー | 子供(主に0歳~12歳)の教育や育児、子育てなどを学ぶ資格 |
心理カウンセリング | 心に不調を抱える方のカウンセリングについて学べる資格 |
アンガーマネジメント | 資格というより、自分の怒りのコントロール方法を学べる/トレーニングできる心理系の講座である |
子ども発達障がい支援実務士 | 発達障がいの子どもを現場(実務)で支援するための資格 |
子ども発達障がい支援アドバイザー | 子どもの発達障がいに関する知識を学べる資格 |
思春期発達障がい支援アドバイザー | 十代の子供の発達障がいに関する知識や向き合い方などを学べる資格 |
不登校・ひきこもり支援アドバイザー | 子供の不登校やひきこもり、教育などに関する知識を学ぶ資格 |
自宅で受験できるおすすめの資格【美容系】
化粧や美容などの資格にも自宅で受験できるものがあります。
美容系の資格は化粧品などを販売している小売店に勤めている方や、美容院などに勤めている方におすすめです。その他に、コスメ系の会社に転職したい方にもおすすめの資格になります。
資格試験を取得する際に試験内容に応じた勉強をしなければいけませんので、その知識を本業、副業、フリーランス、会社員、個人事業主に関わらず活かすことも可能です。
難易度も高くありませんので、仕事の息抜きや趣味で挑戦してみるのも良いかもしれません。美容系の資格にはコスメ検定やリンパケア、美肌スペシャリストなどがあります。
資格名 | 資格の概要 |
コスメ検定(3級) | 自分や人に合った化粧品選びやスキンケアについて学べる資格 |
リンパケア | リンパについての施術や知識、ケア方法などについて学べる資格 |
美肌スペシャリスト | 肌質の改善や美肌の維持など、肌について学べる資格 |
自宅で受験できるおすすめの資格【その他】
医療系や介護系、法律系などの他にも自宅で受験できる資格があります。
転職の際や個人事業主の仕事などで使えそうな資格をいくつかご紹介します。掃除や睡眠、色彩に関する在宅で取れる資格です。どの資格も難易度は基本的に低めです。
資格名 | 資格の概要 |
睡眠セルフマネジメント | 睡眠に関する知識の資格、話のネタや自分の睡眠の質の改善に |
生活習慣病予防プランナー | 生活習慣病やその予防の知識を学べる資格、健康維持に |
整理収納アドバイザー(2級) | 生活の中の服など物の収納スキルを学べる資格 |
クリンネスト(1級、2級) | 時短で家をキレイにする方法など、掃除の知識やスキルの資格 |
節約生活スペシャリスト | 生活の節約術について学べる資格 |
カラーコーディネーター検定 | 色の特性やデザインへの活かし方などを学べる資格 |
カラーセラピスト | 色彩を主にセラピーに活かす知識を学ぶ資格 |
パーソナルカラリスト検定(2級) | 色彩、カラーコーディネートの知識を磨く資格 |
アロマテラピー検定(2級、1級) | アロマ(香り)やハーブの精油などについて学べる資格 |
まとめ|紹介した資格は独立開業にも役立つ
今回ご紹介した資格は、単独で独立開業タイプの資格ではありません。ただ、独立開業や個人事業主、フリーランスとして稼ぎたい場合、役立つ資格であることは確かです。
たとえば行政書士として独立開業を考えている場合、これらの資格を取得しておくと「行政書士+別の資格所持」をアピールできます。今回ご紹介した終活アドバイザーなどは実務で直接使わなくても、相続などが絡んでくる法律関係の資格でもありますから、取得しておいて営業の際にアピール(名刺に書いておくなど)するのも良いでしょう。
また、会社と個人事業主の二足わらじを考えているなら、病院事務など事務職の資格を取って働き、自宅では別の特技や資格を活かすといった働き方もできます。
自宅で取得できる難易度低めの資格は勉強しやすく、片手間に取得しやすいので、こうした働き方の工夫や営業に活かしやすいことでしょう。
こうした資格の活用を考えているなら、今回ご紹介した資格の中からまずはひとつ選び、挑戦してみてはいかがでしょう。