1億円手元にあったら働かずに何年暮らせるのか

宝くじや投資で一発あてて一億円手元にあったとします。

資産運用せずにそのまま暮らしたら1億円は何年持つのでしょうか?

単位は百でも千でもなく「億」です。遺産相続でもそう簡単に手にできない金額だからこそ、1億円あればかなりの年数余裕を持って暮らせると思うかもしれません。

実際のところはどうなのでしょう?

投資やFIREの参考に「1億円手元にあったら働かずに何年暮らせるのか」を検証します。

1億円手元にあったら〇年は働かずに暮らせる

1億円手元にあったら働かずに何年暮らせるのかは単身世帯なのか夫婦世帯なのかによって変わってきます。

結論から言うと、1億円手元にあり、

・働かない

・収入もない(1億円だけ)

・毎月同じくらいの支出におさえる

・急な出費はないものとする

・引っ越しもしないものとする

という条件であれば、日本では30~50年くらいは働かずに暮らせる計算になります。

20歳の人なあ50~70歳までは働かずに暮らせる。

30歳の人であれば60~80歳までは働かずに暮らせる。

40歳の人であれば70~90歳までは働かずに暮らせる。

50歳以降に1億円が手元にあれば収入や仕事を考えずに人生の終わりまで働かずに暮らせる計算になります。

ただ、世帯や支出状況によってやや事情が変わってきますので、順を追ってもう少し詳しく説明します。

日本の平均的な生活費とは?

総務省統計局の2021年「家計調査」によると、単身世帯と夫婦世帯の月あたりの生活費は次の通りです。

・日本の単身世帯の平均生活費15.5万円/月

・日本の夫婦世帯の平均生活費23.5万円/月

単身世帯に1億円あれば50年暮らせる

日本の単身世帯が1億円もらった場合、月当たりの生活費が15万5,000円~16万円くらいなので、50年ほどは1億円を取り崩すことで生活できる計算です。仮に仕事や投資で収入を得ていれば、50年以上は生活できることになるでしょう。

ただ、忘れてはならないのが、この計算のベースになっている条件です。

急な出費はないものとして計算し、月に同じくらいの金額(16万円くらい)を支出するつもりで計算しています。たとえば、家族や親族の冠婚葬祭でまとまった支出があれば計算結果は年単位で変わってくる可能性があります。また、途中で車の買い替えや転居などがあればその分だけお金がかかりますから、やはり計算結果は変わってきてしまうのです。

この他に単身世帯の場合、結婚などによって生活状況が変わってくる可能性も考えなければいけません。ずっと単身世帯として暮らせば働かずに50年くらいは生活できますが、結婚すると家族が増えますから、その分だけお金がかかります。生活費・支出の変化により、1億円あっても、もっと短期間しか暮らせないと考えた方が良いでしょう。近年、問題になっている物価の上昇なども考えなければいけません。

ずっと単身世帯で月の支出が変わらないという条件であれば、1億円あれば働かず50年くらいは暮らせるという計算結果です。

夫婦世帯に1億円あれば30年暮らせる

日本の夫婦世帯の平均生活費は月あたり23~24万円です。月当たりの支出額が変わらず急な出費などもなければ、1億円で30年は暮らせる計算です。

ただし、すでにお話ししたように、物価の上昇や急な出費などを考えなければいけません。毎月同じ支出で暮らすことは難しいからこそ、1億円で働かず暮らせる年数はもっと短いと考えた方が良いでしょう。途中で家の修繕や車の買い替えなどがあれば、1億円で働かずに暮らせる年数はさらに短くなる計算です。

なお、夫婦世帯の場合、子供がいると状況が変わってきます。

子供ひとりあたりにかかる平均的な教育費は1,000万円~2,000万円だと言われています。通っている学校が国公立なのか私立なのかによって変わってくるのですが、いずれにしろ、教育費はかなりのまとまった大きな額だと考えた方が良いでしょう。

お子さんがひとりいればお子さんの分の生活費と教育費を考えなければいけません。お子さんが2人いれば教育費だけで2,000万円~4,000万円かかる計算です。そうすると、1億円あっても、教育費も含めて考えれば、夫婦が働かずに長期間暮らす余裕はないかもしれません。

1億円といえば大金のように思えますが、お子さんのいる世帯にとってはかなり儚い金額ですね。

働かずに暮らせる年数は都道府県によっても違う

前の見出しでは日本の平均的な生活費で暮らした場合にはたらかず何年暮らせるか試算しました。

生活費の平均は都道府県によって違います。一般的にはよく「東京都は生活費が高い」「大都市は生活費が高め」「地方都市は生活費が低い」なんて言われますよね。

都道府県の中でも生活費の高い県で生活した場合と安い県で生活した場合、どれくらい差が出るのでしょうか。1億円もらって生活費の高い県で生活したケースと低い県で生活したケースで試算しました。

なお、生活費の試算には全国主要都市の物価指数や総務省統計局のデータなどを元に大よそで計算しています。実際は個人差・世帯差がありますので、あくまで参考程度にしてください。

1億円あれば東京都では〇年暮らせる

日本の中でも生活費が高くなっているのは東京都(23区)や神奈川県などです。東京23区や神奈川県の横浜あたりで生活するためには月30~33万円ほどの生活費はみなければいけません。日本の生活費の平均と比較してもやはり「高い」という印象があるのではないでしょうか。

1億円もらって東京23区や神奈川県横浜で生活する場合、1年間の生活費は少なく見積もっても360万円~400万円くらいはかかる計算です。そのままの支出で暮らすなら、10年間で3,600万円~4,000万円になります。20年で7,200万円~8,000万円です。支出が変わらない場合でも明らかに30年は暮らせません。

仮にお子さんがいた場合、教育費のことも考えなければいけません。教育費だけ考えても1人あたり1,000万円~2,000万円だとすれば、1億円あっても20年は暮らせない可能性がありますよね。

生活費が高い都道府県では1億円もあっという間に吹き飛んでしまうようです。

1億円あれば生活費が安い県では〇年暮らせる

日本の中でも生活費が安めの県としては宮崎県、秋田県、鳥取県、長野県、福井県などがあります(この他にも地域によって生活費が安いところはたくさんあります)。

これらの県の県庁所在地あたりで暮らす場合、月の生活費の目安は27万円くらいになります(人や世帯によってはもっと安く暮らしているはずです)。全国平均よりやや高めなのは、不動産相場がやや高くなることの多い県庁所在地だからでしょうか。

1カ月の生活費を仮に27万円ぴったりだと考えた場合、年だと約330万円です。10年間で3,300万円になり、20年で6,600万円、30年間で9,900万円になります。生活費の高い地方の県庁所在地だとぎりぎり30年暮らせるかどうかでしょうか。実際は急な出費などもあるので、かなり難しいでしょうが・・・。

地方で暮らしていれば東京23区や神奈川の横浜あたりで暮らすよりは1億円で長く暮らせる計算です。

最後に

1億円あったらどのくらいの期間働かずに暮らせるのか紹介しました。

調べてみると「1億円あってもさほど余裕はない」という結果でした。1億円あっても使うばかりでは減るだけです。いずれ底をついてしまうことでしょう。だからこそ増やす工夫も必要ではないでしょうか。1億円を資産運用すれば、今回の記事で紹介した年数より長く暮らすことも可能なはずです。

資産運用・投資・FIREの参考にしていただければと思います。