銀行預金にもリスクがあるって本当?分散投資のすすめ

銀行預金にお金を預けておけば安心だと思っていませんか?

お金を守るなら「銀行預金を使うべき」だと、過度にサービスを信用していないでしょうか。

銀行預金は株式や投資信託のように値動きがありません。口座に100万円預けておけば、100万円の金額がそのまま残ります(利息によりちょっと増えることはありますが)。「お金を守りたいならやっぱり預金」ということで、日本では資産運用の要としてよく普通預金・定期預金などが使われます。「預金は安全」と信頼しきっている方は少なくないことでしょう。

実は、銀行の預金にもリスクがあります。場合によっては預けたお金が「なくなってしまう」事態も考えられるため、注意が必要です。

知っておきたい預金のリスクや、リスク対策について解説します。

銀行預金とは?口座の保有率や預金率について

銀行預金とは普通預金や定期預金など、「金融機関の預金サービス全般」を指す言葉です。

預金と言えば一般的に銀行を想像する方も多いでしょうが、預金を扱っているのは銀行だけではありません。信用金庫や労働金庫、信託銀行なども預金を扱っています。また、銀行は銀行でも、都市銀行、地方銀行などがあります。こうした金融機関の預金サービスの総称が「預金」です。

貯金と預金の違いとは

預金と貯金はほぼ同じ意味の言葉として使われています。

一般の方も「銀行にある貯金」「銀行の預金」など、普段からあまり意識せず使っていることでしょう。

預金と貯金には違いがあります。

預金とは銀行などの銀行や信用金庫に預けたお金・口座のことです。対して貯金とは、ゆうちょ銀行や農協などに預けたお金・口座になります。どちらもお金を預ける・口座にお金をプールするという点では同じですが、銀行とゆうちょ銀行などでは言葉が使い分けられているのです。

日常レベルではどちらの言葉を使っても意味は通じますが、金融機関や資産運用の場では使い分けされていることがあるので、注意してください。

日本の預金口座の保有率

日本は預金口座(貯金口座)の保有率が高い国になっています。

日常生活でも「税金やガス、水道、電気などは口座から引き落とし」「給与も振込」など、銀行などの預金口座はよく使います。日本で生活するためには、預金口座はなくてはならない存在です。

そんな日本の預金口座の保有率は約98%になっています。100人いればそのうちの98人は預金口座を開設している計算です。特に資産運用に力を入れていない方でも、生活や給与の受け取りのために預金口座を開設しているわけですから、この数字には納得だと言えるでしょう。

ゆうちょ銀行の方の口座の保有率は78%ほどになっており、100人中78人は口座開設している計算です。日本で最も利用されている金融機関は銀行なので、ゆうちょの方がやや低い数字になっているのも納得かもしれません。

なお、金融機関の利用率で比較すると、「預金などは主に銀行を利用している」という方が全体の75%を超えています。100人いればそのうちの75人は都市銀行や地方銀行などの銀行口座のユーザーということですね。

日本の預金率

日本の預金率は約50%にも上っており、資産を預金・貯金に置いている方は多いという結果です。

対して、日本では有価証券のよる保有資産は少な目になっています。株式や有価証券での資産の保有率は15%ほどになっており、預金などによる資産の保有率よりかなり少ないという結果です。

たとえば1,000万円の資産があった場合に日本の資産の保有割合を当てはめてみると、1,000万円のうちの500万円は預金・貯金として保有しているという結果になります。株式や投資信託での保有割合は15%ほどですから、1,000万円の資産があれば、そのうちの150万円が投資信託や株式です。

ただ、これはあくまで平均的な割合ですので、中には「預金(貯金)しかない」という方もいらっしゃることでしょう。日本では「お金があれば投資より預金口座に入れておく」という方が多いと言えるのではないでしょうか。株式や投資信託でお金を動かしている方の場合も、その投資資産の3倍以上の預金を念のために預金・貯金口座にプールしている状況だと考えられるでしょう。

日本はまさに「貯金(預金)が強い」国なのです。

銀行などの貯金にもリスクがある!3つの具体的なリスク

銀行の預金口座にお金を入れておけば「安心」と思う方は多いかもしれません。

しかし、実際は銀行の預金口座にもリスクはあり、「絶対大丈夫」は有り得ません。

金融機関の貯金・預金口座には次のようなリスクがあります。

①    資産価値が下がってしまうリスク

銀行に入れた100万円はいつまでの100万円だと思うかもしれません。

この考え方にはリスクがあります。なぜなら、銀行に入れっぱなしにしているお金(資産)は、価値が下がってしまうリスクがあるからです。世の中の物価が上がってお金の価値が下がってしまうことをインフレと言います。

たとえば株式は「インフレに強い資産」だと言われていますので、物価が上昇すると株式の価値も上昇する傾向にあります。しかし預金の場合、基本的に100万円は100万円で、株式のように値動きしません。そのため、インフレにより物の価値が上がってしまった場合、今まで100万円で買えたものが200万円になるなど、お金の価値が下がってしまうため、口座内の資産の価値が目減りするリスクがあるのです。

これはお金そのもののリスクでもありますが、銀行預金は「将来のため」と思ってプールしておく方も多いことから、将来的に「お金として長期間口座で保有すると価値が下がってしまうリスクがある」と考えておいた方が良いでしょう。

「とりあえず銀行の口座に入れておこう」は、資産運用・将来への蓄財においては、リスクのある考え方です。

②    金融機関が破綻すると一定額以上は戻ってこないリスク

金融機関が破綻すると、預けたお金を全額返してもらうことはできません。基本的にひとりあたり1,000万円とその利息は保護されますが、それ以上の額は返ってこないのです。

金融機関はいつも普通に営業しており、比較的安定している印象があるかもしれません。しかし、過去に金融機関が破綻したケースもありますので、「自分が使っている銀行の破綻などないだろう」というのは甘い考えです。

金融機関が破綻したときの預金の扱いについては、預金保険機構のホームページで詳しく説明されています。

https://www.dic.go.jp/yokinsha/page_000134.html

預入先の金融機関が破綻すると、預けたお金が満額返ってこないリスクがあるため、銀行の預金だからといって絶対に安全というわけではありません。

③    預金・貯金の手数料で目減りするリスク

銀行などの金融機関にお金を預けても、基本的に増えません。預金口座の利息は限りなく低いからです。定期預金は普通預金より利息が高めに設定されていますが、それでも預金の金利は雀の涙になっています。

バブルの時代なら預金口座にお金を入れれば、どんどんとお金が増えたものですが、今の時代は預金口座はあくまで資産をプールする先でしかありません。資産を増やすために預金口座にお金を入れる人など、まずいないはずです。

2024年3月19日に、日銀がマイナス金利の解除を発表しました。ネットでは「今後の預金に影響はあるのか」など盛んにニュースになっていますし、すでに預金の金利に関しても検討に入っている金融機関(あるいは迅速に金利を引き上げた金融機関)などもあります。

みずほ銀行とりそな銀行などは、4月1日から普通預金の金利を0.02%に引き上げると発表していますが、それでも「0.02%じゃちょっとな」という印象ではないでしょうか。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1067488

預金・貯金の口座は資金のプールには向きますが、基本的に資産は増えません。近年は預金の引きおろしなどに手数料がかかる銀行も多いですから、下手にお金を動かすと手数料などでマイナスになってしまうリスクもあります。

手数料分を金利で相殺できるかどうかは、今後の金融機関・日本の金利の動き次第といったところでしょう。口座にお金を入れているだけでは、資産は増えず、動かすたびに手数料などで資産が目減りするリスクは、今後もしばらく変わらないと言えるでしょう。

リスク対策なら株式や投資信託などへの分散投資がおすすめ

預金・貯金は「絶対に安全だ」という一種の安全神話を信じている方は少なくありません。

だからこそ、お金はとりあえず「銀行口座に入れてしまおう」という人も多いのではないでしょうか。

預金・貯金の口座は確かに安全性が高く、資金のプールにはよく使われます。ただ、その安全は「絶対」ではありません。すでにお話ししたように、金融機関が破綻すると、口座に入っていた額によっては返ってきません。加えて、物価高などでお金の価値自体が変わってしまうと、口座に入っている預金・貯金の価値も下がってしまうのです。

物価高など不安要素もありますので、「とりあえず口座に入金する」ではなく、分散投資によるリスク対策を考えてみてはいかがでしょう。

預金や資産運用の基本的な考え方「分散投資」とは

分散投資とは、いくつかの金融商品に資産を分散させる方法です。

たとえばAという株式に全財産を集中させると、Aが値下がりしたときに、資産に大きな打撃を受けてしまいます。A株式だけでなく、B株式やC投資信託、D外貨、E仮想通貨、F銀行の定期預金などに資産を分散させておけば、A株式の暴落で受ける打撃を緩和可能です。これが資産運用の基本「分散投資」になります。

ひとつの籠に卵を全部入れておくと、その籠がひっくり返ったときに卵がほぼすべて割れてしまう可能性があります。複数の籠に卵を分散させておけば、ひとつの籠がひっくり返っても、他の卵(資産)には影響しません。これが分散投資でよく使われる例です。

この分散投資は、預金・貯金のリスク対策にもなります。A銀行とC信用金庫に資産を分散させておくと、C信用金庫が破綻したときも、ダメージを最小限におさえられます。さらに株式や投資信託、外貨、債券、仮想通貨などに資産を分散させておけば、ひとつの金融機関や金融商品に何かあっても、資産への影響をおさえられるわけです。

預金・貯金にもリスクがあり、近年は物価高なども問題になっています。「銀行の口座に入れておけば安泰」と考えるのではなく、分散投資でのリスク対策を考えてみてはいかがでしょう。

銀行の口座にお金を入れておくにしても、ひとつの銀行だけに集中させない。そして、他の金融商品への資産の分散も検討する。資産を守るためにも重要なポイントです。

最後に|増えないリスクや「もしも」のリスクのために分散投資を

銀行や信用金庫、農協、ゆうちょ銀行などは「安全だ」「投資で減らしたくないなら銀行口座に入れておけばいい」と思うかもしれません。

銀行などの金融機関にもリスクがあります。また、お金自体の価値が変わってしまうリスクもあるので、銀行などをあまりに信用し過ぎることは危険です。

資産運用・資産を守る基本的な考え方に「分散投資」があります。分散投資とは資産を分散させ、投資先・預け先に何かあったときのダメージを最小限におさえる方法です。

資産運用・預金・貯金・投資について、いま一度よく考えてみてはいかがでしょう。