今さら聞けない円安と円高とは?資産運用の必要性を解説

日本円が「円安」で困っている。

海外旅行を楽しみにしていたのに、円安になり過ぎて国内旅行に切り替えた。

円安で国内の物価にも影響が出ている。

円安の影響で勤め先の会社の業績が伸びている。

このような話を耳にする機会が増えています。

ニュースでもよく円安の話題が取り上げられていますよね。ネット媒体などでも盛んに円安がクローズアップされている状況です。

円安や円高については「学校のときに習ったが、今での混同することがある」という方も少なくないはずです。日常的に投資・資産運用などをしていない方や海外との取引をしない業種の方があればなおさらかもしれません。ここまで円安がクローズアップされるまで「為替のことには興味がなかった」という方もいらっしゃることでしょう。

この記事では円安と円高の意味や、メリット・デメリットを簡潔に説明します。円安が問題になっている昨今だからこそ、今一度基本的なポイントを見直してみてはいかがでしょう。

円高と円安とは?

まずは円高と円安について説明します。

円高と円安は基本的に真逆の現象なので、片方を理解すれば「もう片方は逆」と考えればいいので、理解しやすくなります。

「よく間違えてしまう」という方は片方だけしっかり覚えて、もう片方について説明しなければならない場面や、考えなければならない場面に行き当たったら「逆」で考えれば間違えにくくなります。

円高とは「日本円の価値が高い」こと

円高とは他の外貨と比較して日本円の価値が高くなることを言います。

たとえば、ある年の3月3日に1米ドル100円だったとします。翌日、日本円は1米ドル90円になりました。

100円が90円に変動したわけですから「円安ではないか?」と思うかもしれません。

違います。

1米ドルあたりで買える日本円が少なくなっているわけですから、これは円高です。

米ドル側から見てみてください。

3月3日は1米ドルで100円買えていました。しかし、翌日の4日は90円しか買えません。1米ドルで買える日本円が少なくなっている、つまり「円がより高値になっている(円の価値が高くなっている)」わけですから、これは円高になります。

円安とは「日本円の価値が低い」こと

円安は円高と逆の状況です。「日本円の価値が下がってしまうこと」を円安と言います。

ある年の3月3日は1米ドルで90円買えました。翌日は為替相場が変動し、1米ドルで100円買えました。1米ドルで10円多く日本円を買えるわけです。1米ドルで日本円を「より多く買える(持っていける)」状況ですから、円安になります。

日本は現在円安に悩まされています。円安により貿易や物価などにも影響が出ており、問題視されている状況です。

円高のメリットとデメリット

円高は「日本円の価値が高くなるのだから、良いことではないか」と思うかもしれません。

円高には良い側面もありますが、注意したい側面もあります。

円高のメリット

円高には「輸入の商品やサービスが安くなる」というメリットがあります。

円高とは円の価値が高くなることなので、その分だけ海外からいろいろな商品やサービスをお安く買える(輸入できる)ようになります。そのため、円高の代表的なメリットが、輸入品を安く買えることなのです。

円安だと輸入品を素材にしている製品の価格も下がる傾向にあります。輸入品を安く買えるため、材料費が安く済むためです。

この他に、円安になると旅行時の費用負担も軽くなるメリットもあります。

円高のデメリット

円高になると輸出系の企業の業績が下がってしまうデメリットがあります。加えて、急激な円高や極端な円高は日本経済に悪影響を与えるケースがあります。

円高は輸入系の企業の業績が良くなる反面、輸出系の企業にとっては打撃になってしまうのです。日本国内には輸出系の企業も多いので、企業の業績や社員の給与、サービスの価格などが影響してしまい、経済自体に少なからず影響が出てしまう結果になります。

円安のメリットとデメリット

円安にもメリットとデメリットがあります。

2024年春~夏にかけて円安が問題視されていますが、円安にもある側面のメリットがあるということです。

そのため「円安で困っている」という人や会社がいる反面、「円安で助かっている」という人や会社も存在します。

円安のメリット

円安のメリットは円高のメリットと逆です。

円安になると輸出系の企業の業績が良くなる傾向にあります。また、日本から商品を輸出するときに有利なので、価格やサービスの面で他の国と有利な競争がしやすくなります。

円安のデメリット

円安のデメリットは、海外の商品やサービスが高くなり買いにくくなってしまうことです。円高では日本から海外のサービスや商品を購入しやすいメリットがありましたが、円安はその反対になります。

海外から素材や商品を輸入している場合は価格も上がってしまい、海外から商品を買っている企業の場合は業績に影響が出るケースもあるのです。

また、テレビでもよく報じられていますが、円安になると海外旅行しにくくなります。円を外貨に交換すると円をたくさん持っていかれる(少ない額しか交換できない)ため、円高のときと比較して海外旅行によりお金がかかってしまうのです。

円高と円安のまとめ

円高と円安をまとめると、次のような違いがあります。

特徴 メリット デメリット
円高 円が高くなる(例、100円→90円) ・輸入系企業が有利になる

・輸入する商品やサービスの価格が下がる

・海外旅行の費用が安くなる

・輸出系の企業の業績が下がる

・極端だと日本の経済にも影響が出る

円安 円が安くなる(例、90円→100円) ・輸出系企業が有利になる ・輸入系の企業の業績が下がる

・輸入する商品やサービスの価格が上がってしまう

・極端だと日本の経済にも影響が出る

・海外旅行の費用が増える

現在日本で問題になっているのは円安です。

特徴・メリット・デメリットを頭の片隅に思い浮かべながらニュースをチェックすると分かりやすくなります。

なお、円高と円安は「どちらが良い」という単純な問題ではありません。日本にはいろいろな会社・仕事があります。極端な円高や円安はそれぞれ輸入企業と輸出企業に影響を与え、それらの仕事に従事している人や商品を買っている人にも影響を与えます。連鎖的に家計や日本経済にも影響を与えるわけです。

円安と円高はバランスが重要であり、どちらかに極端にかたよると問題になってしまいます。

円高や円安での資産運用の必要性

円高や円安は資産運用・投資にも影響を与えます。なぜなら株価は企業の業績で変動するからです。そして、外貨も外貨預金や外債などで資産運用・投資・投資商品に関係してくるからです。さらに言うと、投資信託には債権や株式などが含まれていることも多いので、投資信託にも影響を与えることになります。資産運用・投資に力を入れている人にとって、為替の円高・円安は大きな問題になり得ると言えるでしょう。

自身の財産を放置しておくと、極端な円安や円高で影響を受けかねません。だからこそ、バランスよくさまざまな弱点を補え合える金融商品に分散投資し、自分の財産を守ることが重要になるのです。

最後に|財産を守るためにも資産運用は必要

円高と円安は常に変動します。日本は現在「円安で困った」と盛んに報道されていますが、それはあくまで2024年春~夏の話です。今後は円高に動く可能性があります。また、逆にさらなる円安が進んでしまう可能性もゼロではありません。

すでにお話ししたように、円高や円安は企業の業績に影響が出る他、資産運用にも多大な影響をもたらす可能性があるわけです。自分の財産を守るためにも、円高や円安の影響から守れる金融商品や、影響を緩和できる金融商品などが重要になります。

資産を増やすため。FIREのため。このように、さまざまな目的で資産運用する人がいますが、今後は状況から財産を守るために、あらためて資産運用に目を向けてみてはいかがでしょう。