よく話題になる「2025年問題」って何?

近年、日本ではよく「2025年問題」が話題になります。2025年問題に向けて「解決策を考えなければ」という動きも出てきています(もう2024年なのですが・・・という気もしますが)。

よくニュースや新聞、雑誌、ネット媒体などに取り上げられている「2025年問題」とは、一体どのような問題なのでしょうか。知っておきたい国内の問題点について簡潔に説明します。

2025年問題とは「日本が抱える各種の問題・危機」のこと

2025年問題とは日本が抱える「2025年に大きく表面化するだろうと言われている諸問題のこと」です。

2025年問題にはいくつかの種類があります。特に有名なのは3つの2025年問題です。

【3つの2025年問題】

・人材不足

・医療費などの負担増加

・不動産

人材不足の2025年問題

2025年問題という言葉が指す意味のひとつが「2025年とそれ以降に起きる人材不足の問題」です。

日本は少子高齢化が進んでおり、すでに会社・業種においては人材不足が問題になっています。人手が足りずアルバイトや正社員を募集しても「人が集まらない」という話をよく耳にするはずです。これは労働条件だけが問題ではなく、単純に、現在の日本では働き手となる年齢層・人材が不足しているからなのです。

すでに人手不足・人材不足の状況なのに、2025年には団塊世代がすべて後期高齢者になってしまうことから、働き手が不足する問題はさらに加速すると言われています。これが人材不足の2025年問題です。

近年、「海外から労働者を」と言った意見や動きが活発化しているのも、日本の人口のボリュームゾーンである団塊世代が働き手からほぼリタイアしてしまう2025年問題が問題視されているからこそです。

「2025年問題」と言われたら、この人材不足・人手不足の問題を指していることがあります。

負担が増加する2025年問題

「2025年問題」と言われたら、「医療費や社会保険料の負担の増加問題」を指していることがあります。

日本の人口のボリュームゾーンである団塊世代が後期高齢者になるということは、それだけ介護や医療費などがかさむということです。

病院や介護施設を利用する高齢者が増えれば、それだけ医療費・介護費の負担が増えます。医療費・介護費などは割合での負担になるため、利用者が全額負担するわけではありません。利用者の負担分以外は保険などの財源でまかなうことになるのです。利用者(高齢者)が増え、若い世代が減ると、それだけ財源が苦しくなります。医療費や保険料に関してはすでに「現役世代の負担が大きすぎる」「今後の財源が苦しくなる」とかなり前から問題になっています。

医療費・保険の負担が増すこと、今後さらに財源的に苦しくなることを指して「2025年問題」と呼ぶことがあるわけです。

不動産における2025年問題

「2025年問題」という言葉が不動産問題を指すこともあります。「2025年に不動産の売却相場・価格・価値が暴落するのではないかという問題」のことです。

団塊世代という日本人口のボリュームゾーンが後期高齢者になることで、相続による不動産売却などが相次ぐと予想されています。また、この世代が介護施設などへの入居を機会に、現在住んでいる住居を手放す可能性も少なくありません。多くの団塊世代の不動産売却・相続などが相次ぐと、需要に対して供給が過多になりますから、当然ながら中古物件の価格や価値は下がってしまいます。

日本では空き家問題も深刻化しています。すでに問題になっている空き家に加え、団塊世代が手放したい空き家や、団塊世代が住んでいた住居の空き家も増え、2025年をひとつの境目に空き家問題も加速するだろうと指摘されているのです。

これが不動産における2025年問題になります。

2025年問題は資産運用などにも関わってくる

2025年問題は資産運用・投資・FIREなどにも関わってきます。

たとえば資産運用に不動産を組み込んでいる場合、2025年を境目に不動産価格がさらに下がれば、資産運用の収益も低下するわけです。ご自身で物件や土地を転がしているわけではなくても、投資信託などに不動産が組み込まれている場合や不動産の状況に影響を受けやすい企業の株式などが含まれる場合は注意が必要になります。

FIREの達成を目標にしている場合や、資産形成のために投資をしている場合などは、投資先や金融商品の動向を注視しておくことをおすすめします。

2025年問題以外に「2025年の崖問題」もある

よく「2025年問題」が話題になりますが、この他に「2025年の崖」という問題がクローズアップされることも少なくありません。

「2025年の崖」とは、会社のITシステムの老朽化やサポート終了などの理由により「システムが使えない」「システムが把握できない」といった問題です。多くの会社は自社や提携先の会社のシステムを使っていますから、サポートがない状況や老朽化などがあると、仕事自体ができなくなってしまうのです。

仕事ができなくなると日本経済が打撃を受けます。こうした諸問題のことを「2025年の崖」と言います。これも一種の「2025年問題」だと言えるでしょう。

最後に|2025年を境目に問題が深刻化する

日本は2025年に人口のボリュームゾーンである団塊世代が後期高齢者になることから、労働力や保険料・医療費の負担、不動産相場など、数々の問題を引き起こすと言われています。

日本の企業なども対策を講じようとしていますが、対策しようと頑張ったからといって、いきなり働き手(人口)が増えるわけでもありません。よって、2025年問題で影響を受けない人、会社、金融資産は存在しないとさえ言えるかもしれません。

すでに2024年になり、2025年問題へのカウントダウンがはじまっています。今後の企業や政府の動向を注目したいものです。