フリーランスや個人事業主にとって重要な問題に「経費」があります。経費は売上からマイナスできるため、確定申告の際に忘れずに計算に含めることが重要です。
しかし、経費を計上するためには先に支出があるため、社会情勢や事業の状況によっては経費をおさえたくなることでしょう。
経費をおさえたいときは家賃減額交渉を検討してはいかがでしょうか。
フリーランスや個人事業主は仕事をしている場所の家賃を経費に計上できます。自宅で仕事をしている場合は家賃全額ではなく、家賃の一部を経費にすることが可能です。家賃額を減額できれば経費の負担も軽減できるわけです。
この記事ではフリーランスや個人事業主が家賃減額交渉をする可否や方法、家賃減額交渉をする際の注意点についてご紹介します。
・家賃減額交渉の可否
・家賃減額交渉の条件
・家賃減額交渉の方法
・家賃減額交渉の注意点
フリーランスや個人事業主の中でも経費・家賃をおさえたい方はぜひ参考にしていただければと思います。
目次
家賃減額交渉はできる?
家賃減額交渉は可能です。
自宅であるアパートや賃貸の事務所などは一度決めた賃料を払い続けなければならないと思う方は少なくありません。
そういった固定概念があるため、フリーランスや個人事業主が経費を削減したいときに「家賃を減額してもらおう」と考えるよりも、他の経費を削減するケースが多いのではないでしょうか。
ただ、相場に対して賃料が高い場合は、家賃は継続的に払うことから積もり積もって負担が多くなりがちです。家賃が相場より高額な場合は経費削減のためにも家賃減額交渉を検討してもいいかもしれません。
なお、家賃減額交渉自体は可能ですが、すべてのケースにおいて家賃減額交渉ができるわけではありません。
家賃減額交渉には条件があります。また、条件を満たしているため家賃減額交渉をした場合でも必ず家賃を減額できるわけではありません。
あくまで家賃減額交渉自体は可能であるという話で、実際に家賃を減額してもらえるかどうかは別の問題なのです。家賃減額交渉をして大家が交渉に応じてくれれば家賃の減額が可能です。
家賃減額交渉の条件とは
家賃減額交渉は条件に該当する場合に可能です。家賃を「安くしたいから」という理由だけでは基本的に難しいということです。
大家さんにも生活がありますし、契約を結ぶときにその家賃を承諾して契約したという理由もあります。
なので、家賃減額交渉が可能なのは「家賃が不相当になった場合」です。借地借家法では家賃減額請求について次のように定められています。
第三十二条
建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
具体的には以下のような条件が認められるケースに家賃減額交渉が可能になっています。
・周辺の相場や物件の賃料に対して家賃の額が高い
・土地や建物の価値が低下や、その他の経済事情が変化した
・建物に対する税金の負担が減少している
具体的な例を2つ挙げます。
フリーランスは自宅アパートで仕事をしていました。自宅アパートの家賃の一部を経費として計上しています。フリーランスは月12万円の家賃を払っていたのですが、周辺の似たような条件のアパートがさらに安い相場で賃料を設定しているようでした。
調べてみると、フリーランスが住んでいるアパートは周辺相場よりかなり高めに賃料が設定されていることが分かりました。このようなケースでは家賃減額交渉ができる可能性があります。
また、ある個人事業主は借りている事務所の家賃額に疑問を持っていました。それというのも、大家が負担する不動産の税金の額が下がっていることが分かったのです。
個人事業主が事務所を借りたときは周辺の不動産価格は上がり調子でしたが、現在は下落傾向にあり、当時より不動産価格はかなり低くなっている状況です。このようなケースでも家賃減額交渉ができる可能性があります。
このような事例では相場や税金、社会情勢の変化により、契約したときの家賃額が実情に合っていないことも少なくありません。実情に合っていない家賃であれば、減額交渉の余地があります。
家賃減額交渉の方法とは
家賃減額の基本的な方法は交渉と法的手段です。家賃が相場より高い(要するに減額交渉ができるケース)でも当然に下がるわけではありません。
家賃は大家と借りる側が合意しなければいけませんから、借りる側の一存で勝手に下げるわけにはいかないのです。
家賃を減額して欲しいときは大家と交渉して合意すれば、今後は減額された家賃を払うことになります。ただ、大家が交渉に応じない場合や減額後の家賃額が決まらない場合、大家が交渉自体にも応じたものの決裂した場合などは、裁判所の判断を仰ぐという流れになります。
なお、家賃減額交渉は口頭でも可能です。ただ、借りる側の言い分を分かりやすく理解してもらうため、そして証拠を残すためにも内容証明郵便などで行なうことをおすすめします。
家賃減額交渉の基本的な流れは次の通りです。
1.家賃減額の意思表示をする
賃料減額の交渉の目的は個人事業主やフリーランスの経費削減です。法的手段を使うとある程度の費用がかかります。仮に交渉が決裂した場合や賃料の減額交渉に応じてもらえない場合は「お金をかけて法的手段を講じる必要があるか」よく考えた方がいいでしょう。
交渉が決裂して仕事上も差し支えないなら、もっと賃料の安い事務所や部屋に転居するという方法もあります。交渉が成功するように準備を整えることも重要ですが、決裂した場合に「どこまでやるか」も考えておいた方が良いかもしれません。
家賃減額交渉をするときの注意点
家賃減額交渉では3つの注意したいポイントがあります。
家賃減額交渉の際は根拠を示すことが重要
家賃減額交渉の際は具体的な根拠を示すことが重要です。根拠なく「相場より賃料が高いから家賃を下げて欲しい」と大家に申し入れても説得力に欠けます。だからこそ、大家が納得するような根拠を示すべきです。
家賃減額交渉をする前に周辺相場のチェックや交渉の具体的な文言などを精査し、交渉に応じてもらえるような資料作りをしておく必要があります。
特約があっても家賃減額交渉は可能である
賃料不減額特約や自動増額特約などがあっても家賃減額交渉は可能です。ただし、こういった特約があるということは、大家は「家賃の減額をしたくない」と思って契約したと考えられます。
家賃減額交渉自体は可能ですが、交渉が難航する可能性もあります。特約がついている場合は注意が必要です。
交渉中は勝手に家賃を減額できない
家賃減額交渉に入れば即座に家賃を減額して良いというわけではありません。あくまで交渉中です。家賃減額交渉中は減額前の(契約通りの)家賃を払う必要があるため注意してください。
まとめ
家賃はフリーランスや個人事業主にとって負担の大きい経費です。家賃を減額できれば経費を圧縮できるため、相場より高額の家賃を払っている可能性が高い場合は、家賃減額交渉をする余地があります。
ただし、家賃減額交渉をしたからといって必ず家賃を減額してもらえるとは限りません。家賃の減額を検討する場合は周辺相場の調査なども行ない、納得させられるだけの資料作成なども必要になります。交渉が上手く進むように事前準備をしっかり行なうと共に、必要であれば専門家に相談した方がいいでしょう。
場合によっては家賃の減額請求ができる場合があります。家賃減額することによって節約でき、FIREや資産運用に役立てられる、経費の削減になるという観点で説明。
https://funabashi.vbest.jp/columns/general_civil/g_lp_indi/5658/
https://tokyo-startup-law.or.jp/magazine/category06/rent-reduction-request-procedure/#1